9月15日(火) 4:00
総務省統計局が公表している「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における1ヶ月あたりの消費支出は平均で14万8445円となっています。さらに、ここから税金や社会保険料などの非消費支出が加わるため、実際の総支出額は16万1435円に達します。
一方、同世帯の平均的な実収入は13万1456円(うち社会保障給付が12万212円)となっており、可処分所得(手取り額)は11万8465円です。この結果、平均的な高齢単身世帯では毎月3万円以上の不足が生じているのが現状です。
したがって、「月12万円あれば絶対に安心」とはいい切れないことが分かります。
「持ち家なら家賃が不要だから平均より安く抑えられるはず」と考えるかもしれません。確かに、賃貸住宅のように毎月数万円の家賃を払い続ける必要はありません。しかし、持ち家には持ち家特有の費用がかかることに注意が必要です。
先述の調査によると、高齢単身無職世帯の住居費の平均は約1万1400円です。持ち家に一人で暮らす場合、家賃の支払いはありませんが、毎年定期的に課税される固定資産税や都市計画税などの負担があります。
さらに、築年数が経過した一戸建てやマンションでは、屋根や外壁の補修、給湯器や水回りの交換といったまとまった修繕費用が必要になる場面が出てきます。年間で見ると、これらの維持管理費だけで毎月数万円単位の積立が必要になるケースも珍しくありません。
家賃がゼロだからといって住居に関する費用が完全に不要になるわけではない点を理解しておく必要があります。
高齢者の単身世帯では、世帯人数が減っても、すべての支出が単純に半分になるわけではありません。特に水道光熱費や通信費などは、一人暮らしでも基本料金など一定の負担が生じるため、1人あたりで見ると二人以上世帯より負担が大きくなることがあります。
先述の家計調査の支出内訳を見ると、食料費は毎月約4万2600円、水道光熱費は約1万5600円です。このほか、教養娯楽費にも約1万6000円を支出しており、食費や光熱費以外にもさまざまな生活費がかかっていることが分かります。
特に近年は、エネルギー価格や食料品価格の上昇が続いており、生活必需品にかかるコストは増加傾向にあります。年金収入のみで暮らす場合、こうした物価変動の影響を受けやすいため、食費や光熱費の負担が重くのしかかるリスクを考慮しておく必要もあるでしょう。
年金月12万円で持ち家に一人で暮らす場合、平均的な支出を当てはめると、毎月の収支が不足する可能性があることが分かりました。ただし、あらかじめ必要な生活費を把握し、支出の見直しや貯蓄などで備えておくことで、老後の家計に余裕を持たせやすくなるでしょう。
老後の生活設計においては、「持ち家なら住居費の心配は少ない」と考えるのではなく、固定資産税や修繕費を含め、実際に必要となる支出を把握しておくことが大切です。家計に関するデータも参考にしながら、自身の収入や支出に合わせて無理のない資金計画を立てておきましょう。
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2025年-(18ページ)、表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2025年-(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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