【F1】アロンソ「今週末はチャンス」アストンマーティン・ホンダが得意とする中低速コースで今季最高位を狙う

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【F1】アロンソ「今週末はチャンス」アストンマーティン・ホンダが得意とする中低速コースで今季最高位を狙う

10月9日(金) 16:00

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シンガポールのマリーナベイを駆け抜けるシンガポールGPは、アストンマーティン・ホンダにとって重点レースだ。

ストレートが短いため全開率が低く、パワーユニットの不利はラップタイムに現れにくい。逆にコーナーは多く、150km/h以下で通過する90度コーナーばかりが続く。

マレーシアで代替開催された前戦バーレーンGPでフェルナンド・アロンソが8位入賞の快走を見せただけに、シンガポールGPへの期待はさらに高まっている。

前戦で8位入賞したアロンソの鼻息も荒いphoto by BOOZY

前戦で8位入賞したアロンソの鼻息も荒いphoto by BOOZY



「マレーシアの結果は、チームのみんなにとって大きな励みになった。ポイント獲得によってチーム内には安堵感が漂い、シンガポールGPに向けてモチベーションも高まっているよ」

チーフトラックサイドオフィサー(CTO)のマイク・クラックはチーム内の雰囲気をそう説明する。

セパン・サーキットでは予選でアロンソが12位、ランス・ストロールが14位に入ったとはいえ、チームとしては8番目。グリッド降格ペナルティのアルピーヌやレーシングブルズに抜かれるのでは、という懸念もあった。しかし決勝は、彼らと同等かそれ以上のペースを見せ、アロンソはレーシングブルズのアービッド・リンドブラッドを抜き、マクラーレンのランド・ノリスを抑え込んで8位入賞を果たした。

決勝で予想以上の好走を見せることができたのは、直前の雨が影響していたことがレース後の分析でわかった。クラックCTOはそう明かした。

「セパンで何が起こったのかというと、路面状況が非常に特殊だったんだ。路面が非常に粗く、グリップレベルが非常に低かった。だから、どのコーナーでもコーナリング速度が低くなった。そういった領域で我々のマシンは大きな強みを持っているから、対他競争力という点で我々にとって有利に働いたんだ」

つまり、AMR26が得意とする中低速域にハマったことで速さを発揮できた、というわけだ。

もちろん、グリップが低くスロットルが踏めないということは、わずかながら全開率も下がる。必要とされる電気エネルギーも少なくなり、パワーユニットの不利も小さくなる。そういったさまざまな要素が絡み合っての好走だったわけだ。

【ドライバビリティ改善のヒントも】ホンダの折原伸太郎トラックサイド・ゼネラルマネジャー兼チーフエンジニア(GM)はこう語る。

「難しいコンディションのなかで、ドライバーがすばらしい仕事をしてくれたことも大きかったと思います。ドライバーがその難しいコンディションでドライブするにあたって、我々もドライバビリティを確保するために努力しました。コンディションが刻々と変わるなかで、最適なエネルギーマネジメントのモードを選び、ストレートでなんとか抜かれないように耐え、逆にオーバーテイクできた点も貢献できたかと思っています」

ウェットコンディションでは必要なリチャージ量が減るため、コーナリング中のパーシャル回生も減る。その分だけICE(内燃エンジン)を余分に回す必要がなくなり、これまでとは異なる作動領域で走ることになった。

そのなかで、さらなるドライバビリティ改善のヒントも見つかった。それはまさにリチャージ負荷の少ないシンガポールGPで必要とされる領域になりそうだという。

「リチャージ量が減ればMGU-K(運動エネルギー回生システム)による回生制動が弱まり、ICEの負荷も下がって作動領域が変わり、燃焼の挙動も違ってきます。そのなかで特殊な挙動が見られ、ドライバビリティについて学べたことがありました。今回のシンガポールでもエネルギーリッチな状況が予想されますので、そういった状況に合わせてベンチテストも行ない、理解を深めてデータを準備してきました」

シンガポールGPはスプリント週末で、フリー走行が1回しかない。

そのなかで、シンガポールの特殊なサーキットに合わせたマシンセットアップに加え、パワーユニットのドライバビリティやエネルギーマネジメントの設定、さらにはスプリントレースと決勝で使われるモナコGPと同様の低出力マップRev1(車速約200km/h以上でMGU-Kの出力を段階的に低下させる)での走行確認も行なわなければならない。

また、温度や湿度に対するセッティングも必要となる。金曜のスプリント予選までは極めて忙しい時間になりそうだ。

【マシンは何も変わっていないが......】ホンダはレッドブルと組んでいた時代も、追い詰められたときには、パワーユニット側が冷却面を妥協して空力性能を優先するなど、トータルパッケージとしてパフォーマンスを最大化するためのせめぎ合いを行なっていた。今回もそのようなせめぎ合いの週末になりそうだ。

「冷却はやはり厳しいです。マレーシアでも厳しかったですが、いい結果を残すには少しでも攻めた冷却セッティングにしていく必要があります。(作動温度を)どこまでリミットに近づけられるか、HRC Sakuraとも会話しているところです」(折原GM)

マレーシアでの好走が記憶に新しいだけに、ドライバーたちがこのシンガポールに寄せる期待も大きい。

コース特性を考えれば、これが今シーズン最後の入賞のチャンスになってもおかしくない。だからこそ最大限にレースを楽しみ、最大限の結果をつかみ取らなければならないのだとアロンソは語る。

「マシン自体は何も変わっていない。物理的にも同じだし、セットアップもパワーユニットも、マレーシアの5日前のバクーからすべてが同じままだ。それでも、パフォーマンスは大きく違っていた。

何かセットアップを試したからでもない。マシンをうまくウインドウに入れられたわけでも、コース上で何かやれたからでもない。パフォーマンスは、コースレイアウトとストレートの長さによって決まっているだけだ。だから、今週末はいいチャンスなんだ」

マレーシアで得た学びと結果を、シンガポールでどのように生かせるのか。アストンマーティン・ホンダにとって今季最大のチャンスが始まる。

米家峰起●取材・文text by Mineoki Yoneya

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