日々多くの人が訪れるからこそ、病院で迷惑な人物を見かける機会も多いと聞く。総合病院に勤務する小西葉留花さん(20代・仮名)は、厄介な患者に頭を悩ませた経験を持っている。
「もっと腹から声を出せよ」と怒鳴られて…
「病院に来た患者の用件を聞いて案内するのが主な業務で、5年ほど勤務しています。そのなかで1人、本当にヤバいおじさんがいました。年齢は55歳で、見るからに頑固そうなおっさんでした。髪はボサボサ、ヒゲはボーボーで強面。見た目から『ヤバい』感じが漂っていて、警戒していました」
頑固そうな50代男性を警戒していたという小西さん。ある日、事件が発生したそう。
「見るからに怖そうだったので萎縮してしまった私は、少し案内する声が小さくなってしまったんです。すると『は?そんなんじゃ聞こえねえよ』と威圧的に言われました。『すみません』と謝罪すると、調子に乗ったのか『もっと腹から声を出せよ』と怒鳴られてしまって。『あんたの耳が悪いんだろ』と内心思いましたが、耳の遠い人も多いのがこの職場ですから、その場は『すいませんでした』と謝罪しました。丸く収まったのですが、その後、私を顔を見るなり『腹から声を出せよ』とか『聞こえない』など、威圧的な言動をたびたびしてくるようになりました」
男性職員には威圧的な態度を見せない
小西さんは男に苦手意識を持ち、上司に相談したそうだが……。
「威圧的な言動がどうしても許せなくて、話を聞いてもらったのですが……。『言動が乱暴な患者は一定数いる。慣れたほうがいい』と、『私が悪い』という感じで言われました。同僚に話を聞くと、『私も怒鳴られた』『凄く横柄な態度を取られた』と同じ被害に遭っているようでした。看護師にも話を聞いてみたのですが、『私たちには普通だよ』と言われました。この男は横柄な態度をとる人と、素直に言うことを聞く人をわけていて、受付の女性陣だけに粗暴な態度をとっているということがわかりました。受付でも男性職員が受付すると、ブスっとしているものの、威圧的な態度を見せないんです。なるべく男性職員に対応してもらうようにしたのですが、男があえて女性職員がいるところを狙って話しかけてくるようで、結局は我慢しなければいけない状況が続きました」
しつこく粘着された新人が泣き出し…
ある日、事件が発生する。
「新人の子が、たまたま男を対応してしまったんです。そこで名前を間違えました。同じ苗字だったため、別の人の名前を呼んでしまいました。よくある話なので、普通は謝罪すれば終わりなのですが、男は『ふざけるな。名前を間違えるなんて失礼だ!』と絶叫。しつこく粘着されて、新人の子は泣き出してしまいました。私は申し訳ないけれど、関わり合いたくなくて、黙って見ているだけでした。なんとかしなければいけないというのは、わかっていたのですが。他の患者も見ているのみで、助けようとする人は誰もいなかった。ずっと男が罵声を浴びせていました。
5分ぐらい経過したところで、おそらく誰かが呼んだのでしょう、看護師長がやってきました。『あなた。いい加減にしなさいよ、ちゃんと謝ってるでしょ』と強めの口調で一喝しました。男が『こいつは俺の名前を間違えたんだ。失礼だろ』と反論すると、『あなただって間違えることはあるでしょ。女だからって、下に見てるんじゃないわよ。その態度が、われわれにとって失礼ですよ。あなたはもう、治療を受けられません。おかえりください』とバッサリ斬りました。男はぐうの根も出なくなったのか、威勢の良い態度は鳴りを潜め、帰っていきました。結局男は出入り禁止となり、その後、見たことはありません」
病院は多くの人が利用する施設。職員に対する威圧的な言動や粗暴な態度が好ましくないことは明らかだ。患者と職員が不愉快にならない対応を心がけてほしい。
<TEXT/佐藤俊治>
【佐藤俊治】
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など
【関連記事】
・
「風呂の温度がぬるい!」小柄な女性バイトを狙ってクレームをつける50代男性。県内全てのスーパー銭湯を出禁になるまで
・
新幹線の指定席を「渡り歩く」50代男性。疑念を抱いた乗客が車掌にチクった結果…
・
「すぐそこやないか。歩け」と暴言を吐かれた…「京都の個人タクシーは最悪」と主張する男性が受けた非道の数々
・
「文字が小さい。なんとかしろ!」携帯ショップの店員を苦しめる“横暴な中高年客”。退職を決意した出来事は…
・
慶応卒で「一流企業に就職した」女王様気質な幼馴染の末路。突然「100万円貸して」と連絡がきたワケは…