志望大学によっては、自宅から通えないことも少なくありません。子どもが大学の近くで一人暮らしをする場合、仕送り額がいくらかかるか不安を覚える保護者も多いでしょう。 本記事では、大学の子どもに対する毎月の仕送り額の相場を解説します。大学進学を控えた子どもがいる人は参考にしてください。
大学生の子どもへの仕送り額の平均と相場
学生に必要な生活費について、居住形態や大学の種類ごとに解説します。なお、本記事では、一般的な4年制の昼間部の大学を前提とし、仕送りの目的は大学生の生活費とします。
居住形態による生活費の違い
自宅を除いた居住形態別に、以下の図表1で生活費を比較します。
【図表1】(金額は国・公立、私立の平均値)
生活費内訳
学生寮
アパート・下宿など
食費
23万4300円
26万2400円
住居・光熱費
28万1300円
45万5400円
保健衛生費
4万5200円
5万2800円
娯楽・嗜好費
11万3200円
12万9900円
通学費
1万7500円
2万4800円
その他の日常費
16万2900円
17万1300円
合計
85万4400円
109万6600円
※日本学生支援機構令和4年度学生生活調査結果より筆者作成
大学に関係なく居住形態だけで比較すると、学生寮とアパートなどの賃貸には年間24万2200円の違いがあることがわかります。学生寮が利用できる大学であれば、仕送り額を月間2万円程度おさえることが可能です。
国公立と私立での生活費の違い
居住形態だけでなく大学の違いも加味した比較は図表2のとおりです。
【図表2】単位:円
生活費内訳
学生寮
アパート・下宿など
国立
公立
私立
国立
公立
私立
食費
25万9300円
26万7700円
22万5400円
27万1400円
24万9800円
26万円
住居・光熱費
23万7100円
24万0800円
29万6400円
48万500円
43万6100円
44万6600円
保健衛生費
4万2900円
4万1600円
4万6000円
4万9800円
4万6600円
5万5100円
娯楽・嗜好費
13万2400円
9万9600円
10万8200円
13万6500円
13万800円
12万6700円
その他の日常費
15万3100円
15万2400円
16万6400円
16万1200円
16万1100円
17万7300円
通学費
1万3300円
1万1300円
1万9000円
1万7500円
2万8000円
2万7600円
合計
83万8100円
81万3400円
86万1400円
111万6900円
105万2400円
109万3300円
※日本学生支援機構令和4年度学生生活調査結果より筆者作成
もっとも高額なのはアパート下宿住まいの国立大学、もっとも少額なのは学生寮の公立大学という結果となりました。大学別での生活費は居住形態別よりも大きな差はありませんが、入学した大学によっては余裕を持って仕送りする必要があります。
仕送り額の目安
日本学生支援機構の調査結果では、家庭からの給付(仕送り額)は年間で109万6900円(月間9万1000円)です。一方、令和4年の全国大学生活協同組合連合会の調査(下宿生のみ)では、仕送り額は約7万円です。2つの調査結果から、仕送り額の相場は7〜9万円と推測できます。
しかし、学生の生活費は入学した大学や住居形態、居住地域によっても違いがあるので、総合的に判断して仕送り額を決めましょう。
仕送り額を節約する方法
必要な仕送り額がある程度明確になったら、以下の方法で仕送り額を節約してみましょう。
・奨学金
……奨学金が認められたら、学費が浮いた分を仕送りに回せます。条件を満たせば返済不要の奨学金もあるので、可能であれば利用しましょう。
・アルバイト
……学生のアルバイトは、平均月12万円が見込まれます。仕送りをカバーできますが、学業に影響が出ない範囲にとどめましょう。
・家賃をおさえる
……家賃負担は生活費の中でも大きな割合を占めます。学生寮を利用し、学生寮がなければなるべく家賃の安い賃貸を利用しましょう。
・ローンの利用
……ローンの利用は利息がかかるので節約にはなりませんが、毎月の負担を軽減できます。日本政策金融公庫など、低金利のローンを活用しましょう。
・特定扶養控除
……23歳未満の扶養家族であれば対象になる特定扶養控除は、一般の扶養控除38万円に対して63万円が控除されます。年末調整や確定申告で忘れずに申告しましょう。
なお、現金を送付するのではなく、子どもに学生カードや家族カードを持たせて保護者の口座から引き落とす方法もあります。金銭管理が容易になるので検討してみましょう。
仕送りは毎月一定額が必要なので、各種制度の利用や節約を心がけよう
学生の本分は学業と言われるように、勉学に集中させるためには生活費の心配をさせることは避けたいものです。そのためには、保護者からの仕送りは不可欠と言えます。
仕送り額は各自の状況に応じて決める必要がありますが、不足分は奨学金や特定扶養控除の申告、ローンの利用や家賃をおさえる工夫などでカバーしましょう。
出典
国税庁 No.1180扶養控除
国税庁 専門用語集特定扶養親族
JASSO令和4年度学生生活調査・高等専門学校生生活調査・専門学校生生活調査
日本政策金融公庫 教育ローン用 返済シミュレーション金利・ご返済方法について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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