堀ちえみ、舌がん完治し「無理だと思った」音楽活動を本格再開病気を経て人生観に変化

堀ちえみ、舌がん完治し「無理だと思った」音楽活動を本格再開病気を経て人生観に変化

9月29日(日) 9:00

デビュー42周年を迎えた歌手の堀ちえみ。2019年に発症した舌がんも懸命な治療の末、今年完治。精力的にリハビリに取り組み、17年ぶりの新曲「FUWARI」をリリース、さらにはライブ『CHIEMI STYLE 2024~Autumn~』を開催するなど、音楽活動を本格再開させる。闘病を経て、「1回しかない人生、生き方を変えてみよう」と思ったという堀が、新たな気持ちで取り組む歌への気持ちを語ってくれた。 【写真】アイドル時代と変わらないキュートさ!堀ちえみ、撮り下ろしショット ◆風に吹かれるようにふわふわと生きていきたい病気経て気持ちに変化 ――2007年の「君といる世界」以来17年ぶりとなる新曲「FUWARI」が10月29日にリリースとなります。新曲制作のお話を聞かれたときのお気持ちは? 堀:この発語の仕方で、1から言葉を作っていくというのは無理だろうと思いました。ライブでは音が流れていきますが、レコーディングは記録としてそのまま残りますから、どう効果を施しても雑味とかそういう発音的な問題があるでしょうと。 そういう気持ちでいたのですが、音楽監督の白山さんが「やってみないと分からないからやりましょうよ!」とおっしゃってくださったんです。「ファンの皆さんも分かっているし、いつまで待っていても100%元には戻らないので、今で十分じゃないですか?ありのままの生き様をそのまま音楽として残しましょう」と。そこから話が進み、白山さんが曲を作ってくれて、私が詞を書きました。 ――詞にはどんな思いを込められましたか? 堀:私はリハビリで日本語の美しさを改めて実感したんですね。でも日本語って美しいからこそ、ものすごく繊細な音作りをしないといけないので、とても苦労しました。どういう表現で、どういう美しい言葉で、と考えるととても時間がかかって。でも、最終的にしっくりこなくて…。 そこで自分が伝えたいことって何かと考えた時に、感謝の気持ちしかないと改めて気づきました。医療従事者の皆様、看護してくださった皆様、言語聴覚士の先生、ボイストレーナーの先生、いろんな方の支えがあってここまで復活できたのだから、その今ある命に感謝を伝えたいとなり、1コーラス目は今までの苦しい自分と対峙してきた思い、2コーラス目はこれからの自分へどうやって気持ちを持って行ったかということ、全体的には皆様に感謝の気持ち、そんな思いを詞に託そう、素直な気持ちを出そうと思ったら40分くらいで全部書き上げることができました。 ――出来上がった曲を聴いてみていかがでしたか? 堀:本当にいい曲だなって(笑)。 私は今まで人生は一生懸命生きることが美徳だと思っていたんです。いろんな意味で自分を犠牲にしてでも一生懸命生きていくことが美徳だと。でも、病気を経験して、これからはそうじゃなく、風に吹かれるようにふわふわ~と生きていきたい、生き方を変えようと思ったんです。1回しかない人生だから、“自分が一生懸命”が美徳ではなく、“なるようになるさ”くらいの“ケセラセラ”な感じでふわふわと生きていきたい。タイトルの「FUWARI」にはそんな思いを込めています。 ◆歌いたいからこの世界に――14歳の原点を療養期間に思い出す ――昨年には、デビュー40周年記念ライブ「Chiemi Hori 40thプラス1 Anniversary Live~ちえみちゃん祭り2023~」を開催。この周年ライブを目指してリハビリにも必死に取り組んでこられました。 堀:生きててよかったなって思いました。会場に駆けつけてくださった皆様の姿を見て、こんなにも待っていてくれる方々がいたんだと実感し、正直歌を手放そうと思っていた自分もいましたが、諦めないでよかった、手放さなくてよかったという思いがこみ上げました。 いろいろ人生を振り返ったときに、特に療養期間を終えてからそのままコロナ禍に入っていったこともあり、いろいろ考える時間があって。コロナの時期を経験したこともプラスされて、生きるってなんだろう、命ってなんなんだろうって考えたんですね。 自分は14歳の時になんで東京に出てきたんだろうって改めて思ったら、歌いたいからこの世界に入った。ドラマや映画とかいろんなことをやらせていただきましたけども、歌いたいっていう14歳の純粋な気持ちを持ったまま大人になって、お母さんになって生きてきて、そして病気にもなった。しかも、歌うのに致命的な部位のがんに。これはなんなんだろうと考えた時に、もう1回この状態でも歌いなさいっていう試練かなと思ったので、なにがなんでも、1人でも待ってくれている方がいらっしゃるのであれば、歌うべきだなと思ったんです。 それから、YouTubeで日本の歌い手さんはもちろん海外のアーティストなどが歌う時の舌の動きを見まくりました。フレディ・マーキュリーやミック・ジャガーはどういう舌の動かし方、どういう口の開け方をしているのかと一生懸命研究を重ねました。 ――リハビリ中に以前より音域が広がったとか。 堀:そうなんです!ケガの功名といいますか、こういうことがなければ、解剖学にも目を向けなかったと思います。人が声を出す、人が言葉を操るというのは、どういう仕組みで、どのような部分を使って、どうやって出すのかっていうことをいろいろと研究したからこそ、一生懸命歌っていたのを力を抜くことから始めないといけないと、素人ながら勉強した効果かなと思います。 ――10月29日、30日に渋谷 duo MUSICEXCHANGEにて開催される、ライブ「CHIEMI STYLE 2024~Autumn~」はどんなライブにしたいですか? 