10月11日(日) 0:10
まず、iDeCoの加入要件を確認しましょう。現在の制度でiDeCoに加入できるのは、『国民年金被保険者であり、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない者』です。
65歳以降もiDeCoに加入するためには、iDeCoの老齢給を受け取らないこと。受け取ってしまうと再加入できません。そして、老齢基礎年金は受け取らず繰り下げる必要があります。その際、老齢厚生年金については同時に繰り下げる必要がなく、65歳から受給してもiDeCoの加入は可能です。
ちなみに、企業型確定拠出年金の老齢給付を受け取った場合でも、iDeCoの加入は可能です。また、国民年金基金の受け取りもiDeCoの加入に影響しません。
ところで、今の制度では加入可能年齢は65歳未満であるため、65歳になると加入者ではなくなり運用指図者になります。運用指図者になると、新たに掛け金を拠出することができなくなります。
実は、A子さんはiDeCoの改正の施行日前に65歳を迎えます。そのため、運用指図者になります。ここでiDeCoの老齢給付を受け取ってしまうと再加入できないため、運用指図者のままで令和8年12月の改正の施行を待ちましょう。
また、70歳まで加入可能となる要件で、
・老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受け取ってない、
・企業型でマッチング拠出を実施していない
場合で、次の(1)(2)(3)いずれかに該当する者は、国民年金被保険者でなくてもiDeCoに加入が可能です。また、令和8年12月施行から3年間は、該当しなくてもiDeCoの加入が可能です。
(1) iDeCoの加入者
(2) iDeCoの運用指図者
(3) 企業年金からiDeCoに資産を移換する者
老齢基礎年金は受け取らず繰り下げないとiDeCoは継続できないことが分かりました。では、老齢厚生年金は受け取ったほうが良いのでしょうか、基礎年金とともに繰り下げるのが良いのでしょうか。
A子さんの65歳からの老齢厚生年金の受給額は約17万円の予定です。給与も手取りで14万円であり、在職老齢年金により年金が調整される心配はありません。
A子さんの老齢厚生年金は、70歳まで繰り下げると、0.7%×60ヶ月=42%の繰り下げ増額率となり、24.2万円に増額、同様に75歳まで繰り下げると84%の増額となり、31.2万円に増額します。
確実な増額は安心感につながるとはいうものの、そもそも元の金額が少ないため、老齢基礎年金を84.7万円として75歳まで繰り下げた場合を考えても、国民年金基金を合わせても215万円程にしかなりません。さらに、増額すると保険料や税金も増えるため、増額した分がそのまま受け取れません。
一方、老齢厚生年金を受け取った場合を考えます。厚生年金に加入しつつ老齢厚生年金を受け取る場合は、在職定時改定(報酬により毎年年金額が増額される)により毎年老齢厚生年金が増額するメリットがあります。
国民年金基金の受給額28万円を合わせた45万円は、65歳以降の公的年金等控除額110万円以下であり、年金の受け取りには課税がされません。
また、給与収入がありこの45万円から拠出限度額が拡充したiDeCoに拠出し、掛け金全額所得控除で積み立てし、退職所得控除額を利用して一括で受け取るのも一法です。もちろん、一部を現預金で保有しておき、いざというときの備えにする方法もあります。
ここで意識したいのが、住民税非課税世帯であると、税金や保険料の負担が減額されるメリットです。単身者の住民税の非課税限度額は居住地により148万円~155万円です(1年たりとも限度額を超えないよう注意が必要です)。このラインに注意し、老齢基礎年金の繰り下げ期間を決め、そこまではiDeCoを続けるという考え方もあります。
例えば155万円が住民税非課税世帯である場合、老齢厚生年金と国民年金基金分の合計45万円を差し引いて、その残額110万円内に繰下げ増額分を納めます。110÷84.7≒1.29となり、29%の増額期間を求めると、29÷0.7≒41.4ヶ月となり、この場合は3年5ヶ月が目安となります。
iDeCoに65歳以降も加入するには、老齢基礎年金を繰り下げること、iDeCoの老齢給付を受け取らないことが要件です。iDeCo改正の施行日前に65歳になる場合は、いったん加入者から外れ運用指図者となりますが、運用指図者のままで施行日を待ちましょう。
厚生労働省私的年金制度、iDeCoの改正のポイント
日本年金機構年金の繰下げ受給
日本年金機構在職老齢年金の計算方法
日本年金機構住民税の非課税限度額について
iDeCo公式サイト
執筆者 : 林智慮
CFP(R)認定者
【関連記事】
60歳になり、ついに「iDeCo」の受け取りが可能に…!運用中は非課税でしたが、受け取る際には「税金」がかかってしまうのでしょうか?