今年9月、高IQ集団「MENSA」への入会を公表した、タレントのギャル大臣さん(32歳)。派手なファッションと高い知能――そのセルフプロデュースの源泉に迫った。
ショップ店員になりたくて、浪人はしなかった
――ギャル大臣さんは、福岡県屈指の名門校・修猷館(しゅうゆうかん)高校出身ですよね。それだけをみたら、MENSA会員とのギャップは少ないようにも感じます。
ギャル大臣:
基本的に勉強は好きだったんですよね。特に数学は結構得意で。ただ、同時に昔からファッションにも興味がありました。
――ショップ店員をやっていた時代もあるとか。
ギャル大臣:
そうなんです。九州大学工学部を狙ったけど入れなくて、でも浪人する選択肢はなかったんです。というのも、「ショップ店員になりたい」というのが高校時代からあって。であれば、合格した立命館アジア太平洋大学(大分県)へ行って、ショップ店員をやりたいなと思いまして。
――昔からギャルへの憧れがあった。
ギャル大臣:
ギャルファッションは好きだったし、もっと言えば自由にファッションを楽しめないことへの疑問や不満が中学生時代にはありました。中学は公立中学だったのですが、校則が驚くほど厳しかったんです。
「腕まくりダメ」、「産毛は剃ったらダメ」、「眉毛が全部見えない髪型はダメ」などなど……。正直、「どうしてここまで言われないといけないの?」と思っていました。
――中学時代から成績はよかったんですよね。
ギャル大臣:
定期試験で学年1位だったりもしたので、良い方だったと思います。「きちんと勉強もしているのに、なんで見かけで怒られるの?」とずっと疑問でした。
実際に教師に疑問をぶつけたこともありましたが、「昔からそうだから」「みんなそういうルールでやっているから」と、納得のいく答えは帰ってきませんでした。だから有無を言わせないように、ギャルになるために勉強を頑張った、みたいなところさえあります(笑)。
高校受験で修猷館高校を選んだのも、自主自律の自由な校風だったからです。
幼少期に知った「稼ぐこと」、高校で学んだ「自由」
――高校時代は、ファッションを楽しめた。
ギャル大臣:
そうですね。ただ、修猷館で経験した「自由」は、これまで思っていたものとは異なっていました。生徒たちが自ら、「好きにファッションを楽しんでもいいけど、この高校の生徒の名に恥じない格好をしよう」という内的規律があったんです。そして、それは私のなかですとんと腑に落ちるものでもありました。
――ギャル大臣さんの幼少期が気になります。
ギャル大臣:
母が韓国人で、父が日本人という家庭でした。24歳差の夫婦で、ありがたいことに家族仲のいい環境で育ちました。比較的小さい頃から海外にも連れて行ってもらえて、現在私が日本語のほかに英語や韓国語、中国語を操れるのは、そういう背景もあったと感謝しています。
――ギャル大臣さんは実業家でもありますよね。昔からビジネスに興味があったのでしょうか。
ギャル大臣:
自分で何か考えて情報を収集するのは好きなんでしょうね、小4のときにアフィリエイトでお金を稼いだ経験は、少し関係してくるかもしれません。月5000円程度でしたが、あの頃の自分の経験としては小さくないですよね。
私は新卒でベンチャー企業に勤めて、25歳くらいで独立しました。独立に際して選んだのは、大学時代を過ごした大分県です。現在も活動の拠点は大分県なんです。
ベンチャーでは営業職だったので、ファッションも抑えめにしていましたが、独立した瞬間に髪の毛をオレンジにしたりして(笑)。ファッションを変えるだけで、気分を変えられるのは面白いなといまだに思います。
「ギャル=バカ」の偏見を覆したい
――なぜそこまでして、社会人としては奇抜にもみえるファッションを楽しもうとするんでしょうね。
ギャル大臣:
厳密な理由は、自分でも説明がつかないんです。ただ、社会一般になんとなく蔓延している、「派手な格好をしているやつはバカ」というイメージを覆してやりたいなとは心のどこかで思っています。
――それだけナメられる経験もしてきた。
ギャル大臣:
そうですね。イベントで呼ばれた席で「姉ちゃんはどこの店?」「どうせギャルがたくさんいるバカ学校の出身でしょ?」とか(笑)。
正直、MENSA会員になったのも、何かしら泊をつけようと思ったという部分もあります。近頃では、最初はナメてきた人とじっくり話して、「頭いいんじゃん」と思わせるのが快感だったりもします(笑)。
――どうしても女性で露出度の高いファッションをしている人に対する世間の評価は、本来の姿より低く見積もられてしまう。
ギャル大臣:
それは感じますね。ある席で「女はおっぱい出しておけばいいからフォロワー増えるじゃん」とか言われたことがあったんです。私は世界を少しでも広げようと思っていろんな挑戦をしてきたけど、「結局おっぱいかよ」と思いましたね(笑)。
中身を見られずに性的な対象としてのみ消費していく社会に、嫌気が差すこともたまにあります。でも諦めません、ファッションを楽しむ人たちが下に見られないようにしたいなと。
ギャル=努力家!ギャルは勉強だって頑張れる
――ギャルに憧れる人たちもたくさんいます。その方たちに何か言葉をかけるとすれば。
ギャル大臣:
ファンの子たちにはよくいうのは、「勉強すればかっこいいギャルになれる」という言葉ですね。ファッションを楽しむためには体型を維持したり、実はいろいろやらなきゃいけないことがあって、本来努力家で真面目だと思うんです。
勉強も頑張ればできるようになるし、かっこいい自分になれる。そんな思いを込めて、これからも発信していきたいですね。
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颯爽としている。ギャル大臣さんと話して、そんな言葉が浮かんだ。好きな道で生きていくために、周囲をどう納得させるか。あっけらかんとした彼女の語りに、猛烈な努力がほのかに香る。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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