2026年7月6日から9日にかけて開催された「SPACETIDE 2026」。さまざまな国や業種を代表する人物が一堂に会し、宇宙課題を議論するアジア太平洋地域最大級の宇宙ビジネスカンファレンスだ。今年は『宇宙兄弟』作者の小山宙哉さんが特別出演したことでも注目された。
民間宇宙ステーション「Haven-1」の船内に搭載される「KLABOX」
展示を見ている中で、宇宙が“専門家の世界”から“より身近な場所”に変わりつつあると感じる瞬間が何回かあった。今回はエキシビションエリアで発見した、日常に近づく宇宙サービスやプロジェクトを紹介したい。
■300万円で宇宙進出!?宇宙ステーションに「自分用のロッカー」が持てる日
有人宇宙システム株式会社(JAMSS)が展示していたのは、宇宙利用サービス「KLABOX(クラボックス)」の実物大模型だ。
宇宙利用サービスと聞いてもピンとこないかもしれないが、これは言わば宇宙ステーション内での“多目的ロッカー”だ。クラボックスの内部スペースは10センチ立方の箱型単位ユニットから契約可能で、契約すれば宇宙ステーションまで持ち込まれた自分のアイテムを搭載し、ユニットの中で独自の実験や研究を行えるというものだ。
活用例には、宇宙食や化粧品の安定性の実証、電子機器の動作確認やデータ取得、はたまた“宇宙由来”とうたう商品開発など多岐にわたる。クラボックスは、アメリカのVast社が現在計画を進める世界初の民間宇宙ステーション「Haven-1(ヘイブン-ワン)」の船内に搭載される予定。これが実現すれば、「宇宙ステーションでの実験」が、これまで宇宙とは無縁だった民間企業や団体によっても行えるようになるのだ。
サービスには電力・通信環境の提供なしで宇宙へ打ち上げ回収する「クラボックス便」と、電源・通信環境を提供する「簡易実験」の2つがあり、クラボックス便であれば基本価格は300万円(税抜)から。一般企業の企画として考えれば、決して不可能ではないリアリティがある。具体的な利用目的が決まっていない段階や、専門知識がない場合でも、JAMSSが相談や技術支援などの対応を実施するという。小さな箱の中に宇宙進出のアイデアを詰め込める、ワクワクがかき立てられるサービスだ。
■国も後押し!「すべての人のために宇宙を拓く」未来へ
カンファレンスの初日には、内閣府特命担当大臣(宇宙政策)の小野田紀美さんも登壇。日本の宇宙分野の現状と、政府の取り組みについて語った。
小野田大臣は「宇宙分野は今、大きな転換期にあります。それは、宇宙がさまざまな産業や社会と結びつきながら、新たな価値を生み出していく段階に入ったということでもあります」とコメント。政府の取り組みとして、2030年代前半までに年30機のロケット打ち上げ目標やそれに伴うインフラ整備の支援、国際連携と並び、「宇宙分野の産業としての広がり」に触れた。
「多様な民間企業が宇宙分野に参入し、技術の革新と新たなビジネスの創出が進んでいます。こうした中で、宇宙分野の技術や人材に対してしっかりと投資を行っていくことが、我が国の強い経済を実現するためには不可欠」とし、技術開発の支援などを目的とした総額1兆円規模の「宇宙戦略基金」などを通じて、宇宙産業のさらなる拡大を目指す姿勢を示した。
SPACETIDE 2026のテーマは、「Unlocking Space for All Humanity / すべての人のために宇宙を拓く」。大臣の言葉通り、いまや宇宙は国や研究者だけの場所ではない。身近な企業の宇宙進出や、宇宙由来の商品がもっと増える未来を感じさせる今回の展示は、まさにそのテーマにふさわしいものだった。
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