2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(41歳・以前は小林悠として活動)。
20年間生活した東京をあとにして、故郷北海道で自然や犬との気ままなシンプルライフを楽しむアンヌさん。本連載では、40代の今だから感じる日々のあれこれを綴ります。
第103回となる今回は、41歳を迎えたアンヌさんが誕生日の夜のエピソードをつづります。(以下、アンヌさんの寄稿です)
41歳の誕生日、久しぶりに夜のすすきのへ
実は私、9月26日が誕生日でした。無事41歳になりました。
TBSアナウンサー時代から私のことをご存じの方からは、「ナタリー(TBS時代のあだな)が41歳になるなんて、自分も年を取るはずだ」といったあたたかなコメントをいただいたりして。昔から知ってくださっている方に、こうして今も誕生日を祝っていただけるというのは、本当にありがたいことだなと思っています。
そんな41歳の誕生日、何をしていたかというと、ちょうどHBCの情報番組「サタブラ」の生放送がありまして。お昼くらいまでしっかり仕事をして、そのあと夜は私が暮らす札幌が誇る繁華街、すすきのへ。
私はゴールデンレトリーバーの愛犬と暮らしているので、基本的にワンちゃんファースト。夜に出歩くこと自体が結構珍しかったりします。
でも、せっかくの誕生日ですからね。「今日はちょっと特別なことをしてみよう」と、ワンコを少し預かってもらって、その夜は久しぶりに夜のすすきのへ繰り出しました。
お酒を飲みながら怪談を聞くという、「怪談バー」に行きたい! と思い立ち、わくわくしながらすすきのの喧騒をずんずん歩いていたところ、道端に、ひとりの女性が静かに座っているのが目に入りました。
ふと「辻占い」が気になって
いわゆる「辻占い」というのでしょうか。小さな机と椅子を出して、手相や顔相(人相)を見てくれる占い師さんです。
昔、東京に住んでいた頃にも、新宿の伊勢丹の前や、銀座のガード下なんかで、こういう占い師さんを見かけることがありました。懐かしい!!
ビルとビルの間に小さな机があって、ランプがぼんやり灯っていて、「手相見ます」「人相見ます」なんて筆文字で書いてある。まるでドラマや映画の中から飛び出してきたかのような、独特のあの空気感。
なぜかパッと目に入り、思わず「見てもらいたい」という気持ちがむくむくと。
特に悩みがあるわけでもない、相談したいことがあるわけでもないのです。でも、やってみたい!
聞いてみると、お値段は2000円。
「お願いします!」と、白いマスクをつけた年配の女性の目の前に私はすっと立ちました。
「あなたは、これまで人の言うことをちゃんと聞いてきましたか?」
まず人相から。虫眼鏡を使って、私の顔をじーっと見る占い師の女性。何を見ているんだろうと思って、ちょっとドキドキし始めたら「顔は問題ない」とのこと。
ほう。
続いて手相。沈黙の時間が続いたのち、開口一番、
「あなたは、これまで人の言うことをちゃんと聞いてきましたか?」
という「ズバリ言うわよ」的一言。
え?
人間って普段自分の中にない会話のパターンを繰り出されると瞬時に返答できないということがよくわかりました。
うーん。子どもの頃は、親の言うことをちゃんと聞く子だったと思うけど……うーんでも大人になってからはいろんなことを自分で決めてきたかな……うーん。
そんなふうに動揺していると、その女性、「あなたは、波乱万丈の人生です」と続けました。
波乱万丈かどうかは置いておいて、見る人によっては、確かにいろいろあった人生なのかもしれません。札幌生まれ、東京のテレビ局で働き、そして札幌にまた帰ってきて今がある。変化が多いと言えばそうだけどね。
「もっと人の言うことを聞きなさい」と言われて
そして次「あなた、安定したいでしょう?」というではないですか。これはもう、まさしくその通り。
プライベートは今、とても満足しています。友人関係も家庭も穏やか。だからこそ、今一番気になるのは仕事。
私は仕事命。ただフリーランスですから、やっぱり「ずっとコンスタントに続いてくれたらいいな」という気持ちはあるわけです。
「安定させたいですね」と答えると、「あなたは、もっと人の言うことを聞きなさい」とズバッと言われてしまったのでした。
その後も、健康のことや家族のことなど、私が何も話していないのに、手相だけを見ながらポツポツと言葉を重ねていく女性。その中には「確かに」と思うことも結構あって。
占いが当たるかどうかはわかりません。でも、私が一番印象に残ったのは、占いの内容そのものというより「もっと人の言うことを聞きなさい」というあの言葉。
41歳にもなると、なかなか誰かにそんなふうに言ってもらう機会ってないですよね!?
2000円で「金言」を買ったような夜
大人になればなるほど、自分で決めて、自分で責任を取ることが増えていきます。アメリカ人の父親とは密にコミュニケーションをとっていますが、基本的には「本人の自由」というタイプ。何かを具体的にアドバイスされることもほとんどありません。
だからこそ、41歳になったタイミングで、道端の占い師さんから「もっと人の意見に耳を傾けなさい」と言われたことが、なんだか妙に新鮮に感じ、と同時になんだか落ち着かないそわそわするような不思議な感覚。
結局、10分くらい話を聴いていただき、その場を後にしましたが、2000円で、「金言」を買わせていただいたような、そんな感覚になりました。
そして、その後は街を少しぶらぶらして、結局11時台には帰宅。世の中の人からしたら、これくらい「夜遊び」とは言わないかもしれません。
でも、私にとっては、十分にワクワクした夜。
最近、大人になってからは、物よりも「経験」にお金を使うようになった気がしますが、そう考えると、41歳の誕生日に使った2000円は、なかなかいい使い方だったんじゃないかな。
41歳。より多くの方にアドバイスを求める年にしようと思います。改めてよろしく!
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne
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