秋のGⅠシリーズがいよいよ幕を開ける。第1弾は、秋の短距離王決定戦となるGⅠスプリンターズS(9月27日/中山・芝1200m)だ。
昨年は11番人気のウインカーネリアンが大金星を挙げて、3連単では130万円超えという破格の高配当が飛び出した。一昨年も9番人気のルガルが勝利して、3連単の配当は29万9070円。直近5年で10万円超えの高額配当が3度も生まれていて、"荒れるGⅠ"といった印象が強い。
そうした傾向にあるのは、人気馬の不振にある。そして、その傾向は最近になって一段と加速している。なにしろ、過去10年の結果を振り返ってみれば、前半の5年は1番人気が3度勝利しているものの、後半の5年は未勝利。しかも、6番人気以下の馬が6頭も連対しているのだ。
そんな状況にあって、今年も波乱ムードが充満している。その点について、スポーツ報知の坂本達洋記者が解説する。
「スプリント界は、古豪の実績馬が健在。予想においては、新興勢力との力関係が大きなポイントになります。ただ、その見極めはひと筋縄ではいきません。
既成勢力に目を向ければ、今春までGⅠ戦線の常連だったナムラクレアは引退しましたが、ママコチャ(牝7歳)、ルガル(牡6歳)、ウインカーネリアン(牡9歳)と、過去3年の勝ち馬が今年も参戦。その他、重賞戦線で活躍する実力馬が顔をそろえました。
一方、新興勢力も楽しみな存在がズラリ。筆頭は、GⅢ北九州記念(7月5日/小倉・芝1200m)、GⅡセントウルS(9月6日/阪神・芝1200m)と重賞を連勝し、現在3連勝中と勢いに乗っているフリッカージャブ(牡4歳)です。人気の一角になるのは間違いありません。
さらに、今春のGⅠ桜花賞(4月12日/阪神・芝1600m)を制したスターアニス(牝3歳)。前走のGⅠオークス(5月24日/東京・芝2400m)こそ12着に敗れたものの、2歳女王にも輝いている駿馬ゆえ、距離短縮で巻き返しムードが漂います。3歳牝馬のため、斤量54kgで出走できるのも有利。こちらも、中心視される1頭と言えるでしょう。
今夏のGⅢCBC賞(8月9日/中京・芝1200m)で重賞初制覇を遂げたフロムダスクが出走馬決定順の補欠1番手だったことからも(最終的に除外)、層の厚いメンバー構成であることは明らか。今年も非常に難解なレースになったと思います。
しかしその分、人気が割れて馬券的な妙味は増すでしょう。そのうえで、人気の盲点となる実力馬の激走があれば、ここ数年と同じく高額配当が飛び出しても不思議ではありません」
また、今年は坂本記者が先に名前を挙げたウインカーネリアンやフリッカージャブらに加え、快速馬ピューロマジック(牝5歳)など、強力な逃げ・先行馬が多数出走。坂本記者は、「逃げたジューンブレア(牝5歳)、2番手につけたウインカーネリアンと、前で運んだ2頭によるワンツーとなった昨年のようなレースは考えにくいでしょう。前に行きたい馬が多いことを考えても、速いペースになることは必至です」と言って、なお一層波乱ムードを匂わせる。
そこで、坂本記者は「波乱のカギを握るのは、決め手上位の馬」と踏んで推奨馬をピックアップした。
「
パンジャタワー
(牡4歳)です。昨年のGⅠNHKマイルC(1着。東京・芝1600m)や、GⅢキーンランドC(1着。札幌・芝1200m)で見せた豪脚は、いまだ脳裏に焼きついています。
スプリンターズSでの勝ち負けが期待されるパンジャタワーphoto by Kyodo News
惜しくも2着に敗れた前走のキーンランドC(8月23日)も"負けて強し"と言える内容でした。逃げ粘ったウインカーネリアン(3着)、2番手につけて勝ったサウンドモリアーナ(牝4歳)と前に行った2頭で決まるかと思われたところを、ゴール目前で2着まで差し込めたのは地力の高さの証でしょう。
レース後、『この馬の力は示してくれたのではないでしょうか。勝った馬が強かった、ということだと思います』と、鞍上の松山弘平騎手。本番へのステップとしては、十分に評価していいと思います。
この中間の取材でも、馬自身は着実に成長している様子でした。担当の助手さんが『ふだんから乗っているなかで、バランスなどは昨年よりも明らかによくなっています』と手応えを口にしていましたからね。
前向きさが出てきて折り合い面はポイントになると考えますが、ペースが流れそうな今回はそこまで心配することはないでしょう。かえって展開は向くと思いますし、秘める能力の絶対値は高いですから、ここは絶好の狙い目だと思います」
坂本記者はもう1頭、気になる馬がいるという。
「万が一、前が残る展開となった場合の穴馬として、前走のキーンランドCを制した
サウンドモリアーナ
をイチ推ししたいです。パンジャタワー、ウインカーネリアンというGⅠ馬2頭を抑えて勝った内容は、高く評価していいと思います。
管理する武英智調教師も、『馬も若いですし、一戦一戦力をつけているな、という感じです。純粋にGⅠ馬の2頭に勝って、(最後は)あの上がり(33秒6)で抜けてきたわけですからね』と勝負気配を漂わせていました。
中山コースも3勝クラスの船橋S(3月29日/芝1200m)で勝っていますし、札幌の芝コースで2勝しているようにパワーの要る馬場も歓迎。小回りコースに対応できる器用さを持ち合わせていることも大きな魅力です。
武英智厩舎は、今回3頭出し。昨年2着のジューンブレアに目が行きがちですが、こちらも軽視は禁物です。一発を狙うなら、この馬でしょう」
昨年は、波乱の立役者となったウインカーネリアンを推奨馬に挙げた坂本記者。今年は、ここに挙げた2頭が高配当をもたらしてくれるかもしれない。
土屋真光●文text by Masamitsu Tsuchiya
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