相場の波に乗って利益を抜く。億超え投資家がキオクシアの決算を前に用意した“3つのシナリオ”

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相場の波に乗って利益を抜く。億超え投資家がキオクシアの決算を前に用意した“3つのシナリオ”

11月2日(月) 8:50

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2026年もあと2か月。今年の相場を振り返れば日経平均株価は6月に7万円を超えて推移。その象徴となったのが半導体関連のキオクシア(東P・285A)であり、一時は時価総額60兆円となりトヨタ自動車を抜いて1位であった。しかし、日経平均株価はその後調整を経て現在6万円台で推移、キオクシアの株価も3分の1程度になっている。資産億超えの個人投資家、結喜たろう氏は「10月末のキオクシアの決算発表は日経平均株価の方向性を見る手がかりになる」と語る。億超え投資家が見るキオクシアや日経平均株価の現在とは?

高すぎた期待と実際の需給のギャップが重荷に

資産億超えの個人投資家の結喜たろう氏。株式や為替を20年以上取引し、リーマン・ショックやアベノミクス相場も乗りこなしてきた。その投資手法は、市場にとって話題になる大きなテーマから銘柄を絞り込み、決算発表から好業績が見込まれる株を売買するという至極堅実な方法だ。

日経平均株価は10月6日に7万円683円だったところから、30日には6万3290円11銭と下落している。特にAI・半導体関連銘柄の下落が株価指数にも影響を与えている。

「日経平均株価は一部の銘柄が大きく影響を与えます。今回10月の下落はAI・半導体関連銘柄の値下がりが指数をも押し下げましたが、日本株全体が弱いわけではありません。そもそも、私は株価が下がったから株を買い増しすることはありません。大事なのは、その株の四半期業績がよいこと、実際の業績が市場の事前予想を上回るか、好決算の発表後も株価が買われるかです」

業績がよいからといって必ずしも株価は値上がるわけではない。それを示す好例が、日本株を牽引してきたキオクシア(東P・285A)であると氏は語る。

「2026年前半のキオクシアは大きく上昇しましたが、6月下旬に高値をつけた後は調整に入りました。7月に発表された第1四半期決算も大幅な増収増益だったものの、市場の事前予想には届かず、株価は下落しています。高すぎた期待と実際の需給のギャップが株価への重荷となったと見ています」

キオクシアの株価の下落は単純に期待感へのギャップだけではなく、NAND型フラッシュメモリーの価格変動やAI需要の持続性への懸念、半導体関連銘柄の調整、需給ギャップなど複数の要因が絡んでいる。この複雑な関係性を読み解くことが必要なのだ。

キオクシア決算、3つのシナリオと答え合わせ

では今後、キオクシアの株価はどのように推移していくと見ているのだろうか。キオクシアの決算発表前から予想をするという無茶振りにも結喜氏は応えてくれた。会社予想と市場予想から3つのシナリオを準備して、決算発表前にどのような結果になるかを想定して、それぞれの判断基準を決めておくこと。それが株式投資をサバイブするコツでもある。

「まず、注目なのは決算です。キオクシアは業績の出し方に特徴があります。通期予想だけでなく、直近の四半期について具体的な予想を出します。その背景はNAND型フラッシュメモリーの価格変動の激しさや、販売数量や為替変動などが影響していると見られます。複数の要素によって利益が大きく変わるので見通しがしにくい事情があると思われます」

キオクシアの2026年7~9月期の営業利益は会社予想では1兆8900億円だ。他方で市場の予想は1兆9480億円※と会社予想を上回る数値となっている。
※10月23日付SBI証券レポート掲載のBloombergコンセンサスより

ここから結喜氏が考えるのは「強気」「中立」「弱気」の3つのシナリオである。

「強気の場合、営業利益は2兆1000億円以上が目安です。これは市場予想の1兆9480億円を約8%上回る水準で、明確な好決算と判断するポイントとして私が独自に設定した数字です。さらに次の四半期の見通しも強ければ、株価反転への期待が高まります。中立の場合は1兆8900億円以上、2兆1000億円未満。会社予想は達成しますが、市場予想の1兆9480億円に届くかどうかや、次期見通しによって評価が分かれます。弱気のシナリオは営業利益1兆8900億円未満。会社予想を下回るため、NAND価格や販売数量など、利益が下振れした原因を確認する必要があります。大切なのは株価の上がり下がりを予想するのではありません。会社予想と市場予想を基準に決算がどの位置に着地したのかを見て評価すること。その判断基準を準備することが大切なのです」

先日10月30日金曜日の夜にキオクシアの中間決算が発表された。売上高は2兆4800億円、営業利益は1兆9947億円となっている。同時に初めて、1株あたり90円(株式分割後換算で30円)の中間配当も発表した。

「今回のキオクシアの決算は、事前に想定した3つのシナリオのうち『中立』に着地しました。営業利益は市場予想を約2.4%上回りましたが、大きなサプライズというほどではありません。次の四半期の営業利益予想もほぼ横ばい。一方、初配当の発表はポジティブな材料です。ただし、私が本当に注目しているのは、ここからの株価の動きなんです。好決算を受けて買われるのか、それとも売られるのか。今後1週間のキオクシアの値動きは、半導体・AI関連株に再び資金が戻るのか、そして年末に向けた日経平均の方向性を考えるうえでも、重要な手掛かりになると思っています」

株式投資で求められるのは決算予想を的中させることではない。決算発表前に判断基準を示すこと。決算の内容を見て、株価の方向性を考えて、その上で銘柄を売買する。キオクシアが今後、どのような動きをするか次第では日経平均株価にも大きな影響があるはず。11月以降のキオクシアがどう動くかは注目だ。

<構成/上野智(まてい社)>
※株式投資はご自分の判断と責任に基づいておこなってください。

【結喜たろう】
個人投資家・一級建築士/工学修士 建築設計事務所勤務を経て独立。 空間建築デザイン業務と並行しながら、個別株を中心に資産運用を実践。不況により事業が厳しい状況に追い込まれる中、趣味で続けていた投資が経営の立て直しに大きく貢献し、億トレーダーの仲間入りを果たす。個人投資家グループや証券会社などからの講演依頼も多く、四半期成長率を重視した銘柄選定と、チャート分析に基づく論理的な売買手法に定評がある。著書『四半期成長率とチャート分析』(パンローリング社刊)は2024年ブルベア大賞を受賞。ラジオNIKKEI『きらめきの発想』準レギュラー。 パンローリング主催『ファクター分析投資スクール』担当講師。 X(旧Twitter):@tarouyuuki0322

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