60歳を迎えたものの、友人がいないために老後の資金について相談できない、または情報が入ってこないという方もいるかもしれません。「60代ではどれくらいの貯蓄が普通なのか」と疑問に思うこともあるでしょう。「老後資金として1000万円」を目安に考えている方もいるようですが、実際のところはどうなのでしょうか。 この記事では、60代の貯蓄事情や60代から老後資金を貯める際のポイントについて詳しく解説します。
60代の平均貯蓄額
金融広報中央委員会 知るぽるとの「家計の金融行動に関する世論調査」によると、60代の世帯における金融資産の平均保有額は以下の通りです。
●60代単身世帯:1468万円(中央値210万円)
●60代2人以上世帯:2026万円(中央値700万円)
なおこのデータには、金融資産を保有していない世帯も含まれています。
貯蓄額別の割合
同調査によると、60代における金融資産保有額別の割合は表1の通りでした。
表1
金融資産保有額
単身世帯
2人以上世帯
0円(非保有)
33.3%
21.0%
100万円未満
8.5%
5.9%
100万~200万円未満
4.7%
4.5%
200万~300万円未満
2.8%
4.3%
300万~400万円未満
4.3%
3.0%
400万~500万円未満
2.4%
1.9%
500万~700万円未満
3.5%
7.2%
700万~1000万未満
2.8%
6.7%
1000万円以上
34.2%
42.2%
出典:金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」を基に筆者作成
単身世帯、2人以上世帯いずれにおいても、金融資産保有額1000万円以上の割合が最も多く、次いで金融資産非保有の割合が多いという結果です。このことから、60代の貯蓄額には格差があるものの、高額の貯蓄を持つ人が多いことが分かります。
60代から老後資金を貯めるためには
60代からでも老後の資金を増やす方法はあります。まず、年金の範囲内で生活を工夫し、退職金は予期せぬ出費のために取っておくことが重要です。これにより、退職金を運用に充てる余裕が生まれ、資産を少しずつ増やすことが可能となるでしょう。
さらに、健康に問題がなければ、再雇用や再就職、パート・アルバイトを検討するのもひとつの手です。働いて得た収入は生活の補助になり、年金や退職金をそのまま貯蓄に回せる可能性があるため、将来に対する安心感が高まります。
老後資金を貯めるために、予想される出費を把握する
老後の資金計画を立てるためにも、予想される出費を確認することが重要です。食費や水道光熱費などの日常生活費に加え、固定資産税や医療費、修繕費などの突発的な支出、趣味やレジャー費も計上しましょう。
これらをリスト化し、年金や退職金などの収入を踏まえて収支を計算すれば、必要な資金が明確になります。長寿に備えた計画を立てることも大切です。
収入と支出の見直しで効率的な資金運用を
老後資金を効率よく活用するためには、収入の確保だけでなく、支出の見直しも欠かせません。リストアップした支出の中から削減可能な項目を検討しましょう。
例えば、携帯電話料金は契約内容を見直したり、格安スマホに切り替えたりすることで大幅な節約が期待できます。また、保険料も老後の負担になりやすいため、子どもが独立した後などには不要な保障を減らすことも検討しましょう。保障を見直し、不要な保険を解約することで、保険料の負担を軽減できます。また、解約返戻金を老後資金に充てることも可能でしょう。
60代の貯蓄事情は個人差が大きいと考えられる
今回参照した調査結果によれば、60代の貯蓄事情は個人差が大きく、老後資金に余裕がある人もいれば、ほとんど貯蓄がない人もいます。平均貯蓄額は、単身世帯で1468万円、2人以上世帯では2026万円ですが、実際の必要額はそれぞれの生活スタイルや予測される出費により異なります。
老後の資金計画を立てるには、予想される支出を把握し、収支を計算することが重要です。また、収入源を増やす工夫や支出の見直しを行うことで、効率的に資金を運用し、安心できる老後を目指しましょう。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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