直木賞作家・千早茜のロングセラー小説を映画化した「男ともだち」の初日舞台挨拶が11月6日、東京・新宿ピカデリーで行われ、主演の松岡茉優、共演する中島歩と井上祐貴、三島有紀子監督が登壇した。
人間関係に不器用で、惰性と不毛な恋愛に逃げる29歳のイラストレーターの神名(松岡茉優)は、大学時代の先輩・ハセオと7年ぶりに再会。出会った頃からずっと変わらない2人だけの温度で接してくれる“男ともだち”と過ごす日々が、彼女の人生を大きく動かしていく。
主演の松岡は、30歳を目前に人生に行き詰まる女性をリアルに演じ切り、孤独や不安定な心情を繊細に体現。「(上映後なので)男ともだちが成立するのか、みたいな恋愛ディベートではないと。映画の本当の意味が伝わったのではないか」と反応に期待を寄せ、「神名が乗り越えるべき壁をよじ登って、登り切る治癒と再生の物語」だと作品を評した。
続けて、「最後まで戦い切った三島監督、本当におめでとうございます」と映画の公開を祝福。三島監督は「原作に出合ってから6年の間、信じてくださる方が1人1人、本当に1人ずつ増えていった。今日、駆け付けて見てくださった皆さんがいて、やっとこの映画が生まれることができました。それが本当に嬉しいです」と感無量の面持ちを浮かべていた。
第39回東京国際映画祭のコンペティション部門に正式出品され、ハセオ役の成田凌が最優秀男優賞を受賞した。映画祭のクロージングセレモニーに続き、体調不良で舞台挨拶を欠席したが、長文の手紙を寄せ、それを司会者が代読した。
三島監督は「この満席の新宿ピカデリーに、一緒にいたかったなと思います」と瞳を潤ませ、「成田さんとは、(「ビブリア古書堂の事件手帖」以来)2回なんですけど、本当に直前まで悩んでくれる方。今回はとにかく神名を“見て”もらおうと。肉眼だけじゃなく、電話の息づかい、神名が描く絵まで、神名を見てくれた」と感謝を伝えていた。
【成田凌から届いた手紙全文】
皆さま、こんばんは。成田凌です。
まずは、本日、映画「男ともだち」が無事に初日を迎えられたことを、心より嬉しく思います。本来であれば、この大切な日に直接感謝の気持ちをお伝えしたかったのですが、どうしてもそちらへ伺うことができず、申し訳ございません。
ですが、この手紙を通じて、本作の魅力や作品への思いを少しでも皆さまにお届けできれば幸いです。
初めて脚本を読んだとき、今和の新たな名作ができると確信しました。しかし、いざ自分が演じる立場になって読み込んでいくと、これは自分自身の人間力が試される作品になるのではないかと思うようになりました。
これまで自分が参加してきた作品とは、何か、一線を越えたところにあるものが必要なのではないか。けど、その「何か」が何なのか、自分でもなかなか掴むことができず、悩んでいました。
そんな中、道しるべとなったのは、監督からいただいた「とにかく、“見て”いてほしい」という言葉でした。撮影期間中も毎朝のように監督と話し合い、たくさんの言葉やヒントをいただいたおかげで、最後まで演じ切ることができたのだと思っています。
この作品に参加できたこと、そして、本日登壇されている皆さまをはじめとしたキャスト・スタッフの方々と出会い、同じ時間を過ごせたことはとても幸せでした。
自分自身、これまでの人生の中で何度も映画に心を動かされ、支えられてきました。観終わった後も、ふとした瞬間に思い出したり、何年も経ってから、また違った意味を持って心に響いたり。
映画は、観たら終わってしまうものではなく、観た人の中で、そこからまた新しい時間を生き始めるものだと思っています。この作品もまた、皆さまにとって、そんな人生の一本になってくれたら嬉しいです。
最後に、本日は映画「男ともだち」のために劇場までお越しいただき、本当にありがとうございます。よかったら、皆さまの大切な誰かにもこんな映画があったよ、と教えてあげてください。成田凌
【作品情報】
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男ともだち
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