堀:今までは歌うとなったら、芸歴が長くなってしまったこともあり、全力でやらなきゃならないと周りも含めて身構えて、「よっこいしょ」と立ち上がる感じだったんですね。でもこれからは気軽に身軽に、もっと楽に、歌いたいから歌うんだっていうスタイルで歌っていきたいなと思っています。 アイドル時代の曲も当時のアレンジのまま歌いますし、私が作詞した曲はもちろん、洋楽のカバーも披露したいと思ってます。英語がペラペラな娘の彼氏に特訓してもらってるんですけど、大変です(笑)。 ◆ファンからの「ありがとう」に、家族も励みをもらった ――今年デビュー42周年を迎えられました。振り返ってみると、どんな42年でしたか?あの時代にアイドルだった皆さんからは、忙しすぎて記憶がないというお話もよく聞きますが…。 堀:長かったけども、やっぱり早かったかな。あっという間でしたね。私はけっこう記憶に残っているんですけど、共演者だった風間(杜夫)さんには「ずっと寝てた」って言われて(笑)。 でも、いい思い出しか残ってないんですよね。だから続けられるのかな。嫌な思い出しか残ってなかったら、芸能界辞めっぱなしになっていたと思いますし。子育てと一緒でつらいことは全部忘れちゃうんですよね。いい部分しか残ってないから、子どもがいつまで経ってもかわいいと思える。そういう感情と同じかなって思ったりします。 ――堀さんといえば、『スチュワーデス物語』や『スタア誕生』『花嫁衣裳は誰が着る』など大映ドラマも忘れられません。撮影が過酷なことでも有名な大映ドラマで主演を務められ、歌番組にコンサートツアーと、そのハードスケジュールたるや…。 堀:ほかに雑誌の撮影やラジオもありましたからね。病気になった時に“今、この命を生きよう”と思う方向へ気持ちをシフトさせていけたのも、過酷な撮影を乗り越えて培ったド根性のおかげかなとも思います。 先日中学の同窓会があったんですね。小中とお嬢様学校と言われる学校に通っていたのですが、同級生や先生から「のほほんとした環境にいたのに、よくそんな根性がついたわね。芸能界ってもまれるところなのね」って言われました(笑)。でも、もともとの気質がたぶん、自分に負けずぎらいだったのかなとは思います。 ――2019年に発症した舌がんも、今年完治されました。 堀:がんに完治の告知があるなんて思わなかったので、主人と「え?完治ですか?」って2回くらい聞き返したりしました。完治ということで、この病気の治療はこれですべて終わりました。もうどこにもこの関連の再発もないです。検査も今後は自発的なものとなりますと言われて…。すごくうれしかったです。 ――芸能生活50周年、60代に向けて、これからどんな活動をしていきたいという目標がありますか? 堀:外国のアーティストを見ていると、女性男性と言うのはよくないのかもしれないですけど、女性のパワフルさに刺激を受けます。シンディ・ローパーのライブにも行ったことがありますがすごいですよね。それこそ、70代、80代になっても、ライブで口パクではなく本当に自分で歌っている、それくらいパワーを持ったおばあちゃんになりたいなって思います。 ――その第一歩となる、10月のライブ。どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、ライブを楽しみにされているファンの皆様へメッセージをお願いいたします。 堀:昨年のデビュー40周年記念ライブの時に、私ももちろんうれしかったのですが、家族もとてもうれしかったみたいでした。というのは、家族としては私に生きてほしいと思って、手術という方法を薦めたけれども、私が歌うのに苦労して、しゃべるのでさえも満足に伝わらないと落ち込んでいる姿を見て、本当にこれでよかったのかなと迷う気持ちや後悔もあったと思うんですよね。娘は10代だったのに、あのまま手術をせず、厳しい現実を経験させないまま、お母さんの人生を終わらせてあげた方がよかったのかなと時には思ったのかなと。 でもライブでファンの皆様がとってもうれしそうな顔で熱い声援と、本当だったら私が先に言いたい「ありがとう」という言葉を言ってくれて。生きててくれてありがとうというあの言葉が、ファンの皆様にとってもよかったんだ、こういう堀ちえみになってしまったというのではなくて、どんな姿でもお母さんを待っていてくれたんだということを家族も実感することができました。ファンの皆様の声援に、私だけではなく家族も励みをいただいた、そんなライブだったんです。 今回のライブも、いろんな人生がある中で、私のライブを見て頑張って来てよかったなって思ってもらえるような、そんなライブにしたいです。これから先はノンストップでどんどんどんどん歌っていきますので、皆さんも健康に気を付けてついてきてね!そんな思いを届けたいと思っています。 (取材・文:田中ハルマ写真:松林満美) ライブ「CHIEMI STYLE 2024~Autumn~」は、10月29日、渋谷 duo MUSICEXCHANGEにて開催(ソールドアウト)。10月30日に追加公演も決定。チケットは発売中。 堀ちえみニューEP「FUWARI」は10月29日リリース。 ■関連記事 【写真】堀ちえみ、80年代人気アイドルらと会食に反響「凄く楽しそう」 【写真】堀ちえみ、“堀越高校の先輩”のコンサートへ楽屋あいさつ呼ばれ「緊張で震えてしまいました」 堀ちえみ、舌がん闘病乗り越え音楽活動本格復帰今秋ライブ&CDリリース 堀ちえみ、闘病5年「舌がん完治」報告「涙が溢れて止まりません」 堀ちえみ、“花の82年組”キョンキョン40周年ライブへ「たくさんの想い出が溢れ出て…」ファンも感涙

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