間サエコさんは、小学6年生の娘・姫子ちゃんを育てるワーママ。困っている人を見ると放っておけず、つい手を出してしまいます。
ある朝、電車内で後頭部が絶壁の赤ちゃんの頭を、断りもせず「押せば治る」とつかんだサエコさん。母親を怒らせた自覚がないまま、いいことをしたと上機嫌で帰宅します。ところが、市の不審者情報でこの事案が掲載され、事態の深刻さに気づきます。それでも、サエコさんは「待ち伏せして謝る」と理解不足な状態。夫の付き添いで警察署へむかい、事情聴取を受けるも自分の気持ちばかりを話し、警察官から「相手に恐怖を与えたことが事実」と言われてしまい、厳重注意の処分となりました。その後、家族に愚痴をこぼすサエコさんは、姫子ちゃんから「ママは発達障害かも」と言われ、娘の苦しい思いをぶつけられます。しかし、夫はそれを否定し、病院へ行くことも拒否。モヤモヤしたサエコさんは翌日、会社の同僚に「私って発達障害に見える?」と尋ね、配慮に欠けた発言がきっかけで上司から注意を受けてしまったのでした。
※発達障害とは、脳の働きが関係する障害で、自閉症を含む広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害などいくつかの障害が同時に現れることがあります。年齢や生活環境などによっても症状は様々です。近年「発達障害」は、医学的には「神経発達症」と呼ばれつつありますが、ここでは一般的に広く使われている「発達障害」という言葉を用いています。
この事態に、最近笑顔が減った姫子ちゃんが気がかりなこともあり、サエコさんは医療機関を予約しますが、夫はますます強く拒絶。姫子ちゃんがうれし涙を流す横で苦い顔をしていた夫は、その夜、サエコさんの健康保険証を隠してしまいました。
受診当日、夫が病院へ連絡し「費用が高額になる」ということで受診をキャンセル。すると諦めない姫子ちゃんと夫が対立し、サエコさんは困惑します。
そこで同僚・茂木さんに相談したサエコさんは、高すぎる診察費用に疑いを持ち始め、「診断がくだるのが怖いのかも」ともアドバイスを受けます。夫と話し合うことを決意する中、アルバムの写真の裏から失くしたはずの保険証を発見。その日、家族が揃った食卓でサエコさんが「病院に行きたい」と伝えるも、やはり夫は拒絶。同時にサエコさんは保険証を見つけた件を問いただしました。夫は保険証を隠したことを認め、「ママのため」と言いますが、姫子ちゃんは「病院へ行きたいのに行かせないのはハラスメントだよ」と厳しく言い放ちます。
動揺した夫は、言い返せず、やがて保険証を真っ二つに折ってしまいます。そこへ突然、夫の母親である義母が訪ねてきました。姫子ちゃんから事情を聞いて駆けつけた義母は、夫を「それでも親か!?」と厳しく叱責し、サエコさんと姫子ちゃんに謝罪します。しかし、「俺だって言い分がある」と夫は反発。そして、「かわいいママのままでいてほしかった」その言葉は娘のことを考えたものではなく、自分の願いばかり。夫の主張に、サエコさんも我慢の限界でした。
娘を思う妻の覚悟
サエコさんは、「姫ちゃんのことが大事なの」と、自分にとって何よりも大切な存在の娘への思いを口にします。そして、夫のことも大切に思っているからこそ、勝手に決めてしまうのではなく、きちんと話し合ったうえで答えを出そうと覚悟していたことを説明。しかし、結局夫はサエコさんの思いに耳を傾けてくれませんでした。
そして「今日パパと話して決めました」と切り出すサエコさん。義母には感謝と謝罪を伝え、夫には「別居しましょう」と告げるのでした。
夫婦で考え方や価値観が違うことはあるでしょう。しかし、それだけでは片づけられないこともあります。
今回、夫は相手が発達障害だとわかったら好きでいられなくなるかもしれない、だから「ずっと好きでいるためにも病名をつけてほしくない」と考え、本人が望む受診を妨げました。
「ずっと好きでいたい」という言葉は、一見すると妻を大切に思っているようにも聞こえます。しかし、自分が好きでいられる妻であってほしいという思いを優先し、本人の気持ちや選択を尊重しなければ、それは相手のためではなく、自分の理想を押し付けることになってしまいます。
大切な人だからこそ、「こうあってほしい」と決めつけるのではなく、本人がどう生きたいのか、何を望んでいるのかに耳を傾けることが大切なのではないでしょうか。
著者:マンガ家・イラストレーター ミント 監修者:助産師 関根直子 筑波大学卒業後、助産師・看護師・保健師免許取得。総合病院、不妊専門病院にて妊娠〜分娩、産後、新生児看護まで産婦人科領域に広く携わる。チャイルドボディセラピスト(ベビーマッサージ)資格あり。現在は産科医院、母子専門訪問看護ステーションにて、入院中だけでなく産後ケアや育児支援に従事。ベビーカレンダーでは、妊娠中や子育て期に寄り添い、分かりやすくためになる記事作りを心がけている。自身も姉妹の母として子育てに奮闘中。
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