「エイリアン」「ブレードランナー」のリドリー・スコット監督が、半世紀にわたる自身の演出術を「フリーソロ」のジミー・チン監督との対談で明かしたと、米ハリウッド・リポーターが伝えている。アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受けたチン監督が出す対談集から、一部を抜粋したものだ。
88歳のスコット監督は、これまでに29本の長編映画を撮ってきた。この10年だけでも「エイリアン コヴェナント」「最後の決闘裁判」「ハウス・オブ・グッチ」「ナポレオン」「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」など7本を送り出している。8月28日に日米同時公開された「ラスト・サバイバー」も、そのうちの1本だ。
チン監督が何より聞きたかったのは、25回見たという「ブラックホーク・ダウン」(2001)の撮り方だった。1993年にソマリアの首都モガディシオで起きた18時間の戦闘が、生々しく、しかも見る側を混乱させずに描かれている。チン監督が知りたかったその方法が、カメラを11台同時に回すことだった。若いころに2000本以上のCMを撮るなかで、複数のカメラを互いに映り込ませずに回す技術を身につけていたからだ。
そんな撮り方では予算がもたないのでは、というチン監督に対し、スコット監督の答えは逆だった。
「11台を同時に回したほうが安上がりだ。日数が半分以下ですむからな。おかげで『ナポレオン』は130日かかるところを42日で、『グラディエーターII』は120日のところを47日で撮れた」
俳優への指示も短い。
「俳優は、テイクのたびに人生論を聞かされたいわけじゃない。ほしいのは『もっと速く』『もっとゆっくり』『もっと大きく』、それだけだ。あのレベルの俳優は、自分が何をやるかもう考えてきている。だからこっちの最大のほめ言葉は『いまのは一体どこから出てきたんだ』になる」
1982年の「ブレードランナー」は、米誌ニューヨーカーの批評家ポーリン・ケイルに徹底的に叩かれた。スコット監督はその批評を額に入れ、いまも飾っている。
「批評家はひとりしかいない。自分自身だ。映画監督は画家に似ている。教師の言うことなんか聞くな。キャンバスの前ではひとりきりだ。判断するのも決めるのも自分だ。ケイルには会ったこともなかったが、あの記事は本当にこたえた。だから飾ってある。『誰の言うことも聞くな、自分の声だけを聞け』。それを忘れないためだ」
対談集「Rules to Live By(原題)」は、9月29日に米国で刊行される。
【作品情報】
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ラスト・サバイバー
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