是枝裕和が監督・脚本・編集を兼任し、藤本タツキ氏の人気漫画を実写映画化した「ルックバック」(公開中)から藤野と京本を描いた劇中アニメーションパートのスチール4点が披露された。併せて原作者の藤本タツキと、ロトスコープアニメ監督・久野遥子のスペシャル対談が公開された。
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【フォトギャラリー】】「ルックバック」、主人公たちの絆を映し出す場面写真
出口夏希と蒔田彩珠がダブル主演を務める本作は、「チェンソーマン」「ファイアパンチ」などの代表作を持つ漫画家・藤本氏の人気漫画を初めて実写映画化するドラマ。漫画の腕に絶対の自信を持つ藤野(出口/子ども時代:七瀬ふうり)と、彼女に憧れを抱きながらも圧倒的な画力を秘めた京本(蒔田/子ども時代:岡田六花)。漫画へのひたむきな思いで結ばれたふたりを、ある日思いもよらない出来事が襲う。原作と同様に、小学生時代から始まるふたりの13年間の軌跡を、繊細かつみずみずしく描き出す。
この度披露されたのは、作品の豊かな世界観を凝縮した、藤野と京本を描いた劇中アニメーションパートのスチール。本作の演出の一部には、実写映像をもとにアニメーションを制作する「ロトスコープ」技法が採用されている。ロトスコープアニメーション監督を務めたのは久野遥子、アニメーション制作は「化け猫あんずちゃん」(24)などを手がけるシンエイ動画が担当した。
アニメーションスチールは、美しい背景とともに、作品の幻想的な世界観が丁寧に描き出されており、藤野と京本の繊細な表情をはじめ、海や空、車窓越しに広がる情景など、ノスタルジックで美しい仕上がりとなっている
※以下、実写「ルックバック」の結末に関するネタバレが含まれます。未視聴の方はご注意ください。
アニメーションパートについて、是枝監督は劇場パンフレットに収録された藤本との対談で「藤野が仕事場に戻ってペンを持つラストで、藤野が何を背負っていくのかを考えました。そこで「かつて2人でアニメ化の夢を語った記憶がよみがえり、京本の描いた絵が動き出し、自分の未来を立て直す」という前向きさを表現したいと思いました。絵から音が聞こえて、動き出し、2人が絵の中で躍動する…というイメージでした」と、その演出意図を明かしている。
【藤本タツキ(原作)×久野遥子(ロトスコープアニメーション監督)スペシャル対談】
対談の中で藤本は、久野が手がけたアニメーションについて「あのアニメーションパートだけ観ても感動しましたし、きっとご覧になる皆さんも泣いてしまうと思います。前後の文脈を知らなくても伝わる素晴らしい映像」と絶賛。
作中でデジタルと手描き表現を融合させた試みについて、久野は「デジタル塗りのアニメ路線も考えたのですが、是枝さんにそれよりは水彩や色鉛筆のニュアンスを大切にしたいと。あとは藤本さんらしいキャラの顔の要素、例えば涙袋の感じを色鉛筆で入れたりして、実写の役者さんと藤本さんの絵の中間点がないか探りました」と語った。
さらに、「デジタルで線画を描いて紙に出力して、シンエイ動画のスタッフ10人くらいで手分けして、色鉛筆で線を引いたり絵の具で色を塗ったりしました。動画1枚1枚をアナログで塗ることは普段はなかなかできないのですが、今回は短いパートに対して作業期間をかなりいただけたので、贅沢な時間の使い方ができました」と、アナログ感あふれる制作の舞台裏を明かした。
また、今回の対談では、お互いの作品に対する思いも明らかになった。久野は、本作に参加が決まった際、藤本からXでメッセージを受けたことを振り返り、「それはむしろ『ルックバック』みたいな体験でした。私から見て『ルックバック』は漫画家志望のエリートの物語で、自分とは異なる世界だと思っていました。それなのに突然、藤本さんからXのメッセージが来て、一瞬だけ自分が藤野のような気持ちになりました。京本と初めて会って火がついた時のような贅沢な体験でした」とコメント。
一方、藤本は、久野の卒業制作「Airy Me」に衝撃を受けた自身の過去を振り返り、「美大生にとって、久野さんの作品は全員が通る道だと思っています。卒業制作はどういうものを作るのか過去の作品を調べて、久野さんの卒業制作にたどり着いて、衝撃を受けて諦めるか、自分も頑張ろうとするのか…のどちらかで。僕も久野さんの卒業制作「Airy Me」に打ちのめされて、自分は漫画を描こうと決めました」と、自身の進路を決めるほどの影響を受けたというエピソードを明かした。
作品に漂う世界観について、久野は原作や実写映像から感じられる魅力として、キャラクターの「子ども性」に着目。「愛情がまっすぐでもどこか意地悪いというか、子供ならではの残酷さも両立している感じがします。そこは子どもだけが持つきらめきで、大人になったら辻褄を合わせていく部分です。藤本さんの作品を読んでいると、そういった子ども性を感じますね」と分析。
これを受け藤本は、「その人に何か足りなかったり、何か欠けていることって、別に直さなくてもいいと思っているんです。欠点だとしてもその人にとって障害でなければ、そのままでもいいのでは、と。自己中心的な部分も直すのは嫌だと思っていて、その未完成な部分が、久野さんの仰る『子ども性』に繋がるのかもしれません」と、自身の創作に対する考えを明かした。
お互いへのリスペクトと、絵を描くことへの情熱が語り尽くされた藤本と久野のスペシャル対談全文は、映画公式サイトで確認できる。
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ルックバック
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