レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏
記憶の扉のドアボーイ・
山下メロ
です。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、昭和・平成・令和と変化し続けているのが結婚の周辺文化。一時期は当たり前のようになっていた「高原のチャペルで馬車に乗ってウエディング」というイメージも、もはや過去のものとなっています。
平成らしい結婚文化といえば、結婚にまつわる情報が集約された分厚い結婚情報誌でしょう。今ではその分野の代表格となった雑誌『ゼクシィ』の創刊は、1993年(平成5年)のことでした。
ゼクシィの特徴のひとつと言えるのが付録です。実際に役所に提出できる婚姻届など、たびたび話題になりました。中でも衝撃的だったのが、創刊から19年後の2012年9月号の付録「乙女すぎる♥ ドライバーセット」です。
かわいい貝殻のような形状で花柄デザインのコンパクトを開けると、白くて丸みを帯びたドライバーのグリップと、その先端部分に取りつけるビットが4種。いろいろな用途で使える実用的な工具でした。
『ゼクシィ』2012年9月号付録「乙女すぎる♥ ドライバーセット」。花柄で貝殻をモチーフにしたケースに日常で役立つ工具を収納
今なお男性的世界観という固定観念が強い工具のデザインは、実用性重視なものばかり。かわいい新婚生活を夢見るも、武骨な工具では台無し。家具の組み立てなどちょっとした場面で必要になるため、できればげた箱などにしまい込まずテーブルなどに置いておきたい。そんな需要にぴったりで、しかも500円(当時の価格)の情報誌の付録ですから、当然人気となりました。
ゼクシィ2014年12月号付録「乙女すぎる♥ ドライバーセット」。コスメのコンパクトや、お姫さまの宝石箱といった雰囲気
その後もゼクシィはいろいろな付録を投入しつつ、翌々年の2014年には再び「乙女すぎる♥ ドライバーセット」が登場します。キラキラのコスメのような見た目で、ドライバーのグリップも宝石のようにカット。お姫さまの宝石箱のようでありつつ安っぽくない洗練された仕上がりで、さらなる高みに到達していたのです。
すでに10年以上経過しましたが、今なお魅力的な逸品です。令和の今こそ、当時ゼクシィを買った人に頼んでドライバーセットを譲ってもらい、活用してみてはどうでしょうか。
撮影/榊 智朗
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