現有戦力から読み解く「2026ドラフトで獲るべき選手」〜巨人編
今年もドラフト会議の季節がやってきた。各球団ともシーズンを振り返りながら、来季に向けた補強ポイントを洗い出し、アマチュア選手の最終的な絞り込みに入っていることだろう。10月22日に迫る「運命の日」を前に、本当に獲得すべき選手は誰なのか──。阿部慎之助監督のシーズン途中での辞任に揺れた巨人だが、一時は首位の阪神にゲーム差なしまで迫った。2024年以来のリーグ優勝を目指す来季、さらなる飛躍を遂げるためにも、今ドラフトでは有望な高校生投手を積極的に獲得し、近未来の常勝軍団づくりにつなげたい。
【若手の台頭で変わり始めた巨人】なんだか、いいチームになってきたなぁ......。今年の巨人を見ながら、そんなことを思っていた。以前のように、きらびやかな名前がズラリと並ぶチームではなくなった。だが、その一方で、懸命に汗を流してきた選手たちが、それ相応にきちんと報われている印象がある。叩き上げの選手たちでも、これだけ勝てるんだ──。それが率直な感想だ。
今年5月、交流戦を前に阿部監督が辞任。球団は橋上秀樹オフェンスチーフコーチを監督代行に据え、チームの立て直しを図った。
指揮官交代という一大事に見舞われながらも、浦田俊輔、笹原操希、平山功太、鈴木大和、ルーキーの小濱佑斗ら若手が起用に応え、最後まで優勝争いを演じた。
その土台には、阿部前監督が積み重ねてきた育成の成果もあったのではないか。二軍監督時代から若手選手たちの素顔や能力を間近で見つめ、それぞれの「本質」を把握してきたことが、今季の戦いにも生きたように思う。
ヤクルトの池山隆寛監督、西武の西口文也監督をはじめ、二軍監督を経験して一軍の指揮を執るケースは少なくない。若手の育成と一軍の勝利を、別々の仕事として考える時代ではなくなりつつある。プロ野球の指導者のあり方にも、静かな変化が起きているように感じる。
巨人の近年のドラフト戦略にも、明確な意図が見てとれる。西舘勇陽、森田駿哉(ともに投手)、佐々木俊輔(外野手)、泉口友汰(内野手)を指名した2023年は、翌年の戦力を整えるための即戦力重視。石塚裕惺、浦田俊輔、荒巻悠(いずれも内野手)を獲得した2024年は、近未来を見据えた補強だった。
そして竹丸和幸、田和廉、山城京平(いずれも投手)を指名した2025年は、再び即戦力を意識したドラフトに映った。
ならば、この流れからいえば。今回は「未来志向」の年ではないか。目先の戦力補強も大切だが、数年後の巨人を背負って立つ人材を、今のうちから確保しておきたい。
最速148キロを誇る香里丘の岡本翔斗photo by Nikkan Sports
【巨人が狙うべき未来のエース候補】その意味では、今年のドラフトの目玉である織田翔希(横浜/投手/186センチ・81キロ/右投右打)を1位指名するのもひとつの手だ。
今夏の甲子園で156キロを計測した本格派右腕。国内のみならず、メジャー球団からも高い評価を受ける逸材である。複数球団による競合も覚悟しなければならないが、それでも将来のエース候補として獲得を目指す価値は十分にある。
仮に織田を抽選で外したとしても、菰田陽生(山梨学院/投手/194センチ・102キロ/右投右打)や、前田侑大(高岡第一/投手/173センチ・70キロ/左投左打)、平田玲翔(大分商/投手/188センチ・80キロ/右投右打)といった近い将来「常勝軍団」を背負って立てそうな高校生投手が居並ぶ。
2、3位でも、現場の指導者が胸をときめかせそうな右腕が揃っている。
鈴木悠悟(中京/投手/177センチ・75キロ/右投右打)、岡本翔斗(香里丘/投手/180センチ・75キロ/右投左打)、丹羽涼介(市立和歌山/投手/184センチ・77キロ/右投右打)。関東では林晃成(桐光学園/投手/191センチ・85キロ/右投右打)の評判もいい。
