サッカー日本代表が見習うべきエクアドルの再スタート 敗れても目立った変化を恐れない姿勢

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サッカー日本代表が見習うべきエクアドルの再スタート 敗れても目立った変化を恐れない姿勢

10月2日(金) 16:15

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10月1日、横浜。森保一監督率いるサッカー日本代表はエクアドルと対戦し、0-0に終わった。勝ち上がりを決める大会方式のためにPK戦が採用され、日本が5-4で制して決勝進出を決めた。もっとも、サッカーでは引き分けは引き分けと記録される。PKは勝ち上がりを決めるだけ。親善試合でその勝利を喜ぶのはファン、サポーターだけでいい。

エクアドルは堅強なチームだった。ウルグアイ、ベネズエラ、エクアドルとの対南米3連戦だったが、最も歯ごたえのある相手だったと言える。各選手が球際で強く、駆け引きにも長け、集団としてやるべきことも共有されていて、その点は「すばらしいマッチメイクだった」と称賛したい。

おかげで森保ジャパンの強み、弱みも見えてきた――。

エクアドル戦のPK戦勝利を喜ぶ日本代表の選手たち photo by Toshio Yamazoe

エクアドル戦のPK戦勝利を喜ぶ日本代表の選手たち photo by Toshio Yamazoe



エクアドルはマルセロ・ガジャルド監督体制で2試合目だったことを忘れてはならない。

「Ya Consolidada」(すでに強固な代表)

「Gran Fluidez」(すばらしい流動性)

ガジャルドはそう言って、日本代表のサッカーに賛辞を送ったが、彼らの地力も相当なものと言える。念のために書くが、北中米ワールドカップの主力であるDFピエロ・インカピエ(アーセナル)、DFジョエル・オルドニェス(クラブ・ブルージュ)、MFモイセス・カイセド(チェルシー)などのチャンピオンズリーガー、さらにはFWエネル・バレンシア(ボカ・ジュニオルス)、FWゴンサロ・プラタ(フラメンゴ)など、半数近くを欠いていた。

にもかかわらず、前半のエクアドルは日本の力を徹底的に封じていた。局面での勝利を全体の優位につなげ、ほとんどシュートを打たせていない。ウイングバックの裏を狙いながら、何度かゴールにも迫った。一つひとつのプレーがタフで狡猾で、そして強固だった。

また、落ち着いたビルドアップで日本のプレスを外していた。トップには偽9番のようにジョン・ジェボアを用い、彼がトップから中盤に下がってボールを引き出し、両サイドの選手が前線のスペースに入った。前線を撹乱し、流動性を生み出していた。

【久保、上田は違いを見せたが......】日本は南米らしい攻守に手を焼いたが、ひとりだけ違う境地の選手がいた。久保建英は南米のやり口に慣れているのか、むしろ彼のほうがずるく、相手の裏をかいた。前半、一瞬でマークを外してGK鈴木彩艶の縦パスを引き出すと、反転から中村敬斗にパスし、シュートにつながったプレーは見事だった。

前半は鎌田大地が不在だったことで、久保は中盤に下がってゲームメイクする姿が見られた。そこを潰そうと自陣までボールを奪いにきたウィリアン・パチョともあっさり入れ替わった。パチョは言わずと知れた世界的な左利きセンターバックで、欧州王者パリ・サンジェルマンの主力だ。

後半の立ち上がり、久保が反転から鈴木唯人に出したスルーパスは神がかっていた。トラップをミスしてシュートまでいけなかったが、最大の決定機のひとつだった。後半途中に鎌田と交代したが、エクアドルの堅陣を破るには、ふたりの呼吸が必要だったはずだ。

後半、交代で入った上田綺世も前線で違いを見せた。パチョと競り合っても互角に渡り合った。ウルグアイ戦、ベネズエラ戦もそうだったが、彼自身に怖さがあることで、敵のラインを下げることができ、戦術的に有利な状況を作れるのだ。

ただし、日本はエクアドルのゴールネットを揺らせなかった。シュート自体、1試合を通じて6本。枠内シュートはわずか1本だった。決定機も作られていないが、どちらかと言えば"勝ちきれなかった"という印象だ。ワールドカップで勝ち上がるには、こうした試合での勝利が問われる。日本サッカーはまだまだイノベーションが必要だ。

エクアドルは北中米ワールドカップ南米予選を2位で勝ち上がり、本大会ではグループステージでドイツを下した。しかし、ラウンド32で開催国メキシコに敗れたことで、アルゼンチン人セバスティアン・ベカセッセ監督が辞任。同じアルゼンチン人のガジャルド監督を招聘し、リスタートを切った。現状に満足せず、変化を恐れない姿勢こそ、模範とすべきだろう。

「Bastante Parejo」(かなり拮抗していた)

ガジャルド監督は日本戦をそう総括したが、就任2試合目でも手応えを滲ませた。後半には3バックも試し、うまくいかないと再び4バックに戻すなど、フォーメーションや選手を積極的に変更していた。後半、多くの選手を入れ替えると、持ち前の精強さを失い、ノッキングする箇所が多くなったが、強くなるための過程だろう。

一方の日本は、エクアドルに一歩も譲らなかったが、ホームであることを考慮すれば、90分で勝たないと及第点とは言えないだろう。強みも、弱みも浮き彫りになった。主力は十分に真っ向勝負できるが、得点を奪えなかった。守備はウイングバックのところが破綻しかけたが、瀬古歩夢らが奮闘してゼロに抑えた。

森保監督は試合後の会見でこう語っている。

「エクアドルは強度が高く、南米らしく駆け引きも巧みで、そのなかで我々が"何ができて何ができないか"のところで、今後につながる試合をさせてもらえました。南米勢に確実に勝つ力をつけられるか。それが世界一を達成するのに大きなポイントなので」

森保ジャパンは南米勢と3試合を戦ったが、主力に入ってきそうな新メンバーはひとりも見つかっていない。サッカーのプレーモデルも、ウイングバックが高い位置でプレーし、枚数をかけた時は戦術的優位性が出るが、ウイングバックが下がった時はあいかわらず脆かった。システムの多様性も乏しい。鎌田もしくは久保がいないと、サッカーを作り出す回路が不具合を起こすところは深刻だ。

「鈴木彩艶のキックがすごい!」

そんな部分的なところが大きく取り上げられるのは、あまりに安直だ。

エクアドル戦ではGK鈴木がロングパスを見事に通すと、歓声が大きく沸いた。たしかにキック自体は見事だった。しかし、すべてが通ったわけではなく、エクアドル陣営は十分に対処できていた。"一気に敵陣へ"というパスはあくまで飛び道具で、しっかりつないで運び、相手を崩すというトライを後回しにするべきではない。少しでも依存すると、攻撃は単調なものとなる。

10月5日、国立競技場。日本はキリンカップの"優勝"をかけて北中米ワールドカップにも出場したニュージーランドと対戦する。





小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

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