現有戦力から読み解く「2026ドラフトで獲るべき選手」〜DeNA編
今年もドラフト会議の季節がやってきた。各球団ともシーズンを振り返りながら、来季に向けた補強ポイントを洗い出し、アマチュア選手の最終的な絞り込みに入っていることだろう。10月22日に迫る「運命の日」を前に、本当に獲得すべき選手は誰なのか──。5年連続でAクラスを確保しながら、リーグ優勝にはあと一歩届かないDeNA。悲願達成には、さらなるチームの底上げが必要となる。
【優勝への最後のピースは投手力】今季のDeNAは71勝69敗3分、勝率.507の3位で、5年連続となるクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。
打線はリーグトップの557得点を叩き出し、125本塁打もリーグ最多タイ。一方でチーム防御率は3.27。投手力をさらに強化し、来季こそファンの悲願でもある1998年以来のリーグ優勝へ突き進みたいところだ。
強いような、弱いような──。なんともフワフワと漂っているようにも見えたDeNAの今シーズン。
そういえば、と調べてみると、今年を含めて5年連続でAクラスを死守してきた。それでもリーグ優勝には届かない。安定した戦力を持ちながら、あとひと押しが足りない。そこがDeNAの現在地なのだろう。
打線に目を向ければ、度会隆輝、牧秀悟、筒香嘉智、エンカーナシオン、佐野恵太......。もともとリーグでもトップクラスの破壊力を秘め、強力な上位打線を組める数少ない球団なのは間違いない。
ならば、ドラフトで優先すべきポイントはおのずと見えてくる。
【地元の逸材・織田翔希を1位へ】
投手の竹田祐、篠木健太郎、若松尚輝、坂口翔颯らを獲得した一昨年、野手の小田康一郎、宮下朝陽、成瀬脩人らに力を入れた昨年──。ドラフトの傾向は毎年はっきりしている。
順番からしても、チーム事情からしても、今年は「投手」の年。もっとはっきり言いきってしまえば、「織田翔希の年」なのだ。ご存じ、織田翔希(横浜/投手/186センチ・81キロ/右投右打)は、地元・横浜高に現れた稀有な逸材だ。
横浜市出身でもある明治大の松本直photo by Sankei Visual
28年前。同じ横浜高から現れた「平成の怪物」松坂大輔を取り逃がした痛恨の記憶から、ようやく巡ってきた大きなチャンス。この春から夏にかけてフィジカル、メンタルともに一段と成長し、さらに伸びしろまで残してドラフトを待つ。
それだけの逸材だから、メジャー球団も黙ってはいない。ただ、まずは日本で確かな実績を築いてから海を渡ってほしい。今年8月に逝去された横浜高元監督の渡辺元智さんも、そんなことを思っていたのではないだろうか。
チーム構成に少しでも余裕のある球団なら、こぞって「織田1位」と考えるだろう。少なくとも4球団は重なると見る。もし獲得を逃したとしても、落胆している暇はない。ドラフトとは冷淡無情なものだ。「外れ1位」の人選に入る前に、今のDeNA投手陣を見てみよう。
エース左腕の東克樹(12勝6敗、防御率2.40)を筆頭に、石田裕太郎(5勝8敗、同2.91)、片山皓心(3勝2敗、同2.64)、尾形崇斗(7勝3敗、同3.29)、深沢鳳介(5勝1敗、同2.96)......。中堅・若手の先発陣には、今季の経験を礎に、来季のさらなる飛躍を予感させる投手たちが居並んでいる。
石田裕太郎は援護に恵まれず惜敗した試合もあり、内容的には勝ち負けが逆でもおかしくなかったように思う。
今季途中、ソフトバンクからトレードで加入した尾形は、シーズン終盤に勝ち星を重ねて7勝。来季は先発陣の軸になっていてもおかしくないほど、貫禄のある剛球を投げる。
コントロールと緩急で打ち取る片山と深沢には、「コンスタントに試合をつくる」という武器がある。今季13試合に登板して5勝を挙げた篠木健太郎も、この「先発サバイバル」に加わってくるだろう。持ち前の快速球と縦の高速変化球を武器に、さらに投球の安定感が増せば面白い。
【狙うはタフな即戦力投手】先発グループに明るい材料が見えるのであれば、リリーフ陣の充実に力を注ぐのはどうだろう。横浜市出身の松本直(なお/鎌倉学園→明治大/投手/180センチ・90キロ/右投右打)だって、地元の星だ。
