9月14日(月) 5:10
まずは、この方法を用いた場合に、計算上どの程度の差額が生じるのかを確認してみます。
東京メトロでは、定期代が上限金額に達する場合などに便利な全線が乗り降り自由な「全線定期券」が販売されています。この6ヶ月定期券の代金は9万5420円で、今回のケースでは会社からはこの金額が通勤手当として支給されています。
一方、フリマサイトや金券ショップで流通している東京メトロの「株主優待乗車証」(全線定期乗車証)を5万円で購入した場合、差額は4万5420円です。年間では9万840円が浮かせられる計算となります。
これを生活費や投資に回せば家計が助かると考えるかもしれませんが、通勤手当は会社が定めたルールに基づき支給されるものです。実際の通勤費と支給額に差額が生じる場合、その扱いは会社の規定を確認する必要があります。
「定期券の現物を毎日チェックされるわけではないから発覚しない」という考えは危険です。不適切な通勤手当の受給は、以下のような経路から発覚するかもしれません。
通勤手当の支給要件として、購入した定期券のコピーや領収書の提出を義務付けている会社もあります。株主優待乗車証を購入した場合、会社が指定した区間・金額の定期券を購入したことを証明する書類を提出できません。
虚偽の書類を作成・提出した場合は、さらに重大な問題に発展する恐れがあるため、提出書類は事実に基づいた対応が不可欠です。
通勤途中にけがをして労働災害(通勤災害)を申請する際、会社は、会社に申請している通勤経路や通勤手段などを確認することがあります。実際の通勤状況と会社への申請内容に相違がある場合は、通勤手当の受給状況を確認される可能性があるでしょう。
企業によっては、通勤手当の支給状況について定期的な確認や監査を行っています。また、同僚との何気ない会話から通勤方法に関する情報が人事部門に伝わり、申請内容との相違が確認される可能性も少なくありません。
不適切な通勤手当の受給が発覚した場合、会社から返還を求められることもあり得ます。
例えば、3年間にわたって不適切な受給が続いていた場合、半年ごとの支給額が9万5420円であれば、「9万5420円×年2回×3年間」となり、支給総額は57万2520円です。
実際に返還を求められる金額は、差額のみとなるのか、支給額全額となるのかなど、会社の規定や不正の内容によって異なりますが、もし支給額全額となった場合は、約57万円を一括で返還しなくてはなりません。
さらに、就業規則に基づく懲戒処分を受ける恐れもあるでしょう。悪質と判断された場合には、減給や出勤停止など、重い処分につながることも考えられます。
会社への虚偽申請などによって、本来受け取ることができない通勤手当を受給していた場合、その態様によっては刑事上の責任が問われる可能性もあります。
実際に、定期券を払い戻したり、申請よりも安い経路を利用したりして通勤手当を過大に受け取っていたことが問題となった事例もあります。年間約9万円の差額を得るために、返還請求や懲戒処分などのリスクを負うことは、決して合理的な選択とはいえないでしょう。
フリマサイトなどで安く購入した株主優待乗車証を利用し、会社から支給された通勤手当との差額を得る行為は、単なる節約方法として判断するのではなく、まず勤務先のルールを確認する必要があります。
年間数万円の差額であっても、受給方法によっては返還請求や懲戒処分などにつながる可能性があります。家計の収支を改善したいのであれば、会社のルールに反する方法ではなく、正当な方法による資産形成を検討してください。
目先の利益だけで判断せず、勤務先の規定に沿った通勤手当の受給を心がけ、自身のキャリアと生活を守りましょう。
東京地下鉄株式会社 全線定期券
東京地下鉄株式会社 株主優待乗車証(全線きっぷ・全線定期乗車証)のご利用について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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