サッカー日本代表を見る南米の目が変わった フォルラン、ガジャルド...対戦した3カ国の反応

利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

サッカー日本代表を見る南米の目が変わった フォルラン、ガジャルド...対戦した3カ国の反応

10月5日(月) 6:50

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日本代表は、キリンチャレンジカップとキリンカップにおいて、3試合連続で南米のチームと対戦した。ウルグアイ、ベネズエラ、エクアドル。各国の日本代表への反応は三者三様。褒めた者も、怒った者も、審判に苦言を呈した者もいた。ただ、私は面白いことに気がついた。ひとつだけ共通していることがあったからだ。

まずは、それぞれの反応を見てみよう。

日本代表を高く評価していたエクアドルのマルセロ・ガジャルド監督 photo by Kyodo News

日本代表を高く評価していたエクアドルのマルセロ・ガジャルド監督 photo by Kyodo News



初戦のウルグアイ。新監督ディエゴ・フォルランにとって、今回の日本戦はA代表監督に就任して最初の試合だった。かつて選手としてもプレーした日本での監督デビューには、何か運命のようなものも感じる。セレッソ大阪でシーズンを過ごしたことのあるフォルランは、もちろん日本サッカーをよく知っている。だからこそこれまでも、日本代表へのリスペクトをたびたび口にしていた。

試合後、日本選手の個々のテクニック以上に彼が強調したのは、森保一監督がこの代表で積み重ねてきた時間だった。

「難しい試合になることはわかっていた。連係を好むチームであり、森保監督が長く代表を率いてきた積み重ねが表われていた」

一方でフォルランは、1-3の敗戦という結果について、ウルグアイにとって厳しすぎるものだったとも考えている。

「試合内容からすれば、この結果は我々にとって少し重すぎた」

彼は選手たちにかかっていた負荷にも触れた。

「選手たちはよく頑張っていたと思う。だが、長旅の移動によって大きく消耗していた。その影響はピッチでも表われていた」

彼はウルグアイの日刊紙『エル・パイス』にそう語っている。同紙の記者の見解も同じだった。1-3というスコアは試合内容にそぐわない「罰」だったと述べている。

一方、ウルグアイのMFロドリゴ・ベンタンクールは、印象に残った日本選手について語った。佐野海舟だ。彼は佐野のことを、今回の対戦で初めて知ったわけではなかった。

【日本がリアルな戦いの相手に】「彼のプレースタイルがとても好きだ。ワールドカップで彼のプレーを見た。すばらしい選手だし、彼のプレーが好きだ」

これはとても興味深い発言である。これまで多くの選手や監督は日本を称賛する時、日本の組織力やスピードなどに言及してきた。しかしベンタンクールは、ひとりの日本人選手にワールドカップの頃から注目し、その名前とプレーを覚えていたのである。つまり、佐野はウルグアイの報道において、単なる日本人選手ではなく、ひとりの優秀な選手として認識されているのだ。

一方、キャプテンのホセ・マリア・ヒメネスは、日本の得点の前に伊東純也のハンドがあったのではないかと抗議した。

ウルグアイの新聞『エル・オブセルバドール』はこう書いている。

「日本は審判の助けなど必要としていなかった。彼らが上回っていたのは事実だ。しかし、試合があと数分短かったら、引き分けのほうが妥当な結果だったかもしれない」

称賛もあり、不満もあった。しかし、そのどちらにも共通していたのは、日本が彼らにとって具体的な戦いの相手になっていることだった。

日本の2戦目の相手、ベネズエラの反応はもっと激しかった。

試合前、新監督オスワルド・ビスカロンドは日本を、ヴィノティント(ベネズエラ代表の愛称)にとって「非常に重要なテスト」と捉えていた。ベネズエラは南米で唯一、ワールドカップ出場経験がなく、2030年ワールドカップで史上初の大会出場を目指している。そんなベネズエラにとって、日本は自分たちの現在地を知るための相手だった。ワールドカップの常連国に成長した日本をリスペクトし、質の高い対戦になるはずだった。

ところが試合が終わると、話題の中心は完全に変わった。その理由は判定、特に終盤に日本に与えられたPKだ。ビスカロンドは怒っていた。試合後、監督はベネズエラのラジオでこう語っている。

【「判定は我々を不快にさせた」】「まず、我々にPKが与えられるべきだった。こちらのFWが日本のGKの上を越すボールを出したあと、GKが彼に接触した。これはどう見てもPKだった」

