奈緒が主演を務め、坂東龍汰、大東駿介、中島歩と共演する長編映画「かすかな彼を抱きしめて」の2027年1月15日公開が決定した。
本作は、最愛の人を失った主人公・かなみの前に、数年後、「あなたの夫の幽霊と会った」と語る不思議な青年が現れたことで始まるラブストーリー。日本海の街と東京を舞台に、年月を超えた愛と再生を描く。
林かなみには、不慮の水難事故により行方不明となった夫・幸助がいた。遺体は見つからないまま、法的に幸助は死亡とみなされる。 周りの支えや新たな恋人・優との温かな日常で立ち直ったようにみえる彼女の前に、ある日、「幸助の幽霊に会ったことがある」と語る不思議な青年・純が現れる――。
主人公のかなみに息吹を吹き込むのは、脚本も務めた山西監督があて書きしたという奈緒。奈緒は出演オファーを受けた時を振り返り、「私をイメージして脚本を書いているという、役者としてこれ以上ないほどの幸せなお話を、監督から聞いたのは2023年のことでした」と明かし、その一年後、台本を初めて読んだ時の心情を、「一年の時を経て手元に届いた台本は、『あいまいな喪失』から始まる愛の物語でした。読んだ時、背中にそっと誰かの手が置かれたような温かさに、自然と涙が出たのを覚えています」とコメントを寄せた。
現代のかなみの前に突如現れ、「幸助さんの幽霊に会いました」と告げ、かなみの運命を大きく動かしていく謎の青年・純を演じるのは、「爆弾」で第49回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、話題作への出演が続く坂東龍汰。かなみの現在の恋人・優を担うのは、「罪と悪」「劇場版 アナウンサーたちの戦争」の大東駿介。そして、かなみの夫・幸助には中島歩。毎週のオンエア後にSNSでの大きな盛り上がりが話題になったドラマ「Tシャツが乾くまで」では、妻を事故で失くし喪失を抱える夫を演じた中島だったが、本作では不慮の事故に遭い妻を残して亡くなる幸助を演じる。
監督・脚本を務めるのは、初長編映画「彼女来来」で北米最大の映画祭JAPANCUTS新人最高賞「大林賞」を受賞し、ドラマ「SHUTUP」では脚本担当としてアジアコンテンツアワード最優秀作家賞にノミネートされた山西竜矢。
本作制作のきっかけについて山西監督は「さよならだけが人生だという言葉がありますが、『さよならさえ言えない別れ』も、世の中には存在します。遺体に会えないまま大切な人を失ったとき、喪失を受け入れることも別れを告げることもできず、仄暗い苦しみの渦から抜け出せなくなってしまう。そんな『あいまいな喪失』という概念を知ったとき、ほとんど直感的に、それをテーマにした映画を作りたいと思いました」と語った。
撮影は、2025年11月に東京と、福井県の美浜町・敦賀市・小浜市・おおい町などで行われたが、山西監督は本作で、日本映画を美しく彩ってきた古典的な演出方法を取り入れながら、絵画的なショットや不穏かつ幻想的な映像で紡ぎあげたという。
キャスト陣と監督のコメント全文は以下のとおり。
■奈緒(林かなみ役)
私をイメージして脚本を書いているという、役者としてこれ以上ないほどの幸せなお話を、監督から聞いたのは2023年のことでした。一年の時を経て手元に届いた台本は、「あいまいな喪失」から始まる愛の物語でした。読んだ時、背中にそっと誰かの手が置かれたような温かさに、自然と涙が出たのを覚えています。
そんな温かい本を書いた山西監督の演出が、どれほどむずかしく、おもしろく、刺激的だったのかは、話し始めると尽きないので…公開までに、感謝の言葉と共にノートにまとめておこうと思います。
映画『かすかな彼を抱きしめて』を見てくださった後、自分の中に居る大切な人の輪郭が、ふと浮かぶかもしれません。それも皆さんの愛なのだと、私は信じています。
■坂東龍汰(野上純役)
初めて台本を読んだとき、山西監督の紡ぎ出す世界に魅了されました。そして主演が奈緒さんだと知り、この船に自分も乗ってみたいと思いました。
純という謎の多い人物を前にして、どうアプローチしていくか、撮影に入るまで、そして撮影に入ってからも、ずっと考えていたような気がします。
監督が撮影前にリハーサルの時間を設けてくださり、奈緒さんと三人で言葉や身体の置き場所を探りながら、少しずつ馴染んでいくことができました。美しい街の風景や、そこで食べた美味しいものもこの映画の記憶の一部になっています。
完成した映画を観て、スクリーンの中いっぱいにスタッフさんたちの独創的なアイデアが詰まっていて、その一つひとつに心を動かされました。静かに揺れているもの、目には見えないけれど確かにそこにあるもの。そんなものを、この映画はそっと掬い上げているように思います。ぜひ劇場で受け取っていただけたら嬉しいです。
■大東駿介(長原優役)
台本を頂いて、フラットな気持ちで読んだつもりだったのですが、本を閉じるころには感情が溢れ、山西監督の創るこの作品の世界に、この共演者のみなさんと生きたいと思いました。
ありがたいことに、撮影前に丁寧なリハーサルの時間を頂き、芝居のこと、シーンのこと、この作品の向かうべき場所をみんなで共有できました。山西監督の演出は芝居だけではなく、カメラアングル、ワーク、照明、台詞回し、その全てが重なって、映画作品だからこそできる心情表現、映像美を目指していて、新鮮で面白かったです。
生きていれば誰しも忘れられない別れがあると思います。僕にもいます。その人との止まった時計とどう向き合うか。この作品を通してその時計が動き出した気がします。
あなたの大切な誰かとの大切な時間を大切に想える作品になればと思います。
■中島歩(林幸助役)
台本を読んで浮かんだ景色が、目の前に現れていくような不思議な撮影でした。夢のような、記憶のようなあいまいで美しい映像が撮れたと思います。
なんて、私が撮影したような口ぶりですが私はもちろん俳優部として参加しています。ともかく映画館という暗闇の箱の中で観ることで、夢や記憶の中に浸るような体験ができますのでぜひ劇場へ足をお運びください。
■山西竜矢監督
さよならだけが人生だという言葉がありますが、「さよならさえ言えない別れ」も、世の中には存在します。
遺体に会えないまま大切な人を失ったとき、喪失を受け入れることも別れを告げることもできず、仄暗い苦しみの渦から抜け出せなくなってしまう。そんな「あいまいな喪失」という概念を知ったとき、ほとんど直感的に、それをテーマにした映画を作りたいと思いました。
主人公のかなみ役に奈緒さんの顔が浮かび、当て書きで執筆を始めたのが、今から4年前のことです。そこから、坂東さん、大東さん、中島さんをはじめとする素晴らしいキャスト、才能あふれるスタッフが集まってくれ、この難しい題材と私はがっぷり組み合うことができました。
誰かを深く愛すること。その喪失に向き合うこと。生きていくこと。今の自分にできる限り、それらの本質を捉えようと試み、作品の中に散りばめたつもりです。この映画が、誰かのささやかな支えや癒しになることを願っています。
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