子どもの小学校のPTA活動は、ママたちの社交場でもあります。露骨ないじめはなくても、なんとなく距離を置かれてしまうママが存在することも、珍しくないようです。
今回は、PTA活動で疲弊してしまったという女性から話を聞きました。
娘のPTA役員になる
相馬祥子さん(仮名・38歳)は、埼玉在住の会社員。小学3年生の娘をもち、今年から娘のクラスのPTA役員を務めているそうです。
「娘の小学校のPTAは、割と平和だったんですよ。役員の集まりも和やかだし、余裕のあるママたちが手を挙げて活動している感じでした。なので最初はちょっと、安心していました」
平日は仕事をしているため、PTA活動には少し負担を感じつつも、ママ友との関係は良好だと話す祥子さん。
「子どもを通して付き合うママ友って、独特の距離感があるんですよね。みんな、当たり障りなく付き合おうとしている感じ」
ただ、よく観察してみると、なんとなく距離を置かれているママの存在に気づいたといいます。
正しいことを言う、2つ下のママ
彼女は祥子さんより2つ下で、PTA役員の中でもしっかり者として知られていたママ。
「彼女、言っていることは間違ってないんです。連絡ミスがあったら指摘するし、旗振り当番の遅刻にもキッチリとした態度で。でもね……」
朝も夜も、役員のグループLINEに連絡事項がくるんだそう。
「内容は、『この連絡漏れてますよ』『集合時間、3分過ぎてますよ』みたいに、本当に細かいんです。正論なのはわかってる。でも、毎日細かい連絡がくると、こっちも疲れちゃって」
役員のあいだでは、彼女の名前が出るたびに、なんとなく空気が重くなる雰囲気もあったそうです。
「みんなのためだから」が口癖
そして先月、運動会のPTA活動が始まると、状況はさらに過酷になったといいます。
「運動会の1ヶ月、もう本当にへとへとでした。毎晩のミーティングに、夜中までLINEが続いて。彼女の口癖は『みんなのためだから』なんですよ。誰より動いているし、それを言われると誰も反論できなくて」
会議のたびに新しい確認事項が増え、修正を繰り返す日々が続きます。
「彼女が誰よりも動いていたのは知っています。ただ、すごく細かいんですよ。例えば、タイムスケジュールが毎日分単位で動いていたり、受付に置く物の位置が変わっていたり。もう、毎日聞いているだけでも大変でしたね」
そして、運動会が終わったその夜は打ち上げかと思いきや……。
「お疲れさまでした、の言葉もなく、すぐに反省会のミーティングが始まりました。また反省点の洗い出しでしたね。家に帰る頃には、もう来年は絶対に役員やりたくないって、みんなで思っていました」
PTAで好かれるのは、少しゆるい人
これだけのことがあっても、誰も彼女に直接何かを言うことはないといいます。ただ、ママ友として彼女を認識している人はゼロ。
「みんな、面と向かって嫌な顔もしないし、責めもしない。ただ、静かに距離をとっていくんですよね。LINEの返信がちょっと遅くなったり、既読がつかなくなったり」
祥子さんはこの件をきっかけに、あることに気づいたそうです。
「PTAで好かれるのって、仕事ができる人より、ちょっとゆるい人なんですよね。多少のミスを笑ってくれるとか、まあいいかって言える人。完璧な人って、近くにいると、なんか息苦しくて」
ママ友や役員仲間との関係は、正しさだけでは続かないもの。多少のゆるさや、笑って許せる空気を持っているママの方が、結果的に周りから慕われる場合も多いようです。完璧よりも感じの良さ。ママ社会には、そんな独特のバランスがあるのかもしれません。
<取材・文/maki>
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