(写真/PIXTA)
9月30日(水) 11:00
リクルートが「SUUMO住み続けたい街ランキング2026宮城県版(SUUMO住民実感調査)」を発表した。
これは、宮城県に住む20歳以上の男女を対象にWEBアンケートを行い、今住んでいる街(駅・自治体)に今後も住み続けたいか、どんな点が魅力なのかを調査・集計したもの。宮城県で実際住んでいる人の満足度が高い街はどの街なのだろう、ランキングと注目の街を見ていこう。
「SUUMO住み続けたい街ランキング2026宮城県版」(リクルート調べ)は、住民が日常の暮らしの中で感じている“住み心地”を可視化した調査だ。
2022年、2024年に続く3回目の今回は、「子育てしやすい街(駅・自治体)ランキング」や「美味しい街(駅・自治体)ランキング」など、今回から初の視点でのランキングも加えた。
ここでは、ランキング全体の傾向を読み解きながら、4つの街(駅・自治体)に注目。まずは、「住み続けたい街(自治体)ランキング」から見ていこう。
「住み続けたい街(自治体)ランキング」のTOP10の顔ぶれは2024年と同じだが、順位は入れ替わった。1位は「仙台市若林区」。2022年が6位、2024年が3位で今回初めての1位。2015年に地下鉄東西線が開通し、駅周辺に商業施設や新しい住宅地が生まれ広がり、かつての古い住宅地や工業地のイメージが払しょくされ、生活・交通の利便性が一気に突出し、住みやすさを実感しやすい環境が整ってきた。
11位~20位は仙台市以外の自治体だ。そのうちTOP20に安定してランクインしている自治体を見てみよう。
7位の多賀城市は安定して10位以内にランクイン。なかでも「魅力的な図書館施設がある」で全体1位。蔦屋書店やカフェなどが併設された「多賀城市立図書館」が駅前の複合ビル内にあり、評価が高い。「今後、街が発展しそう」項目でも8位だ。
15位の亘理郡亘理町は、「住み続けたい街(駅)ランキング」の「住居費が安い」で1位の逢隅駅がある町。14位の柴田郡柴田町は、「子育てしやすい街(自治体)」でも14位。「住み続けたい街(駅)」の「住居費が安い」のTOP10には、東船岡駅、槻木駅、船岡駅と柴田町の3駅がランクインしている。
次に「住み続けたい街(駅)ランキング」を紹介しよう。
「住み続けたい街(駅)ランキング」の1位は、周辺で再整備事業が進む仙台市地下鉄南北線「勾当台公園」。2022年が1位、2024年が5位で再び1位に返り咲いた。隣駅の「北四番丁」も8位から6位になり、TOP10では他に「宮城野通」「長町」「六丁の目」「仙台」が順位を上げた。
次の「子育てしやすい街(自治体・駅)ランキング」は、街の魅力における「図書館、病院、子育て自治体サービス、子育て環境、教育環境、防犯、公園」の偏差値を合計しスコア化したランキングだ。
「子育てしやすい街(自治体)ランキング」は1位が利府町で、「子育て環境が充実」「公園が充実」「魅力的な子育てに関する自治体サービスが充実」の項目が高く評価された。2位の仙台市太白区は「防犯対策がしっかりして治安が良い」の項目で高評価。利便性と自然環境のバランスも良く、親子で出かけられるスポットも豊富だ。4位の富谷市は、「子育て環境が充実」「教育環境が充実」の項目が評価された。
「子育てしやすい街(駅)ランキング」の1位・2位は「北四番丁」と隣駅の「勾当台公園」。3位の「太子堂」は、仙台市太白区の再開発された「あすと長町」エリアに位置する。ゆとりある街並みが広がり、公園が多く、子育て環境の充実が評価されている。
もうひとつ、今回新たに調査した「美味しい街(自治体・駅)ランキング」は、街の魅力における「商店街、コスパがよい店、雰囲気がよい店、水が美味しい、地域の食文化」の偏差値を合計してスコア化したもの。
