物価高・賃金低迷の時代、コスパでもタイパでもなく「ウェルビーイングパフォーマンス」という新たな価値観が浮上している。“ウェルパ”の実践者たちから、お金に縛られない幸せの条件を探った。
4年間の推し活で使ったお金は5000万円!
お金を使わずに幸福度をアップさせる人がいる一方、使いまくることで多幸感に浸る人もいる。会社経営者の篠崎啓二さん(仮名・52歳)もその一人。4年間の推し活で5000万円も費やしたという。
「控えめなコなんです。ふとした瞬間の笑顔を見て、『守ってやらなきゃ』と思いました」
その推しは、某アイドルグループに在籍したB子だ。篠崎さんはグッズを買い、ライブには場所を問わず参戦。握手会に参加するために毎回CDを数百万円単位で購入した。
推し活にのめり込むうちに…
「限られたVIPしか呼ばれない“特イベ”(特別なイベント)には12回参加しました。B子を独占している瞬間がたまりませんでした」
のめり込むうちに“最前管理”と呼ばれるコアなファンのグループにも所属。ライブの最前列を常に確保する集団だ。
「資金力のある仲間十数人でスマホ100台を使って大量に応募したり、最前が確保できなかったら偽造した整理番号と身分証で入場したり。悪さをすることも厭わない仲間と一緒にライブに通い続けていました」
B子の卒業と母の言葉で目が覚めた
だが、B子の卒業と母の言葉が篠崎さんの目を覚ませた。
「最後の握手会に参加するために購入した800枚のCDが、間違えて83歳の母が一人で暮らす実家に届いてしまったんです。そのとき母から『新しい仕事でも始めたの?』『CDは1枚あれば何回でも聴けるのよ』と言われたのがこたえました。推し活に費やしたお金で親を旅行に連れていけばよかったなと」
後ろめたいこともしたが、卒業コンサートでは号泣した。
推し活は人生のすべて
「B子と最後に会ったときに僕が『大したオタクじゃなくてごめん』と謝ったら、『どれだけ篠崎さんにお世話になったと思ってるのよ!ありがとう!!』って怒りながら感謝されて、涙が止まらなくなった。こんなに夢中になってB子にお金を注ぎ込むことができて、自分はなんて幸せなんだろうと。推し活は、本当に私の人生のすべてでした」
現在は地下アイドル通いに勤しむ篠崎さん。財布の紐は多少固くなったが、好きなコに投資して幸せという名のリターンを得る生活はまだ続く。
※2026年10月7日号より
取材・文/週刊SPA!編集部
【関連記事】
・
「スマホは裸より恥ずかしい」隠し子や数百万円の推し活が露見…死後に地獄を見る“デジタル遺品”の恐怖
・
「妻と娘が嵐ロスで仕事と学校を休んだ」50歳男性の悩みに佐藤優が回答「推し活は現代の宗教」
・
祖父の遺産1000万円を捧げた「推し」が卒業発表…絶望したオタク芸人が語る、葛藤の先の“推し活のやめどき”
・
宿泊するホテルまで特定…“推し活”を「やめたいのにやめられない」女性が執着を断ち切れた瞬間
・
急増する“ホビ垢”女子の実態とは?当事者が語った“画面の外の現実”「服は一度着たらメルカリへ」「もっと痩せないと…」