9月14日(月) 6:20
台風や豪雨、地震などの自然災害は、企業にとって身近な経営リスクの一つです。
大同生命保険株式会社「大同生命サーベイ(2026年7月度調査)」によると、事業継続に支障をきたすリスクとして「地震」を挙げた企業は64%、「風水雪害(台風・豪雨・洪水・雪害)」は53%でした。一方、それぞれのリスクに対して対応を準備している企業は半数以下にとどまっています。
自然災害が発生すると、社員が出社できなくなるほか、設備の損傷や停電、通信障害、物流の停止などによって、通常通り事業を続けられなくなる可能性があります。
事業が停止すれば、その期間の売上に影響することも考えられます。また、建物や設備が被害を受ければ、修理や買い替えなどの費用が発生し、資金繰りにも影響しかねません。
実際、同調査では過去に災害などによって被害を受け、「損失が発生した」企業は27%(約4社に1社)でした。損失が発生していない企業も含めると、42%が「災害等で被害を受けたことがある」と回答しています。
災害への備えは、安全確保だけでなく、事業や企業のお金を守るという観点からも考える必要があるでしょう。
災害などの緊急事態が発生したときに、事業への影響を抑え、早期復旧や事業継続を図るための計画が「BCP(事業継続計画)」です。
同調査によると、BCPを「策定済・策定中」と回答した企業は14%でした。一方、「策定予定なし」は74%に上ります。
特に従業員5人以下では、「策定予定なし」が87%となっています。また、BCPについて「名称・内容ともに知っている」企業は32%で、「内容を十分に理解していない」企業は68%でした。
BCPを策定しない理由としては、「策定する必要性を感じない」が40%で最も多く、「策定する方法がわからない」が32%、「策定する人材・時間がない」が23%と続いています。
「BCP」と聞くと、専門的で大がかりな計画をイメージする人もいるかもしれません。しかし、最初からすべてを完璧に整える必要はなく、自社にとって必要性の高い対策から考えていくことが大切です。
例えば、大型の台風が接近し、翌朝から鉄道が運休するとわかった場合を考えてみましょう。
そのときになって「出社するのか」「誰が社員へ連絡するのか」「取引先には誰が状況を伝えるのか」を考えていると、対応が遅れる可能性があります。
そこで、平常時から「出社できない場合の勤務方法」「社員への緊急連絡手段」「重要な業務の代替担当者」「顧客や取引先への連絡方法」などを整理しておくことが考えられます。
特に取引先への対応が遅れれば、納品やサービス提供に影響するだけでなく、取引関係にも影響しかねません。重要な業務を優先して継続するためにも、「誰が・何を・どのように対応するのか」を事前に共有しておくことが重要でしょう。
なお、今回の調査では、台風時の出社判断や取引先への具体的な連絡方法まで調べているわけではありません。これらはBCPを考える際の一例として、自社の業務内容や働き方に合わせて検討する必要があります。
BCPを正式に策定していなくても、災害などに備えた対策をすでに実施している企業もあります。
調査では、事業継続のための備えとして「システム・データのバックアップ」を行っている企業が54%、「災害時の備蓄」が34%、「緊急連絡体制の整備」が29%でした。
例えば、顧客情報や業務データをバックアップしておけば、会社のパソコンや設備に被害が発生した場合でも、重要な情報を失うリスクを抑えられます。
また、社員への緊急連絡体制が整っていれば、台風で出社が難しくなった際にも、勤務方法や事業継続の方針を共有しやすくなるでしょう。
重要なのは「BCPを一から作らなければならない」と考えるのではなく、まず現在行っている対策を確認することです。そのうえで足りないものを一つずつ追加していけば、無理なく備えを強化していけるでしょう。
BCPは計画を作ること自体が目的ではありません。緊急事態が発生したときに、事業への影響をできるだけ抑え、早期復旧につなげることが重要です。
調査では、BCPを「策定済・策定中」と回答した企業にBCP策定による効果を尋ねたところ、「事業の早期復旧」と「従業員の安心感」がそれぞれ33%、「お客さまや取引先からの信頼向上」が32%でした。また、「損失の抑制」を挙げた企業も16%ありました。
事業を早く再開できれば、営業や生産などが止まる期間を短くし、売上への影響を抑えられる可能性があります。
もちろん、今回の調査結果だけで、BCPを策定すれば必ず損失を防げると断定することはできません。
それでも、災害時に何を優先して復旧するのか、社員や取引先へどのように連絡するのかなどをあらかじめ整理しておくことは、事業だけでなく、社員や取引先、企業のお金を守るための備えにもなるでしょう。
台風や豪雨などによって事業が止まれば、売上への影響や復旧費用の発生など、お金の面にも影響が及ぶ可能性があります。
一方、今回の調査ではBCPを「策定予定なし」とする企業が74%に上るものの、データのバックアップや災害時の備蓄、緊急連絡体制の整備など、身近な備えを進めている企業もみられました。
まずは「社員が出社できなくなったらどうするか」「重要なデータが使えなくなったらどうするか」「取引先への対応が止まったら売上にどのような影響があるか」など、自社で起こり得る状況を考えることから始めてみるとよいでしょう。
今できている備えを確認し、必要な対策を一つずつ整えていくことが、社員や取引先を守るだけでなく、売上や資金への影響を抑え、災害に強い企業をつくる第一歩になるのではないでしょうか。
大同生命保険株式会社 大同生命サーベイ(2026年7月度調査)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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