お米や野菜など、ものが高かった年末、今年もさらなる物価高が予想され、なんとか支出を抑え節約をしたいところ。
じつは、補聴器を買ったり、マッサージに行ったり、はたまた故郷で同窓会を開いたときなどでも、自治体によっては、お金がもらえることを知っているだろうか?
「自ら役所に届け出をすればもらえるお金が、数多くあります」
と話すのは、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。
届け出だけでお金がもらえるというのであれば、活用して少しでも節約したい。
「助成金・補助金や給付金は税金を財源とした自治体のサービスなので、見逃す手はありません。
ただし自動的に支給されるのではなく、役所などに申請することで初めて受け取ることができるお金です。自分で手続きをすることが原則となっています」(井戸さん、以下同)
国や自治体はさまざまな助成金や補助金制度を設けていて、条件を満たせば申請することでお金がもらえる。
が、申請しなければ何ももらえない!
税金や保険料など“納めるお金”は、たびたび督促がくるというのに……。
それに加えて、こうした制度さえ知らない人も多いという。
「国からもらえるお金を知ることは、生活費の節約にも直結します。しかし、広報の情報を見ていなくて、もらえるお金のことを知らない人が多いです」
そもそも助成金、補助金、給付金とはどういったものだろうか。
「助成金、補助金」は自治体の予算から出ることが多く、内容や金額などは各自治体によって異なる。
「給付金」は主に国や健康保険、雇用保険、年金保険などの制度から出るもの。
どちらも自分で申請しない限り受け取れない。
「ただし、健康保険料、雇用保険料、年金保険料、住民税など、義務として支払うべきものをきちんと払っていることが受け取る資格対象となります」
また、制度を利用するには、そのための要件を満たす必要がある。
給付金については年金事務所、助成金、補助金は各市区町村役場・福祉事務所など。
各自治体によって内容・名称・金額なども違い、行っていない場合もあるので、まずは自分が住む地域の役所に問い合わせをする必要がある。
■事前に申請手続きをしないともらえないお金も
もうひとつの重要ポイントは、
「スマートフォンや電動自転車などの購入補助を受ける場合、購入前に申請の手続きをすることが必須です。
購入してからでは、領収書を持参しても申請は認められません」
これは、うっかりやってしまいそうなので、要注意。
自宅をバリアフリーにするにしても、マッサージを受けるにしてもすべて前もって申請してからスタートすることが前提条件となる。
たとえば「ふるさと同窓会応援事業補助金」の場合、利用できるお店や最大人数など、細かな要件があるので前もってチェックしてから申請を。
さらに、こんなアドバイスも。
「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)を受ける場合は、家族の中でいちばん収入の多い人(夫や子供)にまとめて医療費控除の確定申告をしてもらうと、税率が高いので有利です」
また、最近、申請者が増えているのは、
「高齢者の関心が高まっている『宅配ボックス助成制度』です。
これは、地球温暖化対策の一環として、再配達に伴うCO2の削減を推進するため宅配ボックス設置費用を助成(上限5万円)するものです。
マンションなどの集合住宅は最初から設置されていることがありますが、戸建てで設置する場合は申請が必要です。
外出しにくい高齢者にとって宅配は便利ですし、また防犯という意味でも希望者が多いのです」(申請は住んでいる自治体へ)
物騒な事件が多い昨今。他人と対面するのが怖いというお年寄りもいるのでニーズがある。
支給される給付金や助成金・補助金も自治体の財源によって大きな差がある。
たとえば、「葬祭費支援給付金」は、東京都の場合は、一律7万円が支給されるが、1万円という自治体もある。
また、助成金や補助金は予算が決まっているので、年間の予算に達してしまうと対象の制度が早めに終了してしまうこともあるので注意を。
「ふだんから自治体の広報誌やホームページをチェックしておきましょう。気になるサービスがあれば、窓口で相談をしてください。
1月にスタートする制度もあれば、4月にスタートするものもあります。日ごろからこまめにチェックしておけば、自分が利用するときに慌てずにすみます」
住んでいる自治体のサービスを調べることを習慣にして、もらえるお金を見逃さないように。