「美味しい街(自治体)ランキング」では仙台市5区が上位にランクイン。1位の仙台市青葉区は「魅力的な商店街がある」「地域の食文化を楽しめる」が高いスコアを記録した。仙台市以外では、利府町は歴史ある梨の産地で、名取市はせりや閖上赤貝、しらすが全国で知名度が高く、塩竈市は “日本一の寿司のまち”を目指す港町、富谷市は“スイーツのまち”、多賀城市は“古代米”など、独自の食文化を育んできた街がランクイン。「美味しい街(駅)ランキング」TOP20は、すべて仙台市内の駅で、1位から6位まで仙台市青葉区に位置し、JR仙台駅から近い、または乗り換えなしで結ばれる仙台市内の駅が占めた。
「住み続けたい街(自治体)ランキング」1位の仙台市若林区は、2022年が6位、2024年が3位と着実に順位を上げ、初の1位。住民にどこに魅力を感じているかを尋ね集計した「街の魅力TOP10」を紹介する。
今回1位になった背景には、住民が実感している “街の変化”がある。特に「いろいろな場所に電車・バス移動で行きやすい」「通勤・通学など特定の場所に行きやすい」の偏差値が高く、全体でも1位だ。仙台市地下鉄東西線が開業してから市内の各方面へ素早く移動できるようになり、交通が便利なイメージが定着し “暮らしやすさの実感”につながったのではないだろうか。
また、若林区と太白区を結ぶ「宮沢橋」の架け替え工事が完了、2026年9月13日に開通し、車利用の利便性の向上や周辺の渋滞緩和が期待されている。
区内には卸町駅直結の「イオンスタイル仙台卸町」など、まとめ買いに便利な大規模商業施設がある一方、「魅力的な商店街がある」「雰囲気やセンスのいい、飲食店や個人商店がある」「コストパフォーマンスがよい飲食店や個人商店がある」の評価が高い。河原町・荒町・連坊など、昔からの商店街に新しい店や複合施設などが加わり、日常の買い物や外食、親しみのある“行きつけ”が身近にあることも離れがたい魅力だろう。
荒町商店街では、東北学院大学五橋キャンパスの学生と商店街、企業が連携する街づくりへの取組み、情報発信が活発化。河原町商店街には2024年に複合施設「みなてらす河原町」が誕生し、交流の拠点として賑わいを育むなど、商店街の熱量が、街の魅力につながった。
医療アクセスの良さも住民の安心感につながり、評価を押し上げている。地下鉄南北線「河原町」駅徒歩3分にある「仙台市急患センター」が夜間・休日の初期救急医療を担っていることが、「夜間救急などに対応できる医療施設がある」が高い評価だった背景にありそうだ。
さらに、仙台駅東口の再開発が進みオフィスビルの増加や人口流入により、都市化が進んだ。卸町の「INTILAQ東北イノベーションセンター」や五橋の「cocolin」など、コワーキングスペースやシェアオフィスといった新しいスタイルの働く場も増えて、在宅勤務やフリーランスも仕事がしやすい環境がある。
“派手ではないが、暮らしやすい”若林区。今回の初の1位は、アクセスの便利さ、商店街文化と新しい街づくりなど、街の活気や勢いを住民がリアルに実感している証だろう。
「子育てしやすい街(自治体)」1位の利府町。街全体で子育てを支える体制が定着「子育てしやすい街(自治体)ランキング」1位の宮城郡利府町は、「住み続けたい街(自治体)ランキング」では10位だが、街の魅力TOP10を見ると、「子育て環境が充実」「子育て自治体サービスが充実」「公園が充実」「散歩・ジョギングしやすい」など、子育てに関する多くの項目で高い評価を獲得している。
生活者の実感として“子育てのしやすさ”が強いのは、なぜか。
「利府町は20年以上前から子育て支援を街の最重要施策として進めてきました。町立小・中学校の新入学時の運動着の無償提供や待機児童ゼロの継続、県内で初めて『ベビーファースト活動宣言』を行い事業所や児童館も加わるなど、街全体で子育てを支えてきました」(利府町保健福祉部子ども支援課子ども企画係)
