10月11日(日) 23:00
まず単純な収入差を確認しましょう。現役時代の月給40万円が24万円になった場合、月16万円、年間では192万円の減少です。
ただし、退職して給与収入がゼロになる場合と比べれば、年間288万円の給与収入が残ります。ここから税金や社会保険料が引かれるため手取りはさらに少なくなりますが、生活費を年金や貯蓄だけで賄う必要はありません。
また、会社で一定の要件を満たして働けば、健康保険や厚生年金保険に引き続き加入します。保険料負担は発生するものの、厚生年金の加入期間が増えることで、将来受け取る老齢厚生年金の額も増える方向に働きます。
再雇用後の賃金が現役時代の6割になった場合、一定の人は雇用保険の「高年齢雇用継続給付」を受けられる可能性があります。原則として60歳以上65歳未満の一般被保険者で、雇用保険の被保険者期間が5年以上あり、60歳時点と比べた賃金が75%未満に低下していることなどが条件です。
2025年4月1日以降に受給資格を満たす人は、賃金が60歳時点の64%以下まで下がった場合、各月の賃金の10%相当額が支給されます。たとえば支給対象となる賃金が月24万円なら、単純計算では最大で月2万4000円程度が目安になります。ただし、支給限度額などの条件があり、実際の支給額は個別に計算されます。
60歳以降も厚生年金に加入して働くと、その期間と標準報酬月額などが老齢厚生年金の計算に反映されます。給与が現役時代より下がっていれば増える幅も小さくなりますが、「6割の給与だから年金上の意味がない」ということではありません。
65歳以降も厚生年金に加入しながら働く場合には、在職定時改定によって毎年、加入実績が年金額に反映されます。
一方、老齢厚生年金を受けながら給与を得ている場合は、在職老齢年金にも注意が必要です。2026年度は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が月65万円を超えると、超過額の2分の1が老齢厚生年金から支給停止されます。
再雇用の判断では、収入や年金額だけでなく、健康保険を勤務先で継続できること、生活リズムや社会とのつながりを保てることも考慮できます。一方で、通勤時間や仕事内容、責任の重さが現役時代とあまり変わらないのに賃金だけ大きく下がるのであれば、働く時間を短くしたり、別の仕事を探したりする選択肢もあります。
また、再雇用後の給与額だけを見て「損」と決めるのではなく、給与の手取り、高年齢雇用継続給付、将来増える厚生年金、年金受給開始後なら在職老齢年金の影響まで合わせて比較すると判断しやすくなります。
再雇用後の給与が現役時代の6割まで下がっても、働き続けるメリットがなくなるわけではありません。給与収入を得ながら厚生年金の加入期間を積み上げられ、60歳以上65歳未満で一定の条件を満たす場合は、高年齢雇用継続給付の対象となる可能性もあります。
一方で、再雇用後の働き方が自分の時間や体力に見合っているかは別問題です。会社から提示された月給だけで判断せず、給付金、社会保険料、将来の年金増額、65歳以降の在職老齢年金まで含めた「実質的な収入」を比較して決めるのがよいでしょう。
厚生労働省令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します
厚生労働省Q&A~高年齢雇用継続給付~
日本年金機構在職老齢年金制度が改正されました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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