【映画.com独占】役所広司が23年ぶりに挑んだ舞台の裏話、そしてそれぞれの好きなシーンは?「俺のこと、なんか言ってた?」鼎談【No.3】

「俺のこと、なんか言ってた?」スペシャルフォト

【映画.com独占】役所広司が23年ぶりに挑んだ舞台の裏話、そしてそれぞれの好きなシーンは?「俺のこと、なんか言ってた?」鼎談【No.3】

11月8日(日) 12:00

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役所広司が主演を務め、数々の名作ドラマを生み出した宮藤官九郎(脚本)×礒山晶(企画・プロデュース)のゴールデンコンビが、“承認欲求”をテーマに再びタッグを組んだNetflixシリーズ「俺のこと、なんか言ってた」。映画.com独占で3回に渡ってお届けしてきた宮藤、磯山、Netflixの岡野真紀子エグゼクティブ・プロデューサの鼎談の最終回は、ドラマの世界を飛び出して下北沢で行われた舞台公演や、それぞれの好きなシーンについて語ってもらった。

・ 【フォトギャラ】「俺のこと、なんか言ってた?」場面写真(31点)

※以下、作品のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください

■下北沢でおこなった舞台公演は、役所広司の発案だった

――今回は実際に下北沢のザ・スズナリで「誰も知らない大物俳優」の公演を行い、それを劇中劇として8話に収録しています。そもそもは役所さんの発案だったそうですが。

磯山晶(以下、磯山):でも「本当にやるのか?」って、しばらく迷ってはいたんです。お客さんを入れた体で撮影をすることはできるから、実際に公演をする必要はないんじゃないかというような議論もしましたが、宮藤さんが「役所さんは23年ぶりの舞台だし、客前でドキドキしながらやるのと、そのシーンだけドラマとして撮るのは絶対に違う」と熱くおっしゃって。

宮藤:劇中劇をそこだけ撮ると、やっぱりわかっちゃうというか、覚めちゃうんですよね。ひとつフィルターがかかってるような気がして。それで役所さんも「やろう」とおっしゃってるし、僕も「書きます」と言ったんですけど、いろいろ大変でした。まず僕の公演をいつもやってくれているスタッフに、ストーリーの全貌もわからないまま、「これは高瀬川玄の『誰も知らない大物俳優』で……」って説明するところから、これは結構大変だなと思って(笑)。

印象的だったのは、収録の日、冒頭の「名前は?」「高瀬川玄」っていう、ただそれだけのやりとりが、明らかにその回だけ違ったんです。あ、さすがに役所さんも緊張してるんだと思って、実際に公演をやってよかったなと思いました。お客さんの前で、しかもカメラが入ってる中で芝居をする経験って、たぶん初めてだったはずなので。しかも客席にドラマの共演者がいるという。

岡野真紀子(以下、岡野):私も現場で拝見しましたが、最初に磯山さんから話をうかがったときは想像できなかったんです。配信の1~2年前にまずお客さんを入れて舞台をやるというのは、いったいどういうことなんだろうって。ただNetflixが大切にしている“オーセンティック”という部分で、生の舞台でしか生まれない本物のなにかがあるんだということを、今回確信しました。熱量とか、臨場感とか。おそらくNetflixにとっても初の試みだと思います。

磯山:あの公演がなかったら、宮藤さんが役所さんを演出する機会はなかったので、おふたりががっぷり四つに組んでやれたという意味でもよかったですね。

【2026年11月13日までの期間限定で配信中の「誰も知らない大物俳優」】

■宮藤「“俺が役所広司だ!”というところが全然ないかたなんです、役所広司なのに(笑)」

――その他、みなさんの好きなシーンを教えてください。

宮藤:いっぱいあるんですけど、高瀬川が初めて「ウイスキーボンボン」の稽古場に来て、彼らの稽古を見ているときの顔がすごく好きです。あそこで高瀬川の心の声が「ちまちまと机の上でこねくり回したセリフ群」って言うんですけど、あの辺は自分の本音もちょっと入ってるというか(笑)。僕が手癖で書いているようなセリフが、役所さんが言うことで面白くなっているところもたくさんあって、それも軒並み好きですね。

磯山:私は祇園の小料理屋で、「なにをしてはるんどす?」と聞かれた高瀬川が「舞台俳優、目指してます」と言うところが大好きです。あんなにいい表情はないなと思って。

岡野:私は、チヂミが岡本に「調べるな、人間なんて、調べたらみんな病気だ」と言うところです。私自身、SNSで作品のエゴサをすることも多々あるし、あのセリフは深く刺さる人が多いんじゃないですかね。

宮藤:わりと深いテーマを、たいしたことないように見えるところに入れる癖があるのかもしれないです(笑)。ただ、これはちょっとまだわかんないですけど、Netflixさんでやるのに、こんなにコメディでよかったのかなっていまでもちょっと思っていて。『離婚しようよ』のときは大石静さんとふたりだったから、自分がふざけても大石さんが締めてくれましたけど、今回は「え、こんな感じでいいの?」っていう。

岡野:いえいえ、Netflixとして各国の作品を観ていると、とくに難しいのがコメディだと感じます。やはり国によって価値観も、笑いのポイントも違いますから。その点、今回の作品は“承認欲求”というテーマが幅広い人たちに訴求するでしょうし、ヒューマンドラマとしても共感する人たちが多いんじゃないかと思います。コメディの部分がただ面白いだけでなく、そのギャップが上質感につながっているなと。

宮藤:確かに、これまで磯山さんと地上波で作ってきたものも、芯になるドラマは外したくないと思ってきたんですよね。今回でいうと、“忘れられた男の再生の物語”でもあって、そこは監督の金子(文紀)さんがちゃんと撮ってくれたんじゃないかと思います。金子さんがいないと、わりと忘れがちなんです。

磯山:いつもと同じだと思っていても、役所さんが演じることで上がり下がりが深くなってますよね。役所さんだと、なにをやっても本格的だし、萬漫太郎の殺陣も本物ですから(笑)。

宮藤:そうですね。『サウナ刑事・整誠一』の収録シーンで、「マット交換します」を何度もやり直すところとか、よくある監督コントだけど、役所さんがやることで新鮮さが出てますよね。エキストラをやるときの、普通ができない悲しさも、役所さんが演じたからこそすごく深いし。

磯山:「普通にやってください」「やってる感を出さないでください」と言われて、「やってる感だと!」と怒るのがいいですよね(笑)。

宮藤:あらゆる部分で、“俺が役所広司だ!”というところが全然ないかたなんです、役所広司なのに(笑)。最後の舞台もすべて本気でやってくれて、それをザ・スズナリで観られるとか、こうやって映像に残ってるとか、本当にすごいことだなって。「俳優とは何度でも再生可能なペットボトルだ」という8話の言葉が、役所さんほど似合う人はいないなと思いました。

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Netflixにて世界独占配信中
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