そして「ベネズエラはこの試合で負けるような内容ではなかった」、さらに「敬意を欠いた扱いを受けたと感じている」とまで言った。

また同監督が、「いくつかの審判の判定が我々を非常に不快にさせた。チームはこの試合について、ひどく打ちのめされた気分でピッチをあとにした」と述べていると、日刊紙『エル・ナシオナル』は報じている。

ベネズエラメディアもこの試合に批判的だ。

『メリディアーノ』紙は、日本に与えられたPKを「異例のPK」と表現し、「日本のようなスピードと強さを兼ね備えたチームを相手に、引き分けを死守すること――それがベネズエラ選手たちの目標だった。しかし、日本に与えられたあのPKは、彼らの勝利に間違いなく汚点を残した」と、評した。

レアル・ソシエダで久保建英のチームメイトであるホン・アランブルは、さらに強烈だった。彼は自身のSNSにこう書き込んだ。

「何としてでもホームチームを勝たせるために用意された親善試合」

そして最後に一言、「Verguenza!(恥だ!)」。

もちろん、これはアランブル個人の抗議であり、事実として日本に有利な判定をする意図があったことを示すものではない。だが、これほど感情的な反応が出たことは、この試合がベネズエラにとっていかに重要だったかを示している。

興味深いのは、批判記事のなかでも、日本人選手の個々の名前が次々に出てくることだ。これまでだったら「日本が」と主語になるところを、試合を決めたVARの話題では「久保が......」、PKを決めた話では「上田(綺世)が......」、ベネズエラがPKを主張したプレーには「鈴木(彩艶)が......」と、議論が審判の判定に集中していたにもかかわらず、日本人選手の具体的な名前が報道の中心となっていた。

テレビ局『テレムンド・デポルテス』は佐野、久保、鈴木を、日本を理解するための重要なキープレーヤーとしてラテンアメリカの視聴者に紹介し、『メリディアーノ』紙は日本を「最も興味深く、戦術的には現代的な代表のひとつ」とまで評した。

ベネズエラは怒っていた。だが、日本を軽く見ていたわけではまったくない。むしろ逆だった。

【「長いプロセスを持つ代表」】そしてエクアドル。チームを率いるのは、やはり新監督となった元アルゼンチン代表のマルセロ・ガジャルドだった。

フォルラン、ビスカロンド、そしてガジャルド。偶然に、3人は代表監督としての新しいキャリアを東アジアで始めた。そして3人とも、ある一点で意見が一致していた。日本のような強いチームと最初に戦えることは、新しい道をスタートさせるうえで非常にいいテストになる、というのだ。

なかでもガジャルドの日本評は、とても興味深い。エクアドルの新聞『エル・ウニベルソ』に彼はこう語った。

「日本は時計のように機能している。ひとりひとりの選手がふたつ、三つの役割を持ち、それを見事に遂行している。日本は2026年ワールドカップで、大きなインパクトを残したチームのひとつだった」

ガジャルドが何度も口にしたのが、8年間チームを率いてきた森保監督についてだった。

「私は森保のプレースタイルを徹底的に研究した。そして多くのことを学んだ」と言い、「サッカーに対する見方が我々とは大きく異なるチームと戦うことは非常に重要だ」とも語っている。

このアルゼンチン人監督は、日本を遠くから眺めるだけの相手ではなく、実体を持ったライバルとして認識しているのだ。

ブラジルのアトレチコ・ミネイロに所属するエクアドル代表のアラン・フランコも同じところを見ていた。

「日本は非常にいい代表だと思う。我々が新しいプロセスを始めるなかで、すでにはるかに長いプロセスを持つ代表と対戦できるのは、とてもポジティブなことだ」

『エル・ウニベルソ』紙は試合後、日本が同じ監督のもとで8年間仕事を続けていることを強調した。これは現代のサッカー界では珍しく、そしてその成果はワールドカップですでに明らかになっていた、としている。

さらにガジャルドは、日本の新しい選手にも目を向けていた。

「今回の試合で、谷村海那など、これまで知らなかった選手がいることに驚かされた。日本の層の厚さがうかがえる」

私はこの言葉がとても重要だと思う。なぜなら彼は、現在の日本だけを見ていたのではなく、これから先の日本までを気にしていたからだ。

かつて南米から見た日本代表は、「アジアから来たよく走るチーム」だった。しかし、それはもはや昔の話だ。この3試合でわかったことは、南米各国が日本を、単なる「アジアのそれなりに強いチーム」として見ているのではないということだ。森保監督が8年をかけて積み上げてきた仕事は知られており、名前を覚えられている選手たちがいる。

日本は南米からどう見られているか。その目は確実に変わってきている。日本人が思っている以上に、日本代表をかなり近くから見ているのだ。



リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon

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