サッカー日本代表、ウルグアイ戦の勝因は「異端」にあり その武器が内包するネガティブ要素とは?

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サッカー日本代表、ウルグアイ戦の勝因は「異端」にあり その武器が内包するネガティブ要素とは?

9月25日(金) 16:00

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森保一監督の3期目初戦、日本はウルグアイに3-1で勝利した。だが、内容的には逆のスコアで負けてもおかしくない接戦で、これをものにしたことをどこまで喜ぶべきか。微妙な話になる。

ウルグアイは南米でブラジル、アルゼンチンに次ぐ3番手の座をコロンビアと争う伝統国だ。ともすれば格上に見えるが、現在のFIFAランクは20位で17位の日本を下回る。先のワールドカップでも、南米勢6カ国のなかで唯一決勝トーナメント(32強)進出を逃している。やや下り坂。2010年の南アフリカワールドカップでベスト4入りした時のような勢いはない。

しかし、来日メンバーの所属先に目をやれば、けっして悪くないことに気づかされる。ロドリゴ・ベンタンクール(トッテナム)、ロナルド・アラウホ(リバプール)、ホセ・マリア・ヒメネス(デポルティーボ・ラ・コルーニャ、元アトレティコ・マドリード)、ダルウィン・ヌニェス(ディリーヤ、元リバプール)など、世界的に知られた格の高い選手が多くいる。有名選手もかつてに比べて減少傾向にあるとはいえ、日本にはあいかわらずない魅力を維持している。

ビッグネーム不在。チャンピオンズリーグの上位チームで活躍できそうな大物選手が少ない。これは日本代表の特徴と言うべきだろう。だが、それでもこの日、日本はウルグアイに勝つことができた。

ウルグアイを3-1で下した日本代表 photo by Masato Fujita

ウルグアイを3-1で下した日本代表 photo by Masato Fujita



ウルグアイの選手との違いで目に留まったのは、選手個々の粒の小ささだ。大型選手に向かっていく小兵という感じがする。その俊敏な動きにウルグアイは苦戦した。慣れていなかったと言うべきだろう。松木玖生が決めた前半11分の先制点はそのワンシーンになる。

大外から細かなステップでカットインする松木の動きに手を焼くウルグアイの選手の姿に、それは表れていた。逆サイドのウイングバック、中村敬斗のドリブルしかり。中盤では佐野海舟のキビキビした動き。1トップに起用された前田大然のすばしっこいチェイシングも、ウルグアイの選手にはないものだった。

【その特異性は武器になるが......】日本選手とリズムが合わない。そうした一種の不快感を抱きながらプレーする外国チームは少なくない。先のワールドカップを戦ったオランダ、チュニジア、スウェーデン、ブラジルもそうだった。巧緻性の高い日本人選手の動きに慣れるまで時間を費やすことになった。

外国人の目に嫌らしく映っていることは間違いない。瞬間的に幻惑させられる忍者的な身のこなし。外国人から見ればそんな感じだろうか。日本に似たチームを見つけることは難しい。その特異性は日本の武器と言えば武器になるが、世界的に珍しい異端に属することは忘れてはならない。ウルグアイのサッカーのほうが断然、正統派に見えた。

異端対正統派。一般的な日本人には自分たちのサッカーのほうが正統派に見えるかもしれないが、筆者の目にはそう映らない。これは先のワールドカップ取材を通して、あらためて実感した感想でもある。

加えて日本の選手は忠実、勤勉、真面目である。ウルグアイ戦では、日本のそうしたポジティブな要素が浮き彫りになる一方で、ネガティブな要素も目に留まった。

ウルグアイの正統派サッカーにあって、日本の異端サッカーに欠けるものは安定感だ。確固たるものがなく、選手の閃きや瞬間的に湧いたフィーリングに頼る、出たとこ勝負のサッカーに見えてしまう。

具体的にはパスコースだ。ウルグアイと日本を俯瞰して比較した時、その線、特に三角形はウルグアイのサッカーのほうが鮮明になる。ベースとなる配置とそれは深く関係する。ウルグアイの選手が落ち着いてプレーしているように見えた理由だ。日本の選手は流れが悪くなるとバタついた。

唯一の例外は、後半の頭から投入された鎌田大地だろう。森保監督が早々と投入した理由がよくわかった。変にバタバタしない安定感こそが、その時の日本に不足している要素だった。

だが、バタつく理由についてもう少し根本的なことを言えば、5バックになりやすい3バックで再スタートを切ることになった森保ジャパンのサッカーのスタイルと関係する。

【後ろに人が多いサッカー】節目となるこの一戦で注目されたのは布陣だった。ワールドカップ本大会のベスト16進出国で、日本と同じスタイル(基本3バック)で戦ったチームはパラグアイしかなかった。そのパラグアイにしても、4バックで戦う試合もあった。自らのサッカーが少数派であることをワールドカップ本大会で痛感すれば、布陣変更もあるのではないかと、筆者はかすかな期待を寄せたのだが、ダメだった。森保監督は頑(かたく)なだった。

ひと言でいえば、後ろに人が多いサッカーだ。その数的なしわ寄せはサイドに及ぶ。サイドアタッカーは、4バックの場合は両サイドに各ふたりであるのに対し、森保式は各ひとりだ。ピッチ上に描くことができる線の数、パスコースを表わす三角形の総数で一般的な4バックに劣ることは、4-4-2で戦ったこの日のウルグアイとの比較でも鮮明になった。

サイドは真ん中に比べ、ボールを奪われにくい場所だ。パスサッカーを安定的に行なううえでのキーとなる場所なのだ。

真ん中付近でのパス交換が増えれば、奪われる位置も中央に偏る。攻守が一瞬で裏返しになりやすい、危険ゾーンで奪われる可能性が高まるのだ。日本が細かな動きを自慢にすればするほど、そこでミスは起きやすくなる。結果、バタついてペースを失う。失点の要因にもなる。

現在、アジア大会を4-3-3で戦っているU-21日本代表のサッカーにはそれが少ない。中盤がサイドにあるようなサッカーをする。目下の相手はアジアの格下なのだからウルグアイ戦と話を一緒にするなと叱られそうだが、理屈のうえではそうなる。

両者は同じ日本サッカー協会内に存在する事実上の兄弟チームながら、まったく別のサッカーを追求する。日本人選手の特徴に適しているのはどちらか。この大事な話がなぜ議論されないのか。この国のサッカーの方向性について、操縦桿を握る人は誰なのか。世界的に見ても、日本は今、極めて特殊な状況に置かれている。





杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama

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