「利府町中央児童センター 『ぺあくる』」は、雨の日でも遊べる場所がほしいという保護者の声を反映した、利府町の子育て支援の象徴的な施設だ。大型遊具がある「ぽっちぱーく」や子育て広場「十符っ子(とふっこ)」、屋外のインクルーシブ遊具や軽運動場など、乳幼児から中・高生までが利用している。
また、子どもの屋外の遊び場も充実。「宮城県総合運動公園グランディ・21」、「宮城県県民の森」、「モリリン加瀬沼公園」など、大型公園が複数あり、遊び場が豊富。「公園が充実している」「散歩・ジョギングしやすい」という評価につながった。
子育て以外にも、暮らしやすさを支える充実した施設がある。利府町文化交流センター「リフノス」は、子どもから高齢者まで幅広い世代が訪れ、図書館での読書や学び、公民館でのさまざまな講座、文化会館での舞台芸術や文化活動など、目的に合わせて利用できる。地域の文化・芸術に触れ、学びや創造、交流を楽しめる、利府町の文化交流の拠点となっている。
さらに、「利府町まち・ひと・しごと創造ステーションtsumiki」の存在も大きい。仕事をしたり、カフェでくつろいだり、販売、交流、起業や創業、市民活動の相談など、誰でも利用できる。
利府町の子育ての強さは、20年以上積み上げてきた支援の歩みと、閑静で自然豊かな街で、安心して遊べる公園や施設が身近にあり、地域全体で子育てを見守る雰囲気があることも、評価の高さにつながっている。
静かな住環境と将来性が両立する「美田園」。名取市の総合力が支える暮らしやすさ「住み続けたい街(駅)ランキング」で2位の仙台空港鉄道の「美田園」。2025年には駅前に複合商業施設「オルフィーカ美田園」が開業し、暮らしやすさが高まっている。街の魅力項目TOP10では、「街が閑静である」「今後、街が発展しそう」がいずれも全体1位となり、静かな生活環境と将来性の両立が特徴的だ。
「美田園」駅周辺は、空と土地が大きく広がる落ち着いた新興住宅地で、駅前とは思えないほど静かだ。歩道が広く街路樹が続き、少し歩けば田園地帯が広がり、「街が閑静である」が1位となったのも納得だ。
「美田園」駅から徒歩圏内に複数の街区公園が点在し、徒歩10分の「美田園中央公園」は、散歩・ジョギングの評価を押し上げる存在だ。
また、「美田園」駅前には、宮城県教育福祉複合施設「まなウェルみやぎ」がある。子ども総合センター、中央児童相談所、美田園高等学校など、教育・福祉だけでなく医療の面でも子どもから大人までを支援する県の施設だ。
「美田園」駅が位置する名取市にもふれておきたい。名取市の街の魅力項目では「魅力的な大規模商業施設がある」が1位となっており、生活利便性を高めているのが「杜せきのした」駅直結のイオンモール名取だ。映画館を含む大型商業施設で、子育て支援拠点施設「COCOI’LL(ここいる)」や2025年3月にできた名取市運営(官民連携)の屋内遊戯施設「なとりぱーく」など、子育てを支援する施設・サービスが整い、美田園からも生活圏として利用されている。
「住み続けたい街(自治体)ランキング」6位、「子育てしやすい街(自治体)ランキング」3位、「美味しい街(自治体)ランキング」6位で、複数の観点で平均的に評価が高い“総合力のある生活圏”だ。魅力項目TOP10のうち、「今後街が発展しそう」「街が閑静」など7項目が「美田園」と一致しているが、上位5位のうち3項目で違いが見られた。
名取市は「魅力的な介護・高齢者向け施設やサービスなどが充実している」が全体1位で、補聴器購入の補助や複数の外出支援制度、市が実施し住民が主体で行う介護予防事業「通いの場」が特徴的だ。
静かな住環境に、名取市の利便性・子育て支援・高齢者支援が重なり、将来性の高さも感じられる「美田園」。住み続けたい街として支持を集めた理由がよくわかる。
