第83回ベネチア国際映画祭コンペティション部門への出品と、独立賞レオンチーノ・ドーロ賞(Leoncino d’Oro/金の小獅子賞)」の受賞、また第51回トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション部門へ出品された塚本晋也監督の最新作「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」(公開中)。壮年期のアレンが、自らが戦場で奪った命の数について語る衝撃的の本編映像が公開された。
本作の原作はベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソンが、自らの戦争体験と帰還後の葛藤を綴ったノンフィクション。ネルソン氏はその体験をもとに日本全国で1200回以上の講演を行い、「ほんとうの戦争」を語り続けてきた人物だ。その証言をもとに塚本晋也監督が「戦争加害者の傷」というテーマに真正面から挑んだ物語。
公開された本編映像では、アカデミー賞®俳優ジェフリー・ラッシュ演じるニール・ダニエルズ医師とのカウンセリングを通して、アレンが長年封じ込めてきた戦争の記憶と“加害”に向き合う姿が映し出される。
18歳でベトナム戦争の最前線へ送られ、多くの命を奪ったアレン。燃え上がる村を前に、「何人殺した?」と問われたアレンは、静かにこう答える。「最初は数えていましたが……やめました。数が多くなりすぎた」。
一人ひとりに名前があり、人生があるはずの命が、いつしかただの“数”へと変わっていく―。その短い言葉からは、戦争によって人間性が失われていく恐ろしさが浮かび上がる。同時にそれは、アレンが帰還後も長年苦しみ、生涯をかけて向き合うことになる“加害”の記憶でもあった。
そして映像は一転、静かなカウンセリングルームへ。戦場から帰還し、長年PTSDに苦しみ続ける壮年期のアレンを演じるのは、『ロドニー・ヒックス。その向かいに座るのは、アカデミー賞®俳優ジェフリー・ラッシュ演じる心理学者ニール・ダニエルズ医師だ。ダニエルズ医師が静かに問いかける。「なぜ人を殺した?」何度も繰り返されてきたその問いに、アレンは苛立ちを見せながら、「戦争で兵士だったんです。殺すか殺されるか、2つに1つでした」と答える。
ダニエルズ医師はそれ以上追及することなく、「分かった。来週また会おう」と告げる。しかし部屋を去ろうとするアレンの背中に、再び同じ問いが突きつけられる。「なぜ人を殺した?」。戦争だったから。兵士だったから。殺さなければ殺されていたから―。それでもなお問い続ける医師と、答えることのできないアレン。この長年にわたる対話こそが、彼が封じ込めてきた記憶と、自らが行った「加害」に向き合っていくための道のりとなっていく。
塚本監督が本作で描こうとしたのは、戦場で起こる殺戮だけではない。戦争が終わり、兵士が故郷へ戻った後にも、その身体と精神の中で戦争が続いていくこと。そして「命令されたから」「戦争だったから」という言葉の奥にある、自らの加害と向き合わなければならない苦しみだ。今回の本編映像は、「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」というタイトルに込められた“問い”そのものを観客へ突きつける映像となっている。
【作品情報】
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ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?
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