仲野太賀、西川美和最新作「わたしの知らない子どもたち」を「最高傑作」と最敬礼

仲野太賀、西川美和最新作「わたしの知らない子どもたち」を「最高傑作」と最敬礼

10月13日(火) 15:00

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西川美和監督最新作「わたしの知らない子どもたち」の公開を記念して、企画の発端となった「すばらしき世界」の舞台挨拶付き上映が10月11日に新宿ピカデリーで行われ、西川監督と仲野太賀が撮影の思い出や最新作について語った。

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2011年公開の「すばらしき世界」は、直木賞作家・佐木隆三氏の小説「身分帳」を原案にした人間ドラマ。仲野は殺人犯・三上正夫(役所広司)の更生に密着するテレビマン・津乃田龍太郎を演じた。

満員となった劇場で西川監督は「本当に満席で、ありがとうございます。わざわざこうしてスクリーンで観てもらえるのが嬉しいです。公開当時はコロナ禍でイベントなど出来ずに終わってしまった作品なので、改めて皆さんの前でお話する事が出来るのを楽しみにしてまいりました」と挨拶。仲野も「こんなに大きなスクリーンでこんなに沢山のお客様がいるとは。改めて『すばらしき世界』を観ていただけて凄く嬉しく思います」と声を弾ませた。

西川監督と仲野は、実は2010年のテレビドラマ「太宰治短編小説集駈込み訴え」が初顔合わせだったと明かされ、仲野は「僕は当時17歳くらいで大学生Bのような役で参加させていただいていて、『すばらしき世界』はそれ以来の2作目」と振り返りながら「西川監督作品の原体験は中学の時に観た『ゆれる』で衝撃を受けました。香川照之さんの演技とラストカットが頭からこびりついて離れない」と西川監督作品への愛着を語った。

西川監督は「太宰治短編小説集駈込み訴え」の時から、広い視野で全体を把握するかのような仲野の立ち振る舞いを高く評価していたと語り、「この人はカメラの前にいる人だけではなくて、カメラの背後にいる私たちの事をよく見ている俳優だと思った。『すばらしき世界』の脚本が出来た頃に津乃田を誰にしようかと思った時に、宮藤官九郎さんの『ゆとりですがなにか』での太賀君を観て改めて面白い俳優だと思った」と明かした。

仲野は「すばらしき世界」参加を振り返り「憧れの西川さん、役所さん、そしてレジェンドな映画スタッフに囲まれて、日本映画の聖域のような空間でした。だから自分にやれることはすべてやり切るぞ、出し切るぞという気持ちで自分にとっても一生に1本の作品になるだろうという気持ちで臨んでいました。だから毎日が夢のようでした」としみじみ語ったが、西川監督から「でも遅刻したよね…」と暴露され、仲野は「はい、大遅刻しました…。入り時間の10時30分に電話を頂いて、そこで起きたという。今でも覚えています。もう頭の中が真っ白になって」と反省しきりだった。

撮影自体は電話でのやりとりのシーンだったため、共演者に迷惑をかけるような事はなかったそうだが、「スミマセン!と現場に入ったら西川さん達が『ヤッホー!よく来れたね』と温かく迎えてくれた…その節はご迷惑をおかけいたしました」と改めて謝罪すると、西川監督は「良い思い出です」と笑い飛ばしていた。

西川監督は、「わたしの知らない子どもたち」制作のきっかけに触れ、「『すばらしき世界』の三上のモデルになった実在の人物は、実は映画で描かれている三上よりも少し前の時代に生まれた人なんですね。幼い頃にお母さんに施設に預けられて、そのままお母さんが来なくなってしまう。ちょうどその頃、街には戦争孤児たちがあふれていて、彼もそうした子どもたちと一緒に街に出て、靴磨きをしたり、いろんな大人たちに面倒を見てもらったりしながら、次第に犯罪や暴力の世界に巻き込まれていくんです。本当は、そういう三上の幼少期、彼がどうして三上という人間になったのかというところを、じっくり描いてみたいという思いがありました」

「ただ、戦後の街を再現して、そこから丁寧に描いていくとなると、映画の尺も長くなるし、予算も膨らんでしまうので、そこは一度、早い段階で諦めていたんです。でも、戦後の街で、頼れる大人もいない子どもたちが、自分たちで知恵を絞りながら、なんとかしぶとく生きていく。その姿が、活劇的というか、過酷な状況も含めて、すごく魅力的だなとずっと感じていました。それで、もう一度、三上が三上になるまでの幼少期を描いてあげたいという思いから、戦争孤児について一から調べ直して作ったのが、今回の『わたしの知らない子どもたち』という映画なんです」と最新作の制作背景を明かした。

既に「わたしの知らない子どもたち」を鑑賞したという仲野は、「本当に本当に傑作でした。本当に面白かったです。『わたしの知らない子どもたち』は『すばらしき世界』と地続きにある気がして、戦争孤児の一人に三上を感じるようなところもあって興味深かった。『すばらしき世界』は社会のレールから外れてしまった男性が社会に復帰していく物語だけれど、『わたしの知らない子どもたち』は戦後の混乱の中で社会のレールそのものがなくなってしまったところで、子どもたちがどういう風にたくましく生きていくのか。子どもたちの目線で見る戦後の不思議さや、その中でどうサバイブして生きていくのかだったり、そこでキラキラとした楽しさもあって、戦争映画としての先入観を超えて、子どもたちの物語を純粋に楽しめたことがとても印象的で、本当に『すばらしき世界』と地続きでありながら、子供たちの目を通してまた違った側面を描いていて興味深かった」と最敬礼だ。そして「登場人物で出てくる“将吉”がお気に入りです!」と語った。

最後に仲野は「こうして時間が経ってもなお上映してもらえて、西川さんと話すと当時の記憶がどんどん蘇る。もし願いが叶えばまた何年後かに『すばらしき世界』を上映してもらって、再びトークができたらいいなと思いました。そして『すばらしき世界』と地続きでもある『わたしの知らない子どもたち』も劇場で観届けたいと思います」と挨拶。

西川監督も「『すばらしき世界』は自分にとって初めての原作がある作品で、自分がオリジナルで書いたものではないからこそ、客観的に愛着があって、自分の監督作の中でも一番好きと言っても過言ではない作品です。スクリーンで皆さんに観ていただける機会を与えていただいて嬉しかったですし、同窓会のように太賀君と会えたのもありがたかったです」と笑顔を見せた。

「わたしの知らない子どもたち」は10月16日から全国公開。

【作品情報】
・ わたしの知らない子どもたち

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