パラマウント・スカイダンスによるワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)の買収計画が、完了に向けて大きく前進している。反トラスト法違反を訴える12州の司法長官連合とパラマウントが週末に和解交渉を進め、協議は重要な局面を迎えているという。米バラエティが報じた。
カリフォルニア州とニューヨーク州を含む12州は7月、両社の統合が競争を阻害するとして連邦裁判所に提訴した。この訴訟は、パラマウントが2月下旬に合意した1100億ドル規模の買収を完了するうえで、最後に残された大きな障害となっている。
パラマウント側には時間的な制約もある。10月1日までに取引を完了できなければ、WBD株主に1日あたり700万ドルの追加料金を支払う契約となっているためだ。事情に詳しい関係者によると、カリフォルニア州司法長官ロブ・ボンタが主導する州側との協議は、合意に向けて前向きに進んでいるという。
和解条件として検討されているのは、パラマウントとワーナー・ブラザースの両スタジオを一定期間、別々に運営すること。年間少なくとも30本の映画を製作することや、カリフォルニア州内での事業・雇用を維持することも協議されている。
さらに、CNNとCBSの報道部門に第三者の「編集アドバイザー」を置く案も議題に上っているという。WBDの一部または全部の資産をパラマウントとは別の事業体として運営し、一定期間の雇用維持を約束する案も、和解への道筋として検討されている。
ただし、ボンタはこれまで、同一企業の傘下でスタジオを別々に運営するだけでは不十分だと主張してきた。運営方法を定める「行動的是正措置」は執行が難しく、本当に競争を守るには、資産の売却や所有の分離といった「構造的是正措置」が必要だとの立場を示している。
そのため合併反対派は、州側が従来の主張から後退し、実効性の乏しい条件で和解するのではないかと警戒している。Block the Merger連合は、報じられている条件では不十分だとして、オークランド、ニューヨーク、ロサンゼルスで抗議集会を計画した。
合併に反対してきた俳優マーク・ラファロも、支持者に行動を呼びかけた。ラファロはXでボンタに対し、「屈するな」と訴え、雇用や競争を守るため取引を阻止するよう求めている。
全米脚本家組合(WGA)も別途、合併によって脚本家の雇用市場が違法に縮小するとして反トラスト訴訟を起こしている。WGAは、2027年3月の本裁判まで合併を実行させないための合意に加わっているが、今回の和解交渉には参加していない。
この問題をめぐっては、アラセリ・マルティネス=オルギン判事のもとで9月24日(現地時間)に審理が行われる予定。パラマウントは、合併差し止めによって生じる損失への保証として、WGAと12州に18億8000万ドルの保証金を求めている。
パラマウント・スカイダンスは、和解交渉についてコメントを控えている。交渉がまとまれば買収完了へ大きく近づく一方、合意条件が競争や雇用を実際に守れるのかをめぐる議論は、今後も続くことになりそうだ。
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