【本命は、わかりやすい"凱旋門賞血統"】現地時間10月4日(日)、フランス・パリロンシャン競馬場で3歳以上馬によるGⅠ凱旋門賞(芝2400m)が行なわれる。日本調教馬にとっては長年の悲願である世界的ビッグレース。今年はアドマイヤテラ、メイショウタバルの2頭が出走する。
このレースを血統的視点から分析していこう。別表に過去20年の凱旋門賞勝ち馬の血統をまとめた。

オレンジ色で表したのがサドラーズウェルズ系で、直近14年のうち11レースをこの直系の馬が勝利している。母の父を見ても4レースでこの血を持つ馬が勝っており、父も母の父もサドラーズウェルズ系のエネイブルを含め、過去20年のうち13レースで父か母の父にこの血を持っている馬が勝利しているのだ。
さらに、水色で表したダンチヒの影響力も大きい。過去20年の勝ち馬のうち5頭がその直系で、母の父にその血を持っている馬も5勝を挙げている。凱旋門賞では、サドラーズウェルズとダンチヒが極めて重要な血であることは明らかだ。
これらを踏まえ、筆者が本命に推したいのは
モルティーズクロス
(牡3歳、英・W.ハガス厩舎)。同馬の父は2009年の勝ち馬シーザスターズで、昨年の勝ち馬ダリズの父でもある。また、母の父キャメロットは2024年の勝ち馬ブルーストッキングの父で、その父モンジューは1999年の勝ち馬。さらに祖母の父パントレセレブルも1997年の勝ち馬と、わかりやすい"凱旋門賞血統"で構成されている。
血統が凱旋門賞と縁が深いモルティーズクロスphoto by REX/アフロ
牝系も優秀で、母の兄にGⅠ独ダービー(芝2400m)馬ヌタンがいるなど、ドイツのGⅠ馬が多い。6代母ナイジェリアから広がる一族には、英GⅠキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝2400m)を勝ったノヴェリスト、今年日本のGⅢきさらぎ賞(京都・芝1800m)、GⅢ新潟記念(新潟・芝2000m)を勝ったゾロアストロなどがいる。
凱旋門賞はドイツの血が強い。1993年の勝ち馬アーバンシーと、その仔であるシーザスターズの牝系もドイツがルーツ。2011年の勝ち馬デインドリーム、2019年の勝ち馬ヴァルトガイスト、2021年の勝ち馬トルカータータッソもドイツ血統だ。
デインドリーム以降の3頭が血統表内に持っているズルムーの血を、モルティーズクロスは曽祖母の父プラティニの父に持っている。ヴァルトガイストの父ガリレオはシーザスターズの半兄のため、同馬とは共通点の多い血統構成となる。
モルティーズクロスの成績は、これまで7戦5勝。2走前に今回と同じ競馬場・距離で行なわれた仏GⅠパリ大賞(芝2400m)を勝利している。GⅠ英ダービー(芝2410m)でも2着に入っており実績は十分だ。古馬の一線級とは初対戦となるが、充実著しい3歳馬だけに成長に期待したい。
【対抗、2頭の日本馬の期待度は?】もう1頭は
ミニーホーク
(牝4歳、愛・A.オブライエン厩舎)を推す。
同馬は、父フランケルが2022年の勝ち馬アルピニスタを、母の父ダンシリが2006年のレイルリンクを、祖母の父ザミンダーが2008年のザルカヴァを出しているように、"凱旋門賞馬の父"が並ぶ配合。さらに、曽祖母の父ダンシングブレーヴは1986年に凱旋門賞を制し、4代母の父ミルリーフも1971年の勝ち馬。ミニーホークも凱旋門賞に縁のある血統で固められている。
昨年も凱旋門賞に出走して2着。ただ、今年に入ってからは5戦してGⅡ1勝のみだ。前走のGⅠヨークシャーオークス(芝2370m)も3着と、GⅠ3連勝で臨んだ昨年のような勢いはないが、この舞台で血が騒ぐケースは十分に考えられる。
続いて、日本馬2頭についても見てみよう。
メイショウタバル
(牡5歳、栗東・石橋守厩舎)の父ゴールドシップは2014年に出走して14着と敗れたが、その父ステイゴールドの産駒は2010年にナカヤマフェスタが2着。2012、13年にはオルフェーヴルも2着に入っている。ステイゴールドの血は国を問わず海外で激走する例も多いため、注目の血統だ。
アドマイヤテラ
(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)は、GⅠ日本ダービー馬レイデオロの産駒。父系曽祖父キングマンボの直系は、キングズベスト産駒のワークフォースが2010年に凱旋門賞を勝っている。
牝系はディープインパクトと同じで、英ダービーなどを勝ったナシュワンと同牝系という、欧州の名門牝系でもある。ドイツのGⅠ馬であり4代母ウインドインハーヘアの血を4×4でクロスしており、欧州色の濃い配合となっている。この馬も"血が騒ぐ"可能性は十分。日本馬は2頭とも好走が期待できそうだ。
以上、今年の凱旋門賞は、外国馬モルティーズクロス、ミニーホークに注目しつつ、日本馬2頭の好走にも期待したい。
平出貴昭●文 text by Takaaki Hiraide
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