9月15日(火) 2:30
飼い犬が他人やほかの犬に損害を与えた場合、飼い主が損害賠償責任を負うことがあります。
民法718条では、動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負うと定めています。「占有者」とは、一般的な家庭では、飼い主が該当するケースが多いでしょう。
たとえば、散歩中に相手の犬が突然飛びかかり、自分の犬がけがをした場合、相手側の飼い主に治療費などの賠償を求められる可能性があります。
犬がかみついたケースだけが対象になるわけではありません。犬がぶつかったことで転倒したり、ほかの犬にけがを負わせたりした場合も、状況によって飼い主の責任が問題になります。
ただし、飼い主が動物の種類や性質に応じて相当の注意を払って管理していた場合には、責任を負わない可能性もあります。
相手の犬との接触によって3万円の治療費がかかったとしても、必ず相手側が3万円全額を負担するとは限りません。事故が起きた経緯や、双方の飼い主が犬をどのように管理していたのかなど、具体的な状況が判断に影響するためです。
たとえば、相手の犬が突然近づいてきたのか、双方の犬が近づいて接触したのかなど、事故に至る経緯によって事情は異なります。リードの長さや犬同士の距離、飼い主が制御できていたかなど、事故前後の状況が判断材料になる可能性があります。
被害を受けた側にも過失が認められる場合は、「過失相殺」によって賠償額が調整されることがあります。過失相殺とは、被害を受けた側にも落ち度があった場合に、その程度を考慮して損害賠償額を減らす仕組みです。
たとえば治療費が3万円だったとしても、自分側にも過失が認められれば、相手側から受け取れる賠償額が3万円を下回る場合があります。
どちらが何割負担すると一律に決まっているわけではないため、事故の状況を具体的に確認することが大切です。
犬同士の事故では、後から「こちらは悪くない」「相手の犬から近づいてきた」など、双方の主張が食い違うことがあります。そのため、事故直後の記録が重要です。
可能であれば、事故が起きた場所や犬のけが、リードの状態などをスマホで撮影しておきましょう。近くに目撃者がいれば、話を聞いておくことも役立つ可能性があります。相手の飼い主とは氏名や連絡先を交換しておきます。
動物病院を受診したら、診療明細や領収書も保管してください。治療費を相手側に請求するときに、「実際にいくらかかったのか」を確認する資料になるためです。
また、個人賠償責任保険などでペットが起こした事故を補償できる場合もあります。個人賠償責任保険やペット保険の賠償責任特約などに加入している場合は、補償内容を確認して保険会社に相談しましょう。
愛犬がほかの犬との接触でけがをした場合、相手側の飼い主が治療費などを負担する可能性があります。ただし、相手側が常に全額を支払うとは限りません。
リードを適切に持っていたか、犬を制御できていたか、どちらの犬が近づいたのかなど、事故時の状況によって判断が変わります。
事故が起きたら、まず愛犬の治療を優先しましょう。そのうえで現場やけがの状態を記録し、領収書などを保管しておくことが大切です。
当事者同士で治療費の負担について解決できない場合は、個人賠償責任保険などに加入していれば保険会社へ連絡するほか、必要に応じて弁護士などに相談することも選択肢になります。散歩中はリードを適切に管理し、ほかの犬との距離にも注意することで、愛犬だけでなく飼い主同士のトラブルも防ぎやすくなるでしょう。
法務省 民法(債権関係)の改正に関する検討事項(14) 詳細版
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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