原点は14歳の映画デビュー佐津川愛美が泉佐野フィルムフェスで子どもたちに「本物」を体験させる理由

原点は14歳の映画デビュー佐津川愛美が泉佐野フィルムフェスで子どもたちに「本物」を体験させる理由

11月7日(土) 21:00

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「泉佐野フィルムフェスvol.3」が11月7日、大阪府泉佐野市のエブノ泉の森ホールで開幕した。初日の特別プログラムでは、俳優の佐津川愛美が自らプロデュースした短編映画「衣通姫と大豆の妖精」の上映後に登壇し、子どもたちとの映画づくりを振り返った。

同作は泉佐野市に伝わる衣通姫(そとおりひめ)の故事をモチーフにしたもの。同市が募集した子どもたちが、9月26、27日の2日間にわたって撮影した。佐津川が立ち上げた「映画と仲間『filty』」による特別プログラム「filty friends 泉佐野 映画カレッジ2026」で制作されたもので、参加者は俳優、演出、撮影、録音、照明、メイク・衣装などの仕事を体験した。

上映後のトークショーでは中村貴一朗監督とともに、参加した子どもたちの成長を喜んだ。当初は緊張していた子どもたちが次第に打ち解け、自分たちで考えて動けるようになったといい、「もっと頑張らなければ」と大人たちも刺激を受けたことを明かした。

終盤には子どもたちも参加。カメラのピント合わせや、余計なものが映り込んでいないか確認する作業が面白かったという声が上がった。照明を担当した子どもは、光の角度を調整する難しさを振り返りながら、完成作品を見て、きれいに光が当たっていたことがうれしかったと語った。

佐津川がこだわったのは、本編に先立ってメイキング映像を上映すること。「参加した子どもたち全員が主役」という思いからだ。出演者だけでなく、撮影や照明、録音など裏方として奮闘した子どもたちの姿を知ってもらった上で、作品を楽しんでほしいと考えた。

上映会終了後、取材に応じた佐津川は、プロジェクト誕生の経緯も明かした。

きっかけは、2024年にデビュー20周年を記念して企画した「佐津川愛美映画祭」だった。地元・静岡で映画デビュー作「蟬しぐれ」(05)を上映する予定だったが、劇場のフィルム上映設備の問題で実現できなくなり、以前から構想していた子ども向けの撮影ワークショップを立ち上げたという。

「蟬しぐれ」は佐津川にとって、映画の魅力を知る原点となった作品でもある。14歳で初めて立った映画の現場で、わずか1カットのために真剣に取り組む大人たちの姿に衝撃を受けた。「プロの現場を体験する」「本物に触れる」ことを大切にしているのも、その経験があったからだ。

ワークショップは24年に静岡市でスタートし、短編映画「arigato2000」を制作。25年には名古屋ビジュアルアーツ・アカデミーの学生と連携し、今年3月には池田千尋監督とともに静岡県内3都市で子ども向けワークショップを開催した。今回が初の関西開催となる。

プロジェクト名の「filty」は「Film Party」を縮めたもの。「パーティー」には、楽しく集まるだけでなく、「仲間」という意味も込めた。2025年に正式に発足し、一過性のイベントではなく、継続的な活動に育てたいという思いがある。

プロデューサーという立場を経験したことで、俳優として現場に参加するだけでは見えなかった苦労も実感した。撮影が始まるまでには膨大な準備が必要で、「無事に撮影を始められること自体が本当にありがたい」と、スタッフへの感謝も深まったという。

ワークショップではプロデューサーと俳優部担当を兼任。子どもたちに演技を教えるというより、中村監督の意図を読み解いて伝える「通訳」のような役割を担っている。中村監督も、子どもたちが衣装や演出について自らアイデアを出すようになったことを紹介し、将来どのような職業に就いても役立つ「気づく力」の大切さを強調した。

活動を続ける上で何より重視するのは「子どもファースト」の姿勢だ。子どもたちの心と体を守ることを第一に、その理念を共有できる行政やスタッフと取り組むことを大切にしている。運営面では課題もあるが、協力するプロのスタッフには報酬を支払い、活動を持続させる仕組みづくりを模索している。

佐津川は、映画を撮って終わりにするのではなく、完成した作品を家族や観客とともに大スクリーンで見るところまでを大切にしている。今回も全員の名前が並ぶエンドロールを見て「胸がいっぱいになった」と感慨深げ。子どもたちが力を合わせて一つの作品を作り上げ、人に感動を与えた経験が、今後の好奇心につながってほしいという。

今回の開催は、活動の理念に共感した泉佐野フィルムフェスの協力によって実現した。佐津川は、子どもたちが映画づくりに打ち込める環境を整えてくれた同フェスや市の関係者に感謝。「良い環境で実施できた」と振り返り、今後もライフワークとして活動を続けていきたいとの思いを語った。

「泉佐野フィルムフェスvol.3」は8日まで開催。

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