9月15日(火) 5:00
加害者側には被害者が受けた損害を賠償する責任がありますが、車の物損事故では、原則として事故直前の車の価値(時価額)が賠償額を判断する基準の1つです。
修理費用が車の時価額を上回った場合、保険実務では「経済的全損」と扱われることがあります。この場合、相手側の保険会社から時価額である70万円を基準とした賠償額が提示され、修理費80万円との差額10万円を自己負担しなければならないケースも発生します。
こちらに過失がなくても修理費の全額が補償されるとは限らないため、家計にとって想定外の負担です。
不足する10万円をカバーするために、まず確認したいのが、相手の自動車保険に「対物全損時の修理差額を補償する特約」が付帯されているかどうかです。
この特約は、経済的全損となった場合でも、一定の条件を満たせば、時価額を超える修理費用の一部を補償するものです。補償内容や上限額は保険会社や契約内容によって異なりますが、修理費の不足分を補える可能性があります。
この特約が利用できれば、不足していた10万円を相手側の保険からカバーでき、自己負担を抑えてN-BOXを修理できる可能性があります。まずは、相手方の保険担当者に、特約の有無や適用条件を確認してみましょう。
相手に特約がない場合、次に検討したいのが、提示された「70万円」という時価額が妥当かどうかを確認することです。
保険会社が提示する時価額と、実際に中古車販売店で同程度の車を購入する際の価格には差が生じることがあります。そのため、提示された金額だけで判断せず、現在の中古車市場における価格を確認することが大切です。
中古車情報サイトなどで、自身のN-BOXと同程度の条件(年式・グレード・走行距離など)の車を複数探し、販売価格を確認しましょう。
見積書や画面のスクリーンショットなどを資料として提示することで、保険会社が算定した時価額について再検討を求める材料になる可能性があります。「提示された金額では同程度の車を購入できない」という点について、客観的な市場価格をもとに説明することが重要です。
被害者に過失がまったくない「10対0」のもらい事故では、弁護士法第72条により、加入している保険会社に示談交渉を依頼できない場合があります。そのようなときに確認したいのが、自身の自動車保険などに付帯されている「弁護士費用特約」です。
この特約を利用できれば、弁護士費用(限度額は通常300万円まで)の補償を受けながら、相手側保険会社との交渉を弁護士に一任できます。一般的に、弁護士費用特約を利用しても自動車保険の等級には影響しないとされていますが、具体的な利用条件については加入している保険会社へ確認しましょう。
弁護士に相談することで、提示された時価額の妥当性や代車費用などについて、法的な観点から検討できます。保険会社から提示された金額に疑問がある場合は、一人で判断せず、専門家に相談することも選択肢の1つです。
10対0の事故であっても、車の時価額と修理費用の関係によって、修理代が全額支払われない「経済的全損」となる場合があります。しかし、保険会社から提示された最初の金額だけで判断する必要はありません。
まずは、相手側の保険に「対物全損時修理差額費用特約」が付帯されているかを確認し、不足分を補える可能性を探りましょう。それが難しい場合は、中古車市場の価格を確認したうえで時価額の妥当性を検討したり、自身の「弁護士費用特約」を活用して専門家に相談したりする方法があります。
理不尽な自己負担を避けるためにも、保険会社から提示された内容を十分に確認し、愛車の修理や買い替えに必要な費用について適切な対応を検討しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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