ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
――秋のGⅠ戦線に向けた注目の重賞、GⅡオールカマー(中山・芝2200m)が9月20日に行なわれます。中山の芝2200mという舞台設定や出走メンバーなどを踏まえて、レース全体の展開についてはどのように見ていますか。
大西直宏(以下、大西)
中山の芝2200mは、外回りコースを使用。2度の急坂を越える、スタミナとタフさが求められる舞台です。そして、この週末の馬場状態は、雨予報も出ていてパンパンの良馬場にはなりづらいコンディションが想定されます。
そうしたなか、今回は13頭と手頃な出走頭数。各騎手がけん制し合って、無理にペースを上げることなく、レースはスローペースに落ち着きそうな気がします。
――今回は、連覇を狙うGⅠ馬のレガレイラ(牝5歳)をはじめ、重賞実績のある馬がそろっています。なかでも、想定される展開などから、大西さんが高く評価しているのはどの馬ですか。
大西
実績からすれば、当然レガレイラは無視できない存在です。ですが、今回私が上位に評価して、大きな期待を寄せているのは、コスモキュランダ(牡5歳)です。
――コスモキュランダのどういった点に魅力を感じているのでしょうか。
大西
やはり一番の強みは、中山コースへの圧倒的な適性の高さです。タフな馬場、小回りコースで力を発揮できるパワーを十分に備えています。そして、何より見逃せないのが、近走における戦法の変化ですね。
横山武史騎手が騎乗したここ3戦は、自ら積極的に前目のポジションを取って運んでいます。水分を含んだ馬場で、かつスローペースの前残りが濃厚な展開において、高いコース適性と積極的な立ち回りがかみ合えば、上位を争う確率は極めて高いと見ています。
――では、そのコスモキュランダやレガレイラらを脅かしそうな、伏兵候補として気になっている馬がいたら教えてください。
大西
ヒモ穴として注目しているのは、
エセルフリーダ
(牝5歳)です。
オールカマーでの大駆けが期待されるエセルフリーダphoto by スポーツ報知/アフロ
――同馬は今回、牡馬相手の重賞初挑戦となりますが、どういった点に激走の匂いを感じていますか。
大西
まずは、脚質面。好位でしっかりと立ち回ることができる器用さを持っている点に魅力を感じています。今回の出走頭数を考えれば、スムーズに前目のポジションを取れるでしょうし、好位でタメを利かせたここ2戦のような立ち回りができれば、残り目は大いにあると思いますよ。
――陣営がこの舞台を選択したことについても、興味深いものを感じます。
大西
そうですね。このあとに牝馬同士で戦える重賞、GⅡアイルランドトロフィー(10月11日/東京・芝1800m)が控えているにもかかわらず、あえて牡馬相手の、タフな舞台となるオールカマーにぶつけてきましたからね。
この選択の背景には、間違いなくこの先のGⅠエリザベス女王杯(11月15日/京都・芝2200m)を見据えた、陣営の同馬に対する期待の大きさがうかがえます。大目標へ向けて、強い牡馬に揉まれる経験を積ませたいという狙いと、ここでも勝負になると見込んでいるからこその出走でしょう。
手頃な頭数によるスローな流れのなか、スムーズに運ぶことができれば、続くGⅠへ向けて弾みがつくような好走も可能でしょう。3連単のヒモ穴として、大駆けへの期待は膨らみます。
いずれにしても、各騎手のポジション取りや駆け引きが見どころとなる一戦。馬場と展開の利を生かした立ち回りをどの馬が見せるかに注目し、存分に楽しんでほしいと思います。
武藤大作●取材・構成text by Daisaku Mutoh
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