どうしても欲しい本を買ったため、帰りの電車賃がなくなってしまった。
中学生にとって歩いて帰れる距離ではないと困り果てていた時、見知らぬ長髪の男が話しかけてきた。
東京都在住の60代男性・Gさんの思い出。
<Gさんからのおたより>
これは私がまだ中学生だった頃の話で、もう50数年前のことです。
そのころ英会話の勉強が好きで、書店街の東京・神保町に行っていろいろな英会話の本を立ち読みしていました。決して裕福な家庭ではなく、もらえるお小遣いにも、それで買えるものにも限りがありました。
ある日、どうしても欲しい本を見つけました。でもその本を買ってしまうと帰りの電車賃がなくなってしまいます。当時の「国電」で10円、20円程度の問題だったとは思いますが、御茶ノ水駅から日暮里にある実家まで歩いて帰らなくてはならなくなります。
中学生だった私にとっては、「相当な距離を歩かなくてはいけない」という恐怖感のようなものがありました。それでも、買ってしまいました。
「国電に事故があって、電車が止まっちゃった」
その後、御茶ノ水駅まで歩き、駅前でどうしようかと悩み、最後には「根性を出して歩くしかない」と頭の中で自分に言い聞かせているとき、20代後半位の男性が、
「国電に事故があって、電車が止まっちゃったんだよね。代わりに地下鉄の切符をくれたんだけど、自分は使わないし、よかったらこれ使ってくれる?」
と私に切符をくれたのです。
「どうして私に?そんなに困った顔をしていたのかな?」
とは思ったのですが、神様に助けられたような気持ちになったことを鮮明に覚えています。
その男性の顔も、おぼろげではありますが覚えています。1970年代初頭のことですが、長髪の優しそうな顔をした男性でした。
その後、慣れない地下鉄を乗り継ぎ、実家からそれほど遠くないところまで行くことが出来ました。
中学生でちゃんとお礼を言うこともできなかったことが、今でも悔やまれます。
この投稿をもって、感謝の意を伝えたく思います。誠にありがとうございました。
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