【男子バレー】宮浦健人が追い求める「オポジットの雰囲気」 SVリーグでも主役のひとりに

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【男子バレー】宮浦健人が追い求める「オポジットの雰囲気」 SVリーグでも主役のひとりに

10月23日(金) 9:30

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10月24日、SVリーグのウルフドッグス名古屋は、東京グレートベアーズとの開幕戦に挑む。

チャンピオンシップでは2年連続でセミファイナル敗退、あと一歩のところで苦杯をなめている。新シーズンも優勝を狙う一角であることは間違いない。日本代表セッターである深津英臣、ビーチバレーと二刀流の水町泰杜、昨シーズンの最優秀ミドルブロッカー賞のポーランド代表ノルベルト・フベルなど多くの有力選手を擁している。

なかでも、オポジットの宮浦健人(27歳)はアジア選手権優勝のメンバーで、ロサンゼルス五輪での活躍も期待される。猛禽類が高所から高速で獲物を狙うように振り下ろされる左腕の軌道は無慈悲。普段は寡黙な男の雄叫びは心を揺さぶる―――。

アジア選手権でオポジットとしての自信を得たという宮浦健人(ウルフドッグス名古屋)photo by Yukihito Taguchi

アジア選手権でオポジットとしての自信を得たという宮浦健人(ウルフドッグス名古屋)photo by Yukihito Taguchi



宮浦は、どんな時代に生まれていても「古きよき男を匂わせる」と愛されるだろう。それは、その時代を生きる人々が目の前のめまぐるしい変化に疲れたとき、変わらない気骨を見せる男の姿に「失ったもの」を感じるからかもしれない。時代の流れなどと関係なく生きる「愚直」「鍛錬」「剛毅」に、見る者は陶酔を覚えるのだ。

宮浦は常に己と対峙し、攻撃に特化したオポジットというポジションで色気さえ醸し出す。「パスをもってこい、決めてやる!」という雄々しさか。それぞれのオポジットで匂いは異なるが、彼も確実に匂いを放つ。

昨年10月に行なったインタビューで宮浦は言っていたことがあった。

「どんな状況であっても、"自分がやるんだ"っていう気持ちでやらないといけないと思っています。苦しい局面も自分が打開するんだって。オポジットはそういうポジションなんで。オポジットが醸し出す雰囲気、余裕というのがあって、競った場面でも"(パスを)持ってきてくれたら問題ないよ"って伝えられるように」

色気の源泉は、彼自身の人柄にあるのかもしれない。自らのトレーニングに対しては厳しい姿勢で臨むが、普段は柔和でおっとりし、飾り気がなく、人懐こいところもある。笑顔に嘘がなく、大きな子どものようで、一種ののどかさも漂う。一方で勝負に挑んだときは、山が動くような迫力で敵を戦慄させる。

【心の準備ができていた】宮浦は、その人生を通じてオポジットなのだろう。昨年の世界バレーボール選手権でまさかの1次リーグ敗退の憂き目を見た時は、捲土重来を誓っていた。

「世界トップのオポジットは自分の世界を持っているし、"オポジットの雰囲気"がありますが、まだ自分には足りない。あらためて、自分がまだ足りないと強く気づくことができたので、今この瞬間も、"どう行動していくか"が大事だと思っています」

インタビューのなか、宮浦は心中を口にした。それから約1年が経った。彼は世界的オポジットが歴代で在籍してきたウルフドッグスに移籍し、「大きなチャレンジ」と成長を遂げている。

アジア選手権を勝ち進むなかで、彼に問いかけたことがあった。

――世界トップのオポジット、イメージする姿になったと思いますか?

「どうですかね。今シーズンは代表で戦ってみて、いろんな世界の選手と戦い、自分がやりたいパフォーマンスができたところはあるし、世界に通じることは実感しました。世界のトップかどうかわからないですけど、自信を持ってこの世界で戦える感覚はあります。結果を出すために、とにかくベクトルを自分に向けながら、いい意味でエゴを出すことも必要かなと」

克己心の強い宮浦が言う「エゴ」は虚栄心ではない。「自分がやるんだ」という気概だろう。そのアグレッシブさがなく、生真面目なだけだったら、色気にはつながらない。

アジア選手権での宮浦は、西田有志(大阪ブルテオン)の控えとして試合途中で出場する機会が多かった。二枚替えでいきなり試合に適応し、コンビを合わせるのは簡単ではない。しかし、彼の大会通算のスパイク成功率は68%を誇った。コートに立ったときは、西田と遜色ない活躍を見せていた。たとえばバーレーン戦はほぼ3セット目を戦っただけで計9得点を記録した。

それだけの心の準備ができている証拠で、「常在戦場」を体現できているのだ。

「今は西田選手がすごくいいパフォーマンスをしているし、自分としても助かっています。このまま、彼がいいパフォーマンスができるのは嬉しいことだし、自分は二枚替えでも貢献できるように。どんな状況でも戦える準備をすることが大事だと思っています」

アジア選手権の宮浦は、ポジション争いに少しも不平を滲ませずに言った。誰かと比べることはない。徹底的に自分と向き合っていた。

「ベンチにいても、常に頭の中でイメージはしていますね。向こうのブロックがどうついているのか。コート内の雰囲気を感じながら。コートに立ったら、自分に対しても西田選手と似たような対策をしてくると思うので、そこはイメージしやすいというか。プラス、コートで一番大事なのはアグレッシブに攻めること。その(勝負を決める)1点を取るためにリスクを取ってプレーできるか。覚悟を持って挑むことは強く意識しています」

宮浦が責任を転嫁することはない。いつだって、自力で何かをつかみ取ってきた。

「何かを変えられるのは、常に自分自身だと思っているんで。もちろん、バレーはチームスポーツだから難しいところはありますけど......自分が何をできたかって振り返ると、"もっとこうしておけばよかった"とたくさんある。もっと自分がやるべきことがあると思っています」

宮浦はこともなげに言い、オポジットの空気を漂わせた。新シーズンのSVリーグでも、彼は主役のひとりになるはずだ。



小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

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