10月26日から開催の、第39回東京国際映画祭(TIFF)に、俳優・プロデューサーのケイト・ブランシェットが初参加する。
ユニクロが創設パートナーとして支援する「ディスプレイスメント・フィルム・ファンド(Displacement Film Fund / DFF)」によって制作された5本の短編映画の日本初上映(ジャパン・プレミア)に合わせての来日となります。本作の上映と同週、ブランシェットは演劇・映像分野における貢献を称えられ、第37回高松宮殿下記念世界文化賞を受賞予定だ。
ブランシェットは、ロッテルダム国際映画祭のヒューバート・バルス基金と共同でDFFを創設し率いており、同基金は、避難を余儀なくされた映画制作者、または避難民としての経験を描いた実績のある映画制作者の活動を支援・助成することを目的としたもの。TIFFは「映画の力で難民の声を世界へ」という同基金の趣旨に賛同し、上映を通じて難民問題への理解と関心を深めるきっかけを創出する。
ブランシェットは「東京国際映画祭にて、『ディスプレイスメント・フィルム・ファンド』の支援を受けて制作された第1弾のショートフィルムを観客の皆さまにお届けできる機会に恵まれ、大変光栄に思います。衝突や迫害によって避難を余儀なくされたり、分断が引き起こされている現代の世界において、映画による物語の力は他者の経験と私たちをつなぐ上で非常に重要な役割を果たします。住処を追われたからといって、映画製作者が創造性を諦めるべきではありません。むしろ、彼らの物語こそが今、よりいっそう切実な響きを持つはずです」とコメントを寄せている。
本作の上映に合わせて、短編作品を手掛けたモハマド・ラスロフ監督(「センス・オブ・ウォーター」)とシャフルバヌ・サダト監督(「スーパー・アフガン・ジム」)が、関連イベントへの登壇する予定だ。彼らの対話が、難民問題への理解と共感の輪を日本、そして世界へとさらに広げる大きな契機となることだろう。第39回東京国際映画祭は、10月26日~11月4日に東京・日比谷地区で開催。
▼ディスプレイスメント・フィルム・ファンド支援5作品TIFF上映スケジュール
10月30日(金)10:40開場、11:10上映、上映終了後ゲストによるQ&A(予定)
会場:ヒューリックホール東京
▼ディスプレイスメント・フィルム・ファンド支援5作品
■「アライズ・イン・エグザイル/故郷を追われた盟友たち」(原題Allies in Exile)
(40分 / イギリス、シリア)
監督:ハサン・カッタン
シリア出身の映画作家、ハサン・カッタンとファディ・アル・アラビは、14年間にわたり紛争と制作の日々を共に過ごし、その時代を象徴する数々の瞬間を記録してきました。現在、彼らはイギリスの難民申請者施設に収容されており、飛び交う爆弾の代わりに、“待機”と“官僚主義”、そして“避難”によって形づくられる新たな日常を記録していきます。
難民への敵意が高まる中で、彼らはカメラを自らの内面へと向け、友情や強制移動の意味を探りながら、未来が見通せない状況において「撮影する」という行為が、生き延びるための手段へと変わっていく過程を映し出しています。
■「ローテーション」(原題Rotation)(12分 / ウクライナ、トルコ)
監督:マリナ・エル・ゴルバチ
「Rotation」、それは最前線から一時的に離れ、心身の回復を図る期間のことを呼びます。市民生活から兵役へと日常が一変した若いウクライナ女性。これまでとは違う現実についてゆけずに助けを求め、そんな彼女が体験する催眠療法の儀式が描かれています。
■「センス・オブ・ウォーター」(原題Sense of Water)(39分 / イラン、ドイツ)
監督:モハマド・ラスロフ
亡命という肌寒い現実の中、イラン人作家は異国の言葉と対峙することを余儀なくされます。再び筆を執るためには、愛や怒り、喜びや悲しみといった感情を、その新しい言語の中であらためて見つけ出さなければなりません。書くことの力を再び手にするため、彼は記憶と忘却、失われた言語と新たな言語の間を往来し、人間であること、感情、そして意味を新たに創造する心の旅路へと向かっていきます。
■「スーパー・アフガン・ジム」(原題Super Afghan Gym)(14分 / ドイツ)
監督:シャフルバヌ・サダト
カブール中心部にあるジムでは、一日のうち女性が利用できるたった一時間に、主婦たちが集まります。昼休みに閉ざされた扉の向こうでトレーニングに励みながら、彼女たちは理想の体型や日々の生活について語り合っています。
■「ウィスパーズ・オブ・ア・バーニング・セント/残り香のささやき」
(原題Whispers of a Burning Scent)(28分 / ソマリア、オーストリア、ドイツ)
監督:モ・ハラウェ
裁判で重要な審理が行われるその日、結婚式での大切な演奏を控えた寡黙な男は、自身の私生活が衆目にさらされる事態に陥ります。結婚生活を利用していると非難された彼は、裁きや忠誠心、そして胸の奥に秘めた罪悪感の重さを抱えながら、法廷と街、そしてステージのあいだを行き来します。本作は、慎ましくも一度下せば後戻りのできない選択を迫られた男の内面に深く分け入り、献身と尊厳、そして喪失の狭間で揺れ動く、つかみどころのないその本心を見つめます。
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Photo by Tom Munro