墓地の管理が難しくなって「墓じまい」を検討する人は多いのではないでしょうか。しかし「手順が分からない」「手続きが面倒」「費用面の折り合いがつかない」などの理由でなかなか進まないケースは少なくありません。 そこで本記事では、墓じまいをスムーズに進めるために知っておきたい手順や大変なポイント、費用感などについて分かりやすくまとめました。
墓じまいはやることが多い! 一般的な手順と手間がかかるポイント
墓じまいとは、さまざまな理由で維持管理が難しくなったお墓を廃止し、新たなお墓や永代供養の施設に改葬したり、手元供養に切り替えたりすることを言います。一般的に墓じまいは次のような手順で進めます(※納骨堂などに改葬する場合)。
1.親族間で相談し、同意を得る
2.お墓の管理者に連絡して埋葬証明書を発行してもらう
3.遺骨の受け入れ先を決め、管理者に受入証明書を発行してもらう
4.墓じまいの作業(墓石の解体・撤去、墓地の整地など)を依頼する業者を決める
5.墓地を管轄する自治体で改葬許可証を発行してもらう
6.遺骨を取り出す(必要に応じて閉眼供養などを行う)
7.更地にした墓地を管理者に返還する
8.遺骨の受け入れ先に納骨する
一通り目を通すだけでも、決めなければならないことや取るべき手続きの多さが分かるでしょう。全ての作業に管理者や行政の許可が必要です。また、業者や遺骨の受け入れ先を決める作業も、心当たりがなければ難航するでしょう。多くの手間ひまがかかるために、手続きが滞ってしまうケースも珍しくありません。
株式会社鎌倉新書が実施した「第3回改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)」では「改葬・墓じまいをする中で大変だったこと」の上位に、次のような点が挙げられています。
・遺骨の引っ越し(改葬)先選び
・役所手続き
・解体業者選び
どのような順番で何をやらなければならないのか、手続きはどこでどのように行うのかといった点を整理して、親族間で負担を分担しながら手続きを進められるのが理想です。
墓じまいの費用はどれくらいかかる?
墓じまいを進めるうえで手間ひま以上にネックとなるのが、多くの費用がかかる点です。鎌倉新書が行った「第3回改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)」でも、改葬・墓じまいを検討したがやめた理由の1位に「解体費用が高すぎた」が挙がっています(「手続きがめんどうだった」は3位です)。
同調査によると、実際に墓じまいをした人がかけた実施費用は31~70万円が約24%で最多です。一方で、30万円以下でできた人が約16%、151万円以上かかった人が約15%いるなど、費用帯の幅広さがうかがえます。
墓じまいにかかる費用は、一般的に墓地の広さや改葬先の管理費用で左右されます。また、撤去作業などを依頼する業者の価格設定によっても費用は変動します。かかる費用の項目とそれぞれの費用感を整理して、トータルのコストを見ながら業者や改葬先を検討しましょう。
墓じまいには補助金が活用できることも
近年、墓地の無縁化などの問題が多く発生していることから、墓じまいの促進を目的に、費用を助成している自治体もあります。
《例》
・千葉県市川市 霊園一般墓地返還促進事業
:墓地の原状回復費用の助成(最大44万円)や墓地使用料の返還などを実施
・千葉県浦安市 墓所返還者等支援事業
:墓石撤去費用の助成(最大15万円)、改葬先の合葬式墓地(合祀室)の使用料の無償化を実施
・群馬県太田市 八王子山公園墓地墓石撤去費用助成金
:墓石撤去費用の助成(最大20万円)を実施
墓地のある自治体で墓じまいに関する助成事業を実施していないかどうか、事前に確認してみましょう。
墓じまいの手続きや費用感を知って円滑に進めよう
墓じまいは、決めなければならないことや必要な手続きが多く、簡単ではない作業です。スピーディーに進めるには、手順を整理し、役割分担をするなどの負担軽減対策が必要でしょう。
また、費用面の負担も決して軽くありません。予算に合わせた業者選びや改葬先選びをすることに加えて、自治体の助成金なども活用しながら、スムーズな墓じまいを実現しましょう。
出典
株式会社鎌倉新書 いいお墓 【第3回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)
市川市 市川市霊園一般墓地返還促進事業
浦安市 墓所返還者等支援事業
太田市 八王子山公園墓地
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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