高校時代から力感あふれる投球には目を奪われたが、一般入試で進んだ明治大でも激しいサバイバルを勝ち抜き、力強く台頭してきた。短いイニングなら、平均して150キロ前後をマークできるパワーに、鋭い縦の変化球。屈強な心身が何よりの武器だ。
今年のDeNAはリーグ3位。2位指名までに他球団がどう動くかわからないだけに、手広く準備しておく必要がある。
猪俣駿太(明秀日立→東北福祉大/投手/185センチ・92キロ/右投左打)、あるいは仲井慎(下関国際→駒澤大/投手/177センチ・83キロ/右投右打)を狙いたいが、万が一の場合は野原元気(塔南→京都産業大/投手/182センチ・85キロ/右投右打)が面白い。
猪俣は長身から投げ下ろす140キロ台後半の速球と多彩な変化球を低めに集められるのが大きなアドバンテージ。「丁寧に投げる」というピッチングの原点を外さない。
残念ながら東都2部で大学生活を終える仲井だが、神宮で見てみたかった快速球と、独特の縦に沈む「魔球」は一級品。抜群の身体能力を持ち、まだ大きな伸びしろも残している。
人間だから調子の波はあるはずなのに、それを投球に出さないのが野原の頼もしさだ。1年間投げ通すために一番必要なのは、こうした「芯の強さ」なのかもしれない。
さらに3位以下で、樋口新(あらた/千葉経済大付→愛知工業大→王子/投手/178センチ・82キロ/左投左打)、樫村佳歩(けいと/水城→立正大→セガサミー/投手/166センチ・71キロ/右投右打)、的場吏玖(りく/大阪電通大高→天理大/投手/186センチ・76キロ/右投右打)の中から2人は獲れないか。知名度こそ高くなくても、いずれも「実力派」だ。
九谷瑠(楽天)との2本柱で昨夏の都市対抗優勝に貢献した樋口は、2年連続で出場した今夏の大舞台でも実力を発揮。強豪相手にもまったくひるまない、怖いもの知らずのガッツは実戦で得難い。
小柄ながら150キロ前後のストレートと沈む系の変化球を操る樫村も、強靱なハートの持ち主だ。まだ社会人1年目だが、セガサミーが今季限りで野球部の活動を終了することもあり、その進路には注目が集まる。
今季プロ2年目で7勝7敗を挙げた岡本駿(徳島城南→甲南大→広島)と阪神大学野球連盟でしのぎを削った的場。しなやかな腕の振りと球道の角度に光るものを感じる。今後、筋肉量が増して出力が上がれば、「岡本超え」も期待できる未完の大器だ。
【DH制へ右の大砲を仕込みたい】上位を投手中心で固めたなら、ここからは野手でいきたい。
来季からセ・リーグでも導入されるDH制に備える。左打者なら、来季2年目の小田康一郎に、高見澤郁魅、勝又温史らも控えている。ならば「右のスラッガー候補」として、春山陽登(はると/敦賀気比→大阪商業大/外野手/177センチ・90キロ/右投右打)を推したい。
引っ張るだけでなく、逆方向にも長打を打てるのが大きな魅力だ。DH制が始まれば、これまで以上に「打つこと」で一軍への扉をこじ開けられる。右の長距離砲は、今のうちから仕込んでおいて損はない。
もうひとつ手を打っておきたいのが「足」だ。
今季のチーム盗塁数は50。三森大貴らが足で存在感を示した一方、ファームでは森敬斗が20盗塁、梶原昂希が15盗塁をマークした。彼らが来季、一軍で年間を通して戦力になれるとは限らない以上、さらにスピードのある選手を加えておきたい。
2024年からNPBのファーム公式戦に参入したオイシックス新潟アルビレックスBCに、快足のショートストップが現れた。
高義博(たか・よしひろ/関西創価→BCリーグ新潟→オイシックス/遊撃手/172センチ・75キロ/右投右打)は、今季のファーム公式戦でなんと48盗塁。2位に23個もの差をつける圧倒的な走りっぷりで、東地区の盗塁王に輝いた。
しかも、ただ足が速いだけではない。109試合に出場して打率.254、99安打、5本塁打、30打点。シーズンを通して打席に立ちながら、遊撃手として経験を積んだことにも価値がある。圧倒的な走力と守備力があり、打撃でも着実に進歩を見せている。
重量打線をさらに強くするだけが、攻撃力アップではない。塁に出れば相手バッテリーを揺さぶり、次の打者への配球まで変えてしまう──。そんな「足」という武器を加えることも、リーグ優勝までの最後の数ゲーム差を埋めるひとつの方法ではないだろうか。
安倍昌彦●文text by Masahiko Abe
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