駅1位は安心感がある程良い都心の「勾当台公園」と「北四番丁」「住み続けたい街(駅)ランキング」で1位となった仙台市地下鉄南北線「勾当台公園」と、「子育てしやすい街(駅)ランキング」で1位となった隣駅の「北四番丁」。さらに2駅は「美味しい街(駅)ランキング」の2位・3位。都心に立地しながら、教育環境・治安・文化施設・医療アクセスがそろい、「街の住民がその街のことを好きそう」「この街らしさに愛着を持てる」といった意識面の評価も高かった。
JR仙台駅から地下鉄で2駅・約3分。駅前の「県庁市役所前」バス停からは山形・石巻・古川方面への高速バスも発着し、通勤・通学・外出も便利。近辺にはケヤキ並木が続く定禅寺通や勾当台公園があり美しい景観が日常にある。また、「せんだいメディアテーク」、ギャラリーやカフェなど文化資源や情報が集まり、「雰囲気やセンスのいい、飲食店や個人商店がある」の評価が高いのもうなづける。単身者から子育て層まで暮らしやすく、憧れのライフスタイルが叶いやすい。
「勾当台公園」駅付近は、官公庁やオフィスビルが集まるビジネスの街で、都心らしい賑わいや活気もある。さらに、仙台市役所新本庁舎の建設や勾当台公園の再整備が進行中で、都心の景観や公共空間が大きくアップデートされる予定だ。「2036年プロジェクト」により市役所・市民広場・勾当台公園など周辺一帯が再整備され、将来性も評価されている。
「北四番丁」駅周辺の上杉地区は、歴史ある学校や塾、習いごとの教室が集まり、教育意識が高い子育て層に支持され、文教エリアとしての性格をもつ街。かつてのお屋敷町の風情が残る住宅街で、整然とした街並みと治安の良さが評価され、「教育環境が充実している」が全体1位になった。
2025年に「イオンモール仙台上杉」が開業し、日常の買い物や子連れで過ごせる場所が増えた。また、「街に賑わいがある」の項目で1位となり、「住み続けたい街(駅)ランキング」も2024年より順位を上げた。
「イオンモール仙台上杉」の隣には、救急対応のある総合病院「仙台厚生病院」や、個人病院など医療環境も充実し、都心ながらベッドタウンともいえる安心感を享受できる環境だ。
都心の利便性、教育環境、文化施設、医療アクセス、そして将来性。「勾当台公園」駅と「北四番丁」駅は、仙台の中心部でありながら“暮らしやすさ”を実感できるエリアとして、多くの住民に支持されている。
「住み続けたい街(駅・自治体)ランキング」には、そこに暮らす人の愛着や正直な「好き」が随所に表れていた。2年ぶりの調査では、土地区画整理事業や都市計画プロジェクト、大規模な商業施設や学校、医療施設の移転・新設などが、街の“住み心地”や“住み続ける期待感”を大きく動かし、ランキングにも明確に反映されたことがわかる。
ただし、「住み続けたい街」は順位そのものよりも、住む人が街に何を求め、どんな暮らしを望むかという価値観で決まるものだ。ランキングを参考にしながら、自分だけの「住み続けたい1位の街」に出会えることが、何よりの幸せだと思う。
●取材協力
荒町商店街
みなてらす河原町
仙台市急患センター
INTILAQ東北イノベーションセンター
利府町保健福祉部子ども支援課
利府町中央児童センター 「ぺあくる」
利府町文化交流センター「リフノス」
利府町まち・ひと・しごと創造ステーションtsumiki
仙台市役所財政局本庁舎整備室
イオンモール仙台上杉
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「SUUMO住み続けたい街ランキング2026 宮城県版」調査報告書
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