Netflixで世界独占配信中の韓国ドラマ「スキャンダル」。フランスの作家ピエール・ショデルロ・ド・ラクロによる小説「危険な関係」を原作に、2003年に公開された韓国映画『スキャンダル』をドラマシリーズとして新たに生まれ変わらせた作品だ。
【写真を見る】ソン・イェジン&チ・チャンウク&ナナ、息ぴったりの3ショット!
類まれなる才能を持ちながら、女性であるがゆえに多くの制約のなかで生きるチョ夫人、ある理由から快楽と刺激を求めるようになったチョ・ウォン、息をひそめるように暮らす未亡人ヒヨン。朝鮮時代を背景に、男女の秘密の駆け引きを描きだす。
チョ夫人役には「39歳」以来、4年ぶりのドラマ出演となるソン・イェジン。知性と気品の奥に狂気を忍ばせるチョ夫人を熱演する。「朝鮮一の色男」チョ・ウォン役のチ・チャンウクもベストマッチ。華やかな色気と余裕を漂わせながら、その内側に潜む危うさや孤独まで巧みに表現し、人物に奥行きを与えている。ナナは、儚げなヒヨンを繊細かつ大胆な演技で体現し新境地を開拓した。
見どころは、なんといっても濃密な色香を放つ3人の秀逸な演技。そこにパンソリ(唱い手と鼓手の2人だけで綴られる韓国の伝統芸能)の艶かな響き、絵画のような映像美が加わり、まさに芸術作品と呼びたくなる一作に仕上がった。
MOVIE WALKER PRESSではメインキャスト3人にインタビューを実施。本作への出演を決めた理由から、複雑な感情を抱える役柄との向き合い方、共演を通して感じた互いの“俳優としての魅力”までじっくりと語ってもらった。
■「俳優が作品をどう解釈するかによって、キャラクターの性格や雰囲気、さらには作品全体まで決まってくる」(ソン・イェジン)
――本作への出演を決めた理由を教えてください。
ソン・イェジン「まずチョ夫人がとても魅力的なキャラクターだと思いました。あらゆることがタブーとされた朝鮮時代を背景に、人間の欲望や本能的な感情を描いた点にも惹かれました」
チ・チャンウク「本作は『危険な関係』という原作小説を再解釈したドラマです。台本を読んだ時、登場人物の関係が興味深くておもしろいと思いましたし、ほかにも様々な思いが一気に押し寄せてきて、チョ・ウォンという人物を演じてみたいという欲が生まれました」
ナナ「ヒヨンは、一度も表現したことのない新しい一面を見せられるキャラクターだと思いました。自分と似ている点が多く、ヒヨンを理解して共感しながら、うまく表現できるだろうと考え、出演を決めました」
――妖艶さや大胆さが必要な刺激的なシーンも多く登場しますが、どのように役作りをされたのでしょうか。
チ・チャンウク「僕は今回、キャラクターの内面について深く考えました。また、チョン・ジウ監督とも密にコミュニケーションし、監督はどのような物語を創りあげようとしているのか、チョ・ウォンをどんな方向で表現するのか話し合いながら作り上げていきました」
ソン・イェジン「私は『作品の解釈』がとても大事だと思っています。俳優が作品をどう解釈するかによって、そのキャラクターの性格や雰囲気、さらには作品全体まで決まってきますから。チョ夫人は複数の感情のレイヤーが折り重なっている一筋縄ではいかない人物のため、1シーン1シーンがすべて悩みの種でした。チョ夫人をどう解釈しようか台本を読みながら悩みましたし、このシーンでの彼女の本心はどうだったのか、そのようなことを絶えず考えていました。まるで宿題を課せられたような気分で準備しました」
ナナ「私は、ヒヨンを演じるにあたり、子どものように純粋に見つめる目と心が必要だと思いました。ヒヨンは閉ざされた空間で生きてきたせいで、目にするもの全てが見慣れず、初めて経験することも多い人物です。大人になったいまの私ならそんな状況にももっと柔軟に対処できる気がしますが、ヒヨンはうまく対処できず、子どものように臆病になってしまいます。見慣れないものと向き合った時のヒヨンを体の動きや行動、まなざしで表現しなければならないと考え、ヒヨンの純粋さを引きだすことに注意を傾けて役作りをしました」
■「人間が感じる本質的な欲望や人間関係というのは、現代を生きる人々にとっても非常に興味深いテーマ」(チ・チャンウク)
――「スキャンダル」に登場する人物たちは制約を課された時代を生きていますが、「社会から求められる自分」と「本当に自分が望んでいる人生」の間で葛藤する姿は、現代を生きる私たちにも通じるものがあるように思います。ご自身のキャラクターに現代人との共通点を感じた部分はありますか?
