9月に就任したばかりのアップル新CEO、ジョン・ターナス氏(写真)はエンジニア出身。ティム・クック前CEOから交代後、今回が初めての新商品発表会だった
あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか?『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「iPhone Duo」について。
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「え!iPhone Duoなの!」。ようやく予約がはじまったアップル初の折りたたみスマホ。ジョン・ターナス新CEOになってからはじめての新商品発表会でネーミングが発表され、ザワザワしたひとが多かったはずだ。
そりゃ買いますよ。でもDuoだよ!私と同世代なら、同社の「PowerBook Duo」を思い出したにちがいない。
ノートパソコンでありながら、閉じて拡張ドックに差し込んでもデスクトップとして作動する奇種だが、専用の拡張ドックが高額で大失敗。その"Duo"をもう一回つけるかね。
なおPowerBook Duoの発売はスティーブ・ジョブズ氏が追放されていた、ジョン・スカリーCEO時代だ。なるほど、世代を超えたジョンCEOの復讐劇(ふくしゅうげき)というわけか(説明は野暮だが、この陰謀論を信じないように)。他社の「Surface Duo」も大きくコケて、事実上撤退しているしなあ。そういえば「VAIO Duo」って商品も......。
iPhone Duoの価格は36万4800円から。iPhone 18 Pro Maxより高いのに、望遠カメラもFace IDもない。二つを一つにまとめるために妥協はしかたなかったのだろうが、コストは倍になっても、消費者が感じる価値が倍になっているかどうか。
折りたたみスマホ市場はGalaxyが何世代もかけて開拓してきたが、順番は問題ではない。よくグーグルは12番目の検索エンジンで、フェイスブックは10番目のSNSだといわれる。しかし、私のまわりで折りたたみスマホを持っているのは一人しかいない。あれ持ってるひと、いるの?歴代Duoと同じ轍(てつ)を踏まないことを祈るばかりだ。
いっぽうで、一般人が買えない高額・高品質・高耐久性のラインナップはブランディングに役立つとされる。スーパーマーケットでは品目平均価格ではなく、価格の落差で「この店は安い」と感じるといわれる。
ほんとうはProかPro Maxを売るためのDuoなのか、とうがってしまう。約36万円のDuoを見たあとでは、約22万円のProが手頃に見えるから不思議だ。これも陰謀論だね。
ところで現在、AIデータセンター向けのHBM(次世代半導体メモリ)が、スマホ用メモリと同じ製造ラインを奪い合っている。メモリメーカー各社はAI向けに設備を集中している。当然、契約は売り手優位になり、キャンセル不可の長期契約で価格は上がる。
アップルですら例外ではなく、"無印"と呼ばれる標準モデル(iPhone 18)の新機種を出さなかったのも、この影響があるはずだ。
メモリメーカーに取材すると、高く売れるからといってAIデータセンターばかりに売るわけにはいかないらしい。既存顧客との関係もある。でも株主の手前、「いくらでも買うよ」といわれたら、やはり肩入れしないといけない。
その意味で、少量生産のiPhone Duoは、メモリ不足の時代に合理的な配分先にはならない。今回、Duoの呪いは解けるかな?
予想。おそらくDuo入手勢は大喜利投稿を重ねるはず。左画面で英会話ソフトの『Duolingo』、右画面で英単語帳『DUO 3.0』、顔にはDUOのクレンジングバームとかね。
いや、私はアップルを応援しているんですよ。でもスマホとタブレットの「二兎(Duo)」を追う者が「一兎(ITファン)」をも失うことなきよう、「兎(と)に角(かく)」売れたらいいね(遠い目)。
写真/AFP=時事
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