インフルエンザに新型コロナ…“感染症ドミノ”が増加中。医師に聞いた、対策の3ステップ

インフルエンザに新型コロナ…“感染症ドミノ”が増加中。医師に聞いた、対策の3ステップ

12月25日(水) 15:48

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本格的な冬に突入し、インフルエンザの患者数は全国的に急増している。そればかりか、新型コロナウイルスの感染者も増加中で、マイコプラズマ肺炎や手足口病、感染性胃腸炎といった感染症も蔓延。短期間に何度も感染症にかかる「感染症ドミノ」のリスクが高まっているという。 どうして、こんな厄介なことになってしまったのか?今冬の感染症事情と対策を、いとう王子神谷内科外科クリニック院長の伊藤博道先生に聞いた。 あらゆる組み合わせで感染症ドミノが そもそもなぜ、同時にいくつもの感染症が流行する事態になってしまったのか?伊藤先生が指摘するのは「感染症対策の緩和と免疫力の低下」だ。 「昨年5月に新型コロナウイルスが5類に移行し、感染症対策がゆるやかになりました。それまで、コロナ対策のマスクや手洗いで結果的に封じ込められていたさまざまなウイルスが、ここぞとばかりに表に出てきた印象です。加えて、今年は残暑が長く厳しく、からだが冬の準備ができないまま寒くなったため、免疫力が低下している人が多いのも影響していると考えられます」(伊藤先生、以下同じ) 実際、先生のクリニックでも11月末から、感染症ドミノの患者さんが目立つようになったという。たとえば、手足口病の後にリンゴ病に感染した小3女児や、マイコプラズマ肺炎のあとに手足口病になった中2女子、インフルエンザとマイコプラズマ肺炎に立て続けに感染した34歳女性など、「あらゆる組み合わせで感染する状況」だ。 ================= ●1医療機関あたりの平均患者数 (12/9~12/15の1週間) インフルエンザ……19.06人 感染性胃腸炎……4.89人 新型コロナ……3.89人 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)……2.61人 マイコプラズマ肺炎……1.81人 手足口病……1.32人 伝染性紅斑(りんご病)……0.94人 国立感染症研究所調べ 12/24発表 ※インフルエンザの流行期入りの目安は「1人」 ================== 子、母、父と家庭内感染も しかも、数か月の間で感染するのではなく3〜4週間という短いスパンの中で感染するケースが多く、また、家庭内感染が多いのも特徴だそう。子どもが感染して、母親、父親と“家庭内ドミノ”が起きるわけだ。 「先ほど言った小3の女の子と中2の女の子は実は姉妹なんです。お姉ちゃんのほうは倦怠感と微熱が続いて、検査をするとマイコプラズマ肺炎でした。長引く咳に体力や免疫力が落ちていたところに、今度は妹さんが学校でもらってきた手足口病に感染。 熱が下がっても、本当の意味での体の回復——免疫力や体力が戻るには3週間から4週間程度かかりますから、感染ドミノが起こるのも無理はないのです」 熱が下がったり、のどの痛みがよくなったりしても、決して、まだまだ本調子ではないということ。 相手がどんなウイルスであろうとも、免疫が弱っている時期は感染のリスクが高まってしまう。 では、具体的にどう対策していけばいいのか?感染の予防と重症化の予防の観点から見ていこう。 対策①歯磨きや乾燥予防で、ウイルスを体内に入れない まずなにより、感染症にかからないのがいちばん。感染症予防策といえば、ご存じのとおり、うがいと手洗い、そして人混みでのマスク着用だ。 「それらの基本的な感染症対策に、ぜひ、歯磨きも加えてください。ある研究で、口の中の歯周病菌がウイルスへの防御機能を弱めるということが明らかになりました。言い換えれば、歯磨きをしっかりして、オーラルケアを行うと歯周病菌やウイルスを吐き出すことができます」 そしてもう一つ、伊藤先生が強調するのは「乾燥対策の徹底」だ。 「目や鼻、口の粘膜にはウイルスや細菌を侵入させない独自の免疫システムがあります。この粘膜免疫が“第一次防衛ライン”となって病原体の侵入を防いでくれます。ところが、乾燥すると、この防衛機能が働かなくなってしまうのです」 こまめに水分を補給するほか、鼻の周りにワセリンを塗ったり、生理食塩水を噴霧したり。