巨人の2位指名は阪神より先になる。地元・関西の逸材として阪神も狙っていそうな岡本を、ひと足お先に......。そんな駆け引きがあっても面白い。岡本の低めに伸びる速球は、私が見た限り、今年の高校生右腕では織田に次ぐほどの魅力があると感じている。
サウスポーなら、西田櫂吏(かいり/京都国際/投手/178センチ・76キロ/左投左打)か。回転数の多い145キロ前後の速球にスライダー、チェンジアップを交え、緩急を駆使した投球で今春以降、ぐっと頭角を現してきた。
大舞台での実戦力と経験値の高さなら、杉本真滉(まひろ/智辯学園/投手/177センチ・86キロ/左投左打)だろう。
今の巨人には、自身初の2ケタ勝利となる10勝を挙げた井上温大という格好のお手本がいる。高校からプロに入り、着実に力をつけてきた先輩左腕の存在は、若い投手にとって大きな刺激になるはずだ。
こうした高校生投手を4人でも5人でも獲得できれば、巨人の未来は明るい。もちろん、全員が順調に育つ保証はない。だが、将来のエース候補を複数抱え、互いに競わせながら育てていく。その環境を整えることこそ、常勝軍団への近道ではないだろうか。
【正捕手候補と独立リーグの隠し玉】2020年の萩原哲以来、支配下での指名で捕手を獲得していない巨人。将来の正捕手候補を確保しておくことも、今ドラフトの重要なテーマになる。
1位指名枠は将来のエース候補に使いたい。そうなると、大学球界屈指の捕手である渡部海(智辯和歌山→青山学院大/捕手/180センチ・92キロ/右投右打)を狙うのは難しい。ただ、高校生捕手のなかにも、知名度こそ高くないものの、非凡な潜在能力を秘めた将来の女房役候補がいる。
後藤幸樹(沼津商/捕手/181センチ・86キロ/右投右打)は、がっしりとした体格に強肩、広角に長打を放つ打撃力を兼ね備える。50メートル走6秒を切るといわれる身体能力の高さも魅力だ。
内野手から捕手にコンバートされて、まだ2年足らず。捕手としての経験は浅いが、だからこそ伸びしろは大きい。これから新たな技術を吸収し、どこまで成長するのか。じっくり時間をかけて育ててみたい素材である。
最後に、「変わり種」をひとり紹介しよう。例年に比べて有力候補が少ないといわれる独立リーグから、大城龍馬(日大三→創価大→BCリーグ・埼玉武蔵/三塁手/172センチ・82キロ/右投右打)を推したい。
高校、大学時代は、プロから大きな注目を集めるような存在ではなかったが、独立リーグに進んで一念発起。持ち前のパンチ力に磨きをかけ、着実に実績を積み重ねてきた。
今季は57試合に出場して打率.301、7本塁打、52打点、15盗塁。出塁率.412、OPS.873という数字にも、打撃の確かさが表れている。長打を放つだけでなく、塁に出て、走って、得点につなげる。そんな総合力の高さが魅力だ。
今の巨人には、かつてのように完成されたスター選手を外から集めるだけではなく、無名の若手を育て、戦力に変えていく土壌ができつつある。だからこそ、今年は思いきって未来に投資してみてはどうか。
安倍昌彦●文text by Masahiko Abe
【関連記事】
【2026ドラフト戦略〜西武編】快進撃は来季も続くのか? 主力投手のメジャー挑戦を見据え、"甲子園優勝左腕"と"ネクスト源田"に熱視線
【2026ドラフト戦略〜DeNA編】悲願のリーグ優勝へ「最後のピース」は投手力 地元の逸材・織田翔希を筆頭に獲得したい実力派たち
【自転車】「これが五輪でもお前は脚を止めるか」世界選手権に挑む内野艶和が自らに問い続ける言葉
【2026ドラフト戦略〜日本ハム編】織田翔希か、それとも即戦力か? 打倒ソフトバンクへ徹底して投手を獲得すべき!