チ・チャンウク「人間が感じる本質的な欲望や人間関係というのは、現代を生きる人々にとっても非常に興味深いテーマだと思います。1782年に書かれた原作小説でも、このような感情を描いている。人間の本質はいまも昔も変わらないのだと感じました。だからこそ、いまの時代に生きる私たちにも共感できる物語なのだと思いました」
ソン・イェジン「本作は究極的な愛の物語であると同時に、自己実現について考える物語でもあります。『なぜ生まれてきたのか』『自分はこの世でなにをすべきなのか』『自分は誰なのか』という誰もが抱える問いを投げかけ、それぞれのキャラクターが自分自身を見つめ、知っていく旅の過程を描いています。そういう意味で、時代や置かれている状況は違っても、登場人物たちの葛藤は現代に生きる私たちにも通じる部分があると思います」
ナナ「自分の望む人生を求めるヒヨンの姿は、現代を生きる女性にも通じる部分があると思います。かつてに比べて、いまの時代は『自分のための人生』を生きようとする人が増えているように感じますし、女性たちも、自分が望む方向へ進み、幸せを求めて選択を重ねながら、自分自身の人生を築いている気がします」
■「ソン・イェジン先輩はいつも“善”の目をしていて、チ・チャンウクさんはあらゆる面で頼もしい」(ナナ)
――今作で初めて顔を合わせたお三方ですが、共演するなかで、お互い“俳優としての魅力”を感じたシーンはどこですか?
チ・チャンウク「すぐに思い浮かんだのは第2話のエンディングシーンです。確か、それが初めて(ソン・イェジン)先輩との撮影だったんです」
ソン・イェジン「そうでしたね」
チ・チャンウク「初めての撮影にしては、とてもプレッシャーの大きいシーンで…『こんなに長くて、しかも大事なシーンを最初に撮るのか?』と、段取りを組んだ監督が恨めしく思いましたが(笑)、やり遂げなければいけませんでした。先輩と初めて演技を合わせた時、とても大きなエネルギーを感じ、とてつもない緊張感に見舞われました(笑)。撮影を終えて家に帰るころには、どっと疲れが襲ってきて、体の痛みを感じるほどでした。でも、僕はそれがうれしかったんです」
ソン・イェジン「うれしかったんですか?」
チ・チャンウク「ええ。体が痛くなるほど緊張しましたが、密度の高い撮影をやり遂げたという思いで、とてもうれしかったです。(ソン・イェジン)先輩とのシーンのなかで、一番インパクトがあったので真っ先に思い出しました。
ナナさんについては、第5話のエンディングでヒヨンが「生きたいです」と話す姿が衝撃的で強く印象に残っています。雨に濡れるシーンで、現場の状況もかなりタイト。僕もほかの俳優たちもものすごく苦労しましたが、そんななかでも、ナナさんは感情をうまく表現していて、とても印象的でしたし、衝撃的でした」
ソン・イェジン「チ・チャンウクさんはどのシーンでも感情の揺れを巧みに表現していらっしゃったので、チョ・ウォン役がチ・チャンウクさん以外に誰ができただろうかと思うほど、一つ一つのシーンにピタリとはまる演技をされていました。チョ・ウォンのもどかしさや息苦しさまでも見事に表現していて、本当に役に没入して演じているのがわかりました。だからこそ一つのシーンだけを選ぶのは難しいですが…。いま思い浮かぶのは、チョ夫人の葛藤が激しくなり、チョ・ウォンがチョ夫人に恨みをぶつけるように声を張り上げるシーンです。その姿は幼い頃のチョ・ウォンのようで、チョ夫人は思わず『ウォン』と呼び止めます。チ・チャンウクさんの姿がとてもリアルで、強く印象に残っています。
ナナさんが登場する場面には印象的なものが多くありますが、特に心に残っているのは初登場のシーンです。駕籠を閉める時の表情が、まるで迷子になってしまった小鹿のようで。ヘアメイクもそうでしたし、たたずまいやまなざしから『誰も私に手を出さないでください。私は弱い存在です』という心の声が読み取れて、とても印象的でした。これまで観たことのないナナさんの表情でしたね」
ナナさん「私はソン・イェジン先輩と撮影するなかで、チョ夫人の持つ“悪”の目を一度も見たことがありません。先輩はいつも“善”の目をしていて、『とても善良な心を持っている方なんだな』と感じ、信頼を寄せていました」
ソン・イェジン「ダマされたわね」
(三人で笑いあう)
ナナ「ふふふ。本当に信頼できるまなざしを向けてくださいましたよ。チ・チャンウクさん演じるチョ・ウォンのまなざしからは、優しさや冷たさ、悲しさ、虚しさまで、様々な感情が伝わってきました。その目を見ているだけで、いろいろなことを考えさせられたんです。時には『守ってあげたい』と思いましたし、一方で、私を守ってくれそうな頼もしさも感じて、自然と信じてついていきたくなりました。実際の現場でも、チ・チャンウクさんはあらゆる面で頼もしく、私にとって救世主のような存在でした。一緒に演じることができて、本当にうれしかったです」
美しくも危うい駆け引きの果てに、3人がたどり着く結末とは…ぜひ本編で確かめてほしい。
取材・文/酒井美絵子
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