冷えと乾燥は同時に起こるため、首や鼻のまわりをあたためるのも有効だとか。また、口呼吸になりがちな就寝時はガーゼマスクで鼻とのどに潤いを保つのもおすすめだ。 対策② 免疫リペアでウイルスをやっつける 乾燥を防ぎ、粘膜による「第1防御ライン」の守りを固めつつ、侵入してしまったウイルスに負けないよう「体の内側の免疫力を整えて、自分たちが本来持っている力を最大限発揮」させる“免疫リペア”も大切だ。 「乱れた免疫力を修復するには、睡眠と食事が重要です。でも、仕事が忙しく、睡眠時間を十分に確保するのは難しい人も多いでしょう。だとしたら、食生活にアプローチをしていきましょう。ポイントは腸内環境を整えること。ヨーグルトや納豆などの発酵食品、根菜類・玉ねぎやブロッコリーや海藻類などの食物繊維、免疫力を高める作用があるといわれるビタミンBとCを意識的に摂り、腸内細菌を多様化していくのです」 「そこまで食事に気を使えない!」という声が聞こえてきそうだが、それも工夫次第。たとえば、日々多忙を極める伊藤先生が実践しているのが、「食事のあとにみかんを2個食べる」「飲み会から帰ってきたら、飲み切りサイズのヨーグルトドリンクをぐいっと一飲み」といった“プラス一品”作戦。これなら、すぐに真似できそうだ。 「感染症というと子どもやお年寄りがかかりやすいイメージですが、新型コロナやインフルエンザを家に持ち込むきっかけは男性が多いように思います。決して男性が感染に強いわけではないのです。話を伺うとやはり、食事に偏りがある人も多い。たとえば筋トレをしてプロテインを摂っているわりに、食事に無頓着だったりするのです。 腸内環境をよくするために、発酵食品と食物繊維をしっかり摂りましょう」 対策③ 重症化しないよう、とにかく体を休める 乾燥予防と腸内環境で体に備わった免疫力を整えるのが、感染症対策の2大柱。とはいえ、どんなに気をつけても、目に見えないウイルスを完全に防御することはできないのも確か。感染してしまったら、どうしたらいいのか? 「感染症ごとに症状は違いますが、共通する症状も少なくなくありません。たとえば、新型コロナやインフルエンザも、マイコプラズマ肺炎も、しつこい咳やのどの痛みや発熱が起こります。どの感染症も最初に強烈な倦怠感があり、その数時間〜数日後に発熱することが多いようです。体が震えるほどの悪寒や普段とは違うだるさを感じたら、とにかく体を休めてください」 「なんか今日はいやにだるいな……」と思っても、年末年始の忙しさで「いよいよ疲れがピークかな?」程度に軽く考えてしまうかもしれない。しかし、いつもとは何か違う感覚を少しでも覚えたら、感染症の予兆を疑い、しっかり養生しよう。そして早めに病院に行こう。 “とりあえず”の対処療法も大切 「症状の出はじめは、病院で検査をしても、何の感染症だかわからないことがあります。 それでも、重篤化する前に、対処療法で症状を緩和させることは実は非常に大事なのです。熱が出て体力が激しく消耗して全身状態が悪くなったり、脱水から肝機能や腎機能が悪くなったりして、別の病気を発症してしまうこともある。また、高熱は神経系へのダメージにつながりますから、決して放置していいものではありません。また、そこまで衰弱すると感染症ドミノも起こしやすくなります」 先生のクリニックには、歩けなくなるほどのひどい脱水症状や頭痛で受診する患者さんや、待合室で意識を失ってしまう患者さんもいるそうで、どんな感染症も侮ってはいけないのだ。 感染症予防も重症化を防ぐのにも、なにはともあれ、乱れた免疫力を整えておく“免疫リペア”がいちばんだ。とりあえず、明日の朝から、ヨーグルトドリンク1本でも納豆1パックでも食事にプラスする――そんな習慣からはじめてみてはいかがだろうか。 <取材・文/小山武蔵> 【関連記事】 ・ “風呂キャンセル界隈”だった男性の過去。いじめを機にうつが悪化、2か月風呂に入らなかった結果 ・ “2つの病気”を公表、休業した24歳セクシー女優が語る当時の心境「最初は本当に動けなくて…」 ・ 「障害は個性ではない」。吃音を持つ開業医が伝えたい“あきらめずに悪あがきすること”の重要性 ・ 中高年男性に増える「男性更年期障害」のリアル。理由もわからず苦しむ当事者たちの思い ・ 「もう生きてたくない」セルフネグレクトに陥った35歳女性の胸中。親には「産まなきゃよかった」と言われ…

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