お子さまが4月から大学生として新生活を始められるご家庭は、新たな環境での生活には期待と不安が入り交じることでしょう。特に、仕送り額については多くの保護者が悩まれるポイントです。 本記事では、最新のデータをもとに、大学生への仕送りの平均額や生活費の内訳、適切な仕送り額を決める際のポイントについて解説いたします。
大学生への仕送りの平均額
まずは、大学生の子ども1人あたりの仕送り額について見ていきましょう。
全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)が2024年10~11月に実施した「第60回学生生活実態調査」(回答数1万1590人)によれば、大学生への仕送り額の全国平均は月額7万2350円と報告されています。
仕送りの金額分布については、以下のとおりです。
0円:6.9%
5万円未満(0円を除く):16.1%
5~10万円未満:31.1%
10万円以上:27.2%
上記から、5~10万円未満が最も多い層であることが分かります。ちなみに、この金額分布は2010年から大きな推移はありません。
大学生の生活費の内訳
次に、大学生の一人暮らしにかかる生活費を見てみましょう。地域や個人の生活スタイルによって異なりますが、全国大学生協連の同調査によると、全国平均で月額約13万1710円とされています。以下は、主な支出項目とその平均額です。
食費:2万6110円
住居費:5万6090円
交通費:5050円
教養娯楽費:1万3870円
書籍費:1500円
勉学費:1300円
日常費:7520円
電話・通信費:3320円
その他:2710円
貯金・繰越:1万4250円
上記の結果から、一人暮らしの大学生の生活費は、住居費と食費が大きな割合を占めていることが分かります。
仕送り額を決める際のポイント
仕送り額を決める際は、「どのくらいの金額が必要なのか」「家庭の負担にならない範囲はどれくらいか」など、さまざまな要素を考慮する必要があります。また、住んでいる地域の物価や、お子さまのアルバイト・奨学金の有無によっても必要な額は変わってきます。
ここでは、仕送り額を決める際に押さえておきたいポイントを紹介します。仕送り額を設定する際には、以下の点を考慮することが重要です。
1. 家庭の経済状況
無理のない範囲での仕送り額を設定することが大切です。ただし、仕送り後も扶養者(親)の世帯で、一定の生活費が確保できるかも確認することが大切です。
2. 子どもの収入状況
アルバイトや奨学金の有無、金額を確認し、仕送り額を調整します。なお2025年4月から、その年の12月31日時点で19~22歳の学生に対し、年収150万円までの特定親族特別控除が適用されるため、この点も考慮する必要があります。
3. 生活費の詳細な把握
家賃、食費、光熱費、通信費など、具体的な支出項目とその金額を把握し、必要な仕送り額を見積もります。なお、一人暮らしの子どもを健康保険の扶養に入れている場合は、子どもの人数に応じた仕送りの下限額が設定されています。
下限額は加入している健康保険組合によって異なるため、自身の加入する組合に確認し、下限額を下回らないようにする必要があります。
4. 地域の物価や家賃相場
仕送り額を決める際、住む地域の物価や家賃相場を考慮することは非常に重要です。例えば、東京や大阪などの都市部は家賃や食費が高くなりがちですが、地方の大学であれば比較的安く抑えられる傾向があります。
また、食費や日用品の価格も地域によって異なり、都市部では物価が高くなる場合があります。仕送り額を決める際は、お子さまが住む地域の家賃や物価をしっかり調べることが大切です。
5. 子どもの金銭管理能力
仕送り額を決める際は、お子さまの金銭管理能力も考慮する必要があります。計画的にお金を使えるタイプであれば、最低限の仕送りでもやりくりできるかもしれません。
しかし、使い方に不安がある場合は、あらかじめ「何にどれくらい使うのか」を一緒に考えることが重要です。また、大学入学後も定期的にお子さまと話し合いながら状況を確認し、必要に応じて助言することも効果的です。
仕送り以外のサポート方法
仕送りは大学生活を支える大切な手段ですが、それだけでは十分でない場合もあります。特に、家賃や生活費が高い地域では、仕送り額を増やすことが難しいケースもあるでしょう。ここでは、仕送り以外にできる支援策について紹介します。
1. 奨学金の活用や大学無償化制度の活用
返済不要の給付型奨学金や、低金利の貸与型奨学金を検討します。また、2025年度から導入される新しい大学無償化制度では、3人以上の子どもを扶養する家庭に対して、大学進学にかかる費用負担を軽減する支援が行われます。
2. 教育ローンの利用
日本政策金融公庫や民間金融機関が提供する教育ローンを活用することで、一時的な資金不足を補うことができます。例えば、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」では、学生1人につき350万円以内の融資が可能で、年利2.65%(令和7年1月時点)となっています。
3. アルバイトの推奨
学業に支障がない範囲でのアルバイトは、収入を得るだけでなく、社会経験を積むよい機会となるでしょう。ただし、学業の妨げにならないようシフトの融通が利きやすく、初心者でも始めやすい仕事がおすすめです。
まとめ
お子さまの大学生活を支えるための仕送り額は、月額7万円前後が平均とされています。しかし、家庭の経済状況やお子さまの収入状況、地域の物価などを総合的に考慮し、無理のない範囲で適切な金額を設定することが重要です。
また、仕送り以外のサポート方法も活用し、お子さまが充実した大学生活を送れるよう支援していきましょう。
出典
全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査 概要報告
国税庁 No.1180 扶養控除
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金制度の種類と概要
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
日本政策金融公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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