「良い意味で心が落ち着く暇のない作品で、観ているあいだずっと心臓がバクバクしていました」。“新生DCユニバース”の最新作『クレイフェイス』(10月30日公開)のアンバサダーに就任した俳優でモデルのUTAは、本作にすっかり魅せられた様子で語りはじめる。「ホラーであり、心理スリラーでもあり、ヒューマンドラマの要素も強い。あらゆる物語がたっぷりと詰め込まれ、これまで体験したことがないような感覚を味わうことができる。新しくジャンル付けをするなら、“エモーショナル・スリラー”と表現したい一本です」。
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DCコミックでは「バットマン」シリーズに登場する代表的なヴィランとして知られるクレイフェイスの誕生を、現代ホラー映画界の名手マイク・フラナガンの脚本のもと、『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』(24)などで知られるジェームズ・ワトキンス監督が描きだした本作。ある出来事をきっかけに、その人気も美貌も失ってしまった新進気鋭のスター俳優マット・ヘーゲン(トム・リス・ハリス)。絶望の果てに“禁断の治療”へ手を伸ばした彼は、徐々に“怪物”へと変貌していくこととなる。
■UTAがクレイフェイスに共鳴!「きっと僕も同じような選択をする」
2018年にパリでモデルデビューを飾り、今年夏にNetflixで配信されたドラマシリーズ「ガス人間」で、タイトルロールでもある“ガス人間”こと堤田蓮役を演じ本格的に俳優デビューを果たしたUTA。約190cmの長身から放たれる独特の佇まいで、一躍若手注目俳優の仲間入りを果たした。「僕も俳優として新たなスタートを切ったばかりなので、知らず知らずのうちにマットに共鳴している部分がありました」と語るUTAだが、彼自身は慢心気味なマットとは対照的に物腰が柔らかく、謙虚で礼儀正しい好青年だ。
劇中でマットは、持ち前のルックスと野心的な性格を武器にショウビズ界を駆け上がり、その美貌に執着するあまり“怪物”と化す。「自分の強みと呼べるものを奪われ、それを元通りにできると言われたら…。マットのように執着とまではいかなくても、きっと僕も同じような選択をすると思います」。そう話すUTAに自身の“強み”とはなにかと訊ねてみると、「自分で言うのはちょっと恥ずかしいのですが…」と照れ笑いを浮かべながら「やっぱり身長とスタイルは、モデルとして活動するなかで強みになってきたものだと自負しています」との答えが。
「もちろんこの仕事をしている以上、“顔”もとても重要です。特に俳優としての活動では、“顔を変えること”。いろいろな役を演じ、そのたびに観てくれた方が『この人だったんだ!』と驚くくらい別人に変身することも大事だと思っています」。マットは“怪物”クレイフェイスとなり、自由自在にその顔を別人に変える能力が備わる。しかし、当然のように普通の人間であるUTAにはそれがない。だからこそ彼は、“演技力”という新たな強みと能力を得ようとしている最中のようだ。
「いかにして自分を変身させることができるのか。目線を変えてみたり、姿勢を変えてみたり、体の動かし方や歩き方ひとつで全然違う人間を表現することこそが俳優の技術。とても難しくて、まだできないことは多いけれど、手探りでやっているところです」。
■「実はクレイフェイスがちょっとうらやましい」
普通の人間が、ある日突然“怪物”へと変容する。『クレイフェイス』でマットが経験するあまりにも残酷な運命は、どことなく「ガス人間」でUTAが演じた堤田蓮の体験と重なるものがある。「“怪物”になった青年の復讐を描く物語という点でも共通していますし、マットとナオミ・アッキー演じるケイトリンの関係は、『ガス人間』で僕が演じた蓮と、蒼井優さんが演じた京子の関係とも似ているものがあると思います」と、UTAは分析する。
「でもマットとケイトリンの間には恋愛感情に近いものが芽生えますが、蓮と京子の場合は親子というか、家族のような愛情が芽生えるという違いもあります。どちらにしてもスリリングな物語のなかにヒューマンドラマを強く感じさせてくれる、魅力的な要素といえるでしょう」。そう語りながらUTAは“ガス人間/堤田蓮”としての立場から、「実は『クレイフェイス』を観た時に、マットがちょっとうらやましいと思ってしまったんです」と告白する。
「ガス人間」の蓮は、異形の存在である“ガス人間”と化してからは自らの意思は持たない。廃墟の奥で石像化して眠り、サザンオールスターズの「いとしのエリー」を聴くことで目を覚ますと、誰かの指示によって次々と凶行に及んでいく。「ただ操られていただけの蓮と違って、マットは自分の意思で変身したり、自分を裏切った人たちに復讐をすることができる。ヴィランではあるけれど、まるでスーパーヒーローと同じように選択する自由がある。もしガス人間も自分の意思で動くことができていたら…なんてついつい想像してしまう自分がいました」。
そんなUTAはかねてからDC作品のファン。そのきっかけになったのは、クリストファー・ノーラン監督が手掛けた「ダークナイト」三部作だったという。「もちろん『ダークナイト』も大好きですが、『ダークナイト ライジング』も好きなんです。ヴィランとして登場するベインほど恐ろしいキャラクターを見たことがない。それを見事に表現したトム・ハーディもすごいですし、ベインにより深く迫った映画が作られないかと思ったぐらいです。個人的にゴッサム・シティに生きる悪のキャラクターが好きなことも、マットというキャラクターを魅力的に感じた理由なのかもしれません」。
そう話しながら、マットのことを「応援したくなるヴィラン」だと形容するUTA。「ヒーローだけでなくヴィランのキャラクターにも厚みがあるのがDC作品の好きなところです。俳優という設定の新しさもあり、その内面ではどこにでもいる普通の人間である彼が、怪物になっていく段階がしっかりと描かれている。もし今後バットマンやスーパーマンと対戦することになるならば、マットが自分の意思で“悪”に徹する姿が見られるのではないかと期待しています」と、DCファンの目線で語った。
このインタビューの直前、マット役のトム・リス・ハリスとオンラインで対談したUTA。「トムはすごく明るくて話しやすくて、『ガス人間は煙になるし、クレイフェイスは粘土になる。あと火になれる人と水になれる人を集めて、4人で映画を作ろう』と言ってくれたんです」と楽しそうに振り返る。そして「彼は観客に“マットの感じている人間の感情”が伝わるように演じたとも言っていました。スリラーのなかでどのように、そのヒューマンドラマが描かれているのか。ぜひ映画館で確かめてみてください!」と、アンバサダーの立場から力強く呼びかけていた。
取材・文/久保田 和馬
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