高額療養費制度の「自己負担限度額」が引き上げに!?「年収1000万円」以上だと月いくらになる? 上限額をシミュレーション

高額療養費制度の「自己負担限度額」が引き上げに!?「年収1000万円」以上だと月いくらになる? 上限額をシミュレーション

1月30日(木) 17:30

2025年8月から高額療養費制度の「自己負担限度額」が段階的に引き上げられることをご存じでしょうか。 同制度は高額な医療費がかかった際に自己負担額を一定額に抑えてくれる心強いものですが、上限額が引き上げられると自己負担額がいくらになってしまうのか、不安に思うかもしれません。 本記事では、段階的な制度変更が予定されている高額療養費制度について解説します。 高額療養費制度とは 高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が高額になった場合に、患者の経済的負担を軽減してくれる制度です。1ヵ月の間に医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が一定の上限額(自己負担限度額)を超えた場合に適用されます。   自己負担限度額は所得区分によって異なりますが、現行制度では「70歳未満」の患者の場合は次のように計算されます。なお本記事での計算は、過去12ヶ月間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目から自己負担限度額がさらに引き下がる「多数回該当」までは考慮していません。 年収約1160万円~:25万2600円+1% 年収約770万円~約1160万円:16万7400円+1% 年収約370万円~約770万円:8万0100円+1% 年収約370万円未満:5万7600円 住民税非課税:3万5400円 ※「+1%」とは、定率窓口負担額を超える医療費に対して1%の自己負担を求めるものです。   予定されている段階的な制度変更内容 高額療養費制度は段階的な制度変更が予定されています。「70歳未満」患者がどのような扱いになるのかを次項以降にそれぞれ記載します。   2025年8月~2026年7月では「定率引上げ」予定 2025年8月~2026年7月は「定率引上げ」が実施される予定で、引き上げ後の具体的な計算は次の通りです。 年収約1160万円~:29万400円+1% 年収約770万円~約1160万円:18万8400円+1% 年収約370万円~約770万円:8万8200円+1% 年収約370万円未満:6万600円 住民税非課税:3万6300円 ※「+1%」とは、定率窓口負担額を超える医療費に対して1%の自己負担を求めるものです。   年収約1160万円~の区分では、医療費が84万2000円を超過した額に対して、年収約770万円~の区分では、医療費が55万8000円を超過した額に対して、年収約370万円~の区分では、医療費が26万7000円を超過した額に対して、1%の自己負担が求められます。   2026年8月~2027年7月では「さらに細分化」して限度額引き上げ予定 2026年8月~2027年7月は「さらに細分化」しての限度額変更が予定されており、変更後の具体的な金額は次の通りです。 年収約1650万円~:36万7200円+1% 年収約1410万円~約1650万円:32万5200円+1% 年収約1160万円~約1410万円:29万400円+1% 年収約1040万円~約1160万円:22万200円+1% 年収約950万円~約1040万円:20万4300円+1% 年収約770万円~約950万円:18万8400円+1% 年収約650万円~約770万円:11万3400円+1% 年収約510万円~約650万円:10万800円+1% 年収約370万円~約510万円:8万8200円+1% 年収約260万円~約370万円:6万9900円 年収約200万円~約260万円:6万5100円 年収~約200万円:6万600円 住民税非課税:36300円 ※「+1%」とは、定率窓口負担額を超える医療費に対して1%の自己負担を求めるものです。 2027年8月以降には「さらに限度額引き上げ」予定 2027年8月以降には、前項の細分化区分は変えず「さらなる限度額引き上げ」の予定であり、変更後の具体的な計算は下記の通りです。 年収約1650万円~:44万4300円+1% 年収約1410万円~約1650万円:36万300円+1% 年収約1160万円~約1410万円:29万400円+1% 年収約1040万円~約1160万円:25万2300円+1% 年収約950万円~約1040万円:22万500円+1% 年収約770万円~約950万円:18万8400円+1% 年収約650万円~約770万円:13万8600円+1% 年収約510万円~約650万円:11万3400円+1% 年収約370万円~約510万円:8万8200円+1% 年収約260万円~約370万円:7万9200円 年収約200万円~約260万円:6万9900円 年収~約200万円:6万600円 住民税非課税:3万6300円 ※「+1%」とは、定率窓口負担額を超える医療費に対して1%の自己負担を求めるものです。   年収1000万円の人の「上限額」はどうなる 年収1000万円の人の高額療養費制度の「上限額」は、現行制度では「16万7400円+1%」ですが、段階的に上昇予定であり、2027年8月以降には「22万500円+1%」となる予定です。自己負担額が現行制度よりも大きくなってしまうため、注意が必要です。   ※「+1%」とは、定率窓口負担額を超える医療費に対して1%の自己負担を求めるものです。   まとめ 本記事は、2025年8月から段階的な制度変更が予定されている高額療養費制度について記載しました。高額療養費制度は経済的負担を軽減するよい制度ではありますが、現行よりも「上限額」は引き上げとなってしまう予定です。   対策として、医療サービスを可能な限り受けなくていいように個々人が健康増進に向けて取り組むことはもちろん、貯蓄や資産運用、必要最低限の保険加入など、今まで以上に将来に向けた備えが必要になるでしょう。   出典 財務省「令和7年度社会保障関係予算」   執筆者:小林裕 FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート 【関連記事】 75歳で「高額療養費制度」を利用する場合、ひと月の上限額はいくらになる? 年収400万円と年収800万円、手取りはそれぞれいくら? 入院先が4人部屋なのに「差額ベッド代」が!? 個室じゃなくても“請求”されるケースとは? 知っておきたい注意点を解説

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