35年に「厚生年金」の「企業規模要件」が撤廃!? パートで働く私にどんな影響があるの?

35年に「厚生年金」の「企業規模要件」が撤廃!? パートで働く私にどんな影響があるの?

1月29日(水) 18:00

パートで働く方の中には、厚生年金の加入について迷っている方も多いのではないでしょうか。厚生年金に入ると将来の年金額が増える一方で、手取り収入が減るなどの影響もあります。本記事では、厚生年金に加入するメリット・デメリットに加え、今後の制度変更について詳しく解説します。 厚生年金に加入できる条件とは? まずは厚生年金の加入条件を確認していきましょう。パートで働く場合、以下の条件をすべて満たすと厚生年金に加入することができます。主な要件は以下のとおりです。 ●週の所定労働時間が20時間以上 ●月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円以上) ●2ヶ月を超える雇用の見込みがある ●学生ではない(※休学中、定時制・通信制の学生は対象) ●勤務先の従業員数が51人以上 これらの条件をすべて満たす場合、厚生年金への加入が義務づけられます。   35年には厚生年金の企業規模要件がなくなる? 厚生労働省は、厚生年金の適用範囲を拡大する方針を発表しています。以下のように段階的に条件を拡大し、35年には完全に撤廃されます。 ●2027年10月 → 従業員36人以上の企業も対象に ●2029年10月→21人以上の企業も対象に ●2032年10月→11人以上の企業も対象に ●2035年10月 → 企業規模の条件を完全撤廃 また、「月額賃金8.8万円以上」という条件も、将来的に撤廃される可能性があります。これにより、今後さらに多くのパート労働者が厚生年金に加入することになると予想されています。   厚生年金に加入するメリット 先ほど見たように今後、対象者は増えていきます。それではパートをしている人にとって、厚生年金に入ることにはどんなメリットがあるのでしょうか?   1. 将来の年金受給額が増える 厚生年金に加入すると、老後に受け取る年金額が増えます。通常の「基礎年金(国民年金)」に加え、働いた期間や収入に応じた厚生年金を受給できるため、より安定した老後生活を送ることができます。   2. 健康保険にも加入できる 厚生年金に加入すると、健康保険にも同時に加入することになります。これにより、医療費の負担が軽減されるほか、傷病手当金や出産手当金などの給付を受けることも可能になります。   3. 保険料の半分を会社が負担 厚生年金の保険料は、会社と労働者が折半(半額ずつ負担)する仕組みです。そのため、実際に自分で払う金額以上の年金保険料が積み立てられることになります。   4. 障害年金や遺族年金の保障 厚生年金に加入していると、病気やけがで働けなくなった場合の障害年金や、加入者が亡くなった際に遺族が受け取れる遺族年金の対象になります。これらの年金は、加入期間や標準報酬月額に応じて支給され、予期せぬ事態への備えになります。   厚生年金に加入するデメリット 一方で、厚生年金に入ることによるデメリットもあります。   1. 手取り額が減る 厚生年金に加入すると、社会保険料(健康保険料+厚生年金保険料)が毎月の給与から控除されるため、短期的には手取り収入が減少します。   2. 配偶者の扶養から外れる可能性 厚生年金に加入し、年収が一定額を超えると、配偶者の健康保険の被扶養者から外れる場合があります。扶養を外れると、自分自身で社会保険料を負担する必要があるため、注意が必要です。   3. 生活費のやりくりに影響することも 社会保険料の控除により、月々の可処分所得が減るため、生活費のやりくりが厳しくなります。特に、家計に余裕がない場合は慎重に検討しましょう。   まとめ 長期的に見ると、厚生年金に加入することで老後の年金額が増え、医療保障や各種給付金も受けられるため、メリットは大きいです。ただし、現在の手取り収入や生活費への影響も無視できません。加入による負担が大きい場合は、慎重に検討する必要があります。   厚生年金への加入は、目先の手取り収入を減らす一方で、将来の安定した生活を支える重要な制度です。長い目で見て、自分や家族の生活設計にどのような影響を与えるのかを考えながら、無理のない判断をすることが重要です。   将来の安心を手に入れるために、厚生年金の仕組みを理解し、自分にとって最善の選択をしていきましょう。   執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー 【関連記事】 103万、130万はどっちが得? 働く主婦が知っておきたい、年収の壁とは? パートで「月に10万円」稼いだら、社会保険の扶養から外れる!? 社会保険加入対象の条件って? パート収入を103万円-130万円-150万円と増やす「デメリット」を意外に知